携帯電話のプラン契約が非常に複雑になっていることは、多くの人が感じていることだろう。そのため国も、消費者が不利にならないよう、携帯会社が有利になりすぎないように、契約内容についてさまざまなルールを定めている。
今回は、総務省が実施した“消費者保護”のためのルールの現状を調べる覆面調査の結果についてお伝えしていきたい。
いまだ全体の1割程度でルールが遵守されていないことが判明
総務省は4月25日、「競争ルールの検証に関するWG」「消費者保護ルールの在り方に関する検討会」を合同で開催し、その中で「電気通信事業法第27条の3の規律の遵守状況に係る覆面調査の結果について」を発表した。
覆面調査の対象となったのは、「ドコモ」「KDDI(au)」「ソフトバンク」「楽天モバイル」のキャリア4社。4キャリアのうち楽天モバイル以外の3社は、2021年に続いて二度目の調査となっている。
調査件数は、ドコモ・KDDI・ソフトバンクがそれぞれ167件、楽天モバイルが30件で、4キャリア合計531件となった。そのうち「違反と判断される事案」40件、「違反が疑われる事案」12件と、調査全体の9.8%(52件)で、
違反または違反が疑われる事案が確認されたという。前年調査では20.5%という結果だったため、全体としては半減したと言える。販売店舗・スタッフのコンプライアンス意識が向上したのだろう。
キャリア別違反件数の割合は楽天モバイルが最多に
今回の調査結果で判明した違反件数をキャリアごとに見ていくと、ドコモは167件中8件で4.8%、KDDIでは167件中17件(10.2%)、ソフトバンクは167件中20件(12.0%)となり、ソフトバンク以外は前年調査よりも違反の割合を減少させることとなった。
一方で今回が初調査の楽天モバイルでは、30件中7件となりその割合は23.3%となった。割合だけでいえば、4キャリアでワーストという結果を残してしまった。
ドコモで確認された違反内容は、違反と判断された6件のうち4件が「回線契約を条件とする2万円の上限を超える利益提供の提示」となり、端末料金の割引に加えて「1万円のキャッシュバック」や「頭金免除」といったサービスを提示していた。
KDDIでは「非回線契約者への端末販売拒否」「非回線契約者への端末購入サポートプログラムの提供拒否」「回線契約を条件とする2万円の上限を超える利益提供の提示」の3種類がまんべんなく確認されている。
ソフトバンクはドコモと同様に「回線契約を条件とする2万円の上限を超える利益提供の提示」が突出して多く、違反判断の14件中8件を占めた。
一方で楽天モバイルは、「回線契約を条件とする2万円の上限を超える利益提供の提示」が最も多かった他の3社と異なり、違反判断7件のうち5件が「非回線契約者への端末販売拒否」だった。
キャリア各社ともテレビCMを多数打って知名度の維持に努めるなど、ユーザー確保に全力を挙げていることは広く知られている。しかし、ルールで禁止されているレベルでの集客はNGだ。今後のさらなるコンプライス意識の向上を期待したい。
出典元:競争ルールの検証に関するWG(第29回)開催案内/ 消費者保護ルールの在り方に関する検討会(第39回)合同会合【総務省】
出典元:資料4-1 電気通信事業法第27条の3の規律の遵守状況に係る覆面調査の結果(PDF)【総務省】