どうして最近2万円台のお手頃エントリースマホが増えているのか? その納得の理由とは……

最近、2万円台のお手頃スマホが増えているのをご存じだろうか? OPPOやXiaomiといった中国メーカーだけでなく、ハイスペックスマホで有名なサムスン電子やソニーでさえ、2万円台のエントリーモデルを投入しているのだ。これはいったいどうしたことなのか? だが、2万円台のお手頃スマホが増えているのには、ちゃんと理由がある。それは……。

有名メーカーも2万円台のお手頃スマホを相次いで投入!

日本で人気のiPhoneは、エントリーモデルのiPhone SE(第2世代)でも64GBモデルが4万9,800円もするが、Androidスマホでは2万円台のお手頃スマホが相次いで投入されている。

たとえば、シャープは「AQUOS wish」を、FCNT(旧富士通)は「arrows We」を販売しているし、高性能機のイメージが強いサムスン電子も「Galaxy A22 5G」を、ソニーは「Xperia Ace II」を投入している。

また、最近日本でも存在感を高めている中国メーカーのOPPO(オッポ)は「OPPO A73」や「OPPO A54 5G」を、Xiaomi(シャオミ)が「Redmi Note 10 JE」などのお手頃スマホを発売しているのだ。

2万円台のエントリーモデルとはいえ、基本性能はそこそこ高く、高速通信「5G」規格に対応するモデルも多いのでコスパに優れていると言えるだろう。

それにしても、どうして最近2万円台のお手頃スマホが、各メーカーから続々と投入されているのだろうか? 実はそこには意外な裏事情が隠されていた……。

(Image:nttdocomo.co.jp)

10万円を超えるハイスペック機のイメージが強いソニー「Xperia」シリーズだが、最近は2万円台のお手頃モデル「Xperia Ace II」も投入している。(写真はNTTドコモのもの)

スマホの値引き額は2万2,000円が上限になっている!

最近、急に2万円台のお手頃スマホが増えた原因は、やはり2019年10月の電気通信事業法改正が大きい。

この改正では、通信契約とスマホの抱き合わせ販売が原則禁止となり(いわゆる2年縛り)、通信契約と同時にスマホを販売するときの値引き上限は、2万円(税込2万2,000円)に定められている。

これによって、2年縛りでスマホが実質0円になるような抱き合わせ販売ができなくなったため、5万~10万円といった高性能スマホを大幅値引きで販売することはできなくなってしまった。

そこで注目されたのが2万円台のエントリースマホである。これなら、税込2万2,000円の割引で、実質1円や10円で販売することが可能なのだ。

(Image:soumu.go.jp)

2019年10月の電気通信事業法改正では、通信契約と同時に販売するスマホの値引き上限が2万円(税込2万2,000円)に限定された

大手キャリアや格安SIMにとっても重要な一括10円の激安スマホ

2020年4月には楽天モバイルが本格サービスを開始したのを皮切りに、ahamaoやpovoなどの登場もあって、スマホの月額利用料金はここ1~2年でグッと安くなってきた。

しかし、一緒に購入するスマホが数万円もするのでは、加入者が二の足を踏んでしまう。そこで、2万円台のお手頃スマホを1円や10円で販売することで、ユーザーに加入を促しているのだ。

また、最近は大手キャリアでもユーザー獲得のために、人気のiPhone SE(第2世代)などを一括10円で販売している。

iPhone SE(第2世代)の64GBモデルの価格は4万9,800円だが、こちらは値引き制限がない“スマホ単体での発売”にすることで、まず、販売価格を3万円値引きしたうえで、通信契約とセットで購入するとき、さらに2万円引きするという裏ワザを使っている。

これについては→こちらで確認してほしいが、いずれも、大手キャリアや格安SIM事業者にとって、一括10円スマホは新規加入者を獲得するうえで、重要なアイテムとなっているのである。

(Image:ntt.com)

こちらは、NTTグループの格安SIM「OCN モバイル ONE」において1円で販売されている「OPPO A73」。特価は2022年1月22日までのキャンペーン

(Image:Jack Skeens / Shutterstock.com)

大手キャリアでは人気のiPhone SE(第2世代)を一括10円で販売している。最近はiPhone 12 miniやiPhone 13 miniなども一括10円で販売されているらしい

3Gサービス終了でガラケーからの乗り換え特需も!

2万円台のお手頃スマホは、これからもっと注目されることになる。それは、大手キャリアの3Gサービスが今後次々と終了され、ガラケーからスマホへの乗り換え特需が起きるからだ。

長年ガラケーで利用されてきた3Gサービスは、auが2022年3月31日にサービスを終了するのをはじめ、ソフトバンクは2024年1月末、ドコモは2026年3月31日に相次いで終了することになっている。

そのため、スムーズにガラケーからスマホへの機種変更ができるように、各キャリアは2万円台のスマホを充実させている。

ちなみに、このような通信世代や周波数移行が理由の乗り換えでは、2万2,000円の上限は適用されないため、2万円以上のスマホでも無料交換対象になっている。

たとえば、今年3月に3Gサービスを終了するauでは、3万4,580円もするスマホ「BASIO4」を実質0円で機種変更対応機種に加えているのだ。

(Image:au.com)

2022年3月末で3Gサービスを終了するauでは、3Gガラケーユーザーに対して、au VoLTE対応のフィーチャーフォンや、スマホへの無料交換サービスを行っている

(Image:au.com)

auでは、3Gサービス終了に伴うガラケーからの乗り換え特例で、3万4,580円のスマホ「BASIO4」を0円で機種変更できるようにしている

いかがだろうか? 数年前に販売されていた2万円台のエントリースマホといえば基本性能が低く、まさに安かろう悪かろうだった。

しかし、現在のエントリースマホは基本性もそこそこ高く、高速通信の5G規格に対応する実用的なモデルも多い。

今後、ガラケーからスマホに乗り換えたり、キャリアを乗り換えるときは、実質1円や10円のスマホを購入しても、きっとガッカリする人は少ないだろう。

参考元:2万円台の“エントリースマホ”が増えている理由 割引でほぼ0円、3G停波の影響も【ITmedia Mobile】
●総務省「電気通信事業法の一部を改正する法律の施行に伴う関係省令等の整備について(PDF)」は→こちら
●au「無料交換機種のご案内」は→こちら
●「OCNモバイルONE」は→こちら

文=すずきあきら/編集・ライター

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