「マイナ保険証」のメリットとデメリットを解説 – 従来の健康保険証と何が違うの?

マイナ保険証のデメリットは?

マイナ保険証にはさまざまなメリットがあることを紹介しましたが、それでもマイナンバーカードで健康保険証の利用申請をしていないという人も多いでしょう。

そこで、ここではマイナ保険証で考えられる4つのデメリットを紹介したいと思います。

■マイナ保険証のデメリット

【1】現状では利用できる医療機関が少ない
【2】高齢者にはマイナ保険証の利用申請が難しい
【3】個人情報漏洩が心配される
【4】マイナンバーカードの有効期限は10年
※20歳未満は5年

【1】現状では利用できる医療機関が少ない

利用すればかなり便利なマイナ保険証ですが、マイナ保険証の“オンライン資格確認”対応医療機関は、非常に少ないのが現状です。

厚生労働省の「オンライン資格確認の都道府県別導入状況について」によると、2022年11月6日時点でマイナ保険証による健康保険の資格確認ができる医療機関の割合は、病院が48.9%、医科診療所が22.9%、歯科診療所が24.3%、薬局が57.3%で、全体の平均はわずか33.4%に過ぎません。

もちろん、今はカード型健康保険証も併用できるので何の問題ありませんが、あと2年でオンライン資格確認医療機関の割合が、どの程度上がっているのか、少し心配になります。

●厚生労働省「オンライン資格確認の都道府県別導入状況について」は→こちら
●厚生労働省「マイナンバーカードの健康保険証利用について」は→こちら(PDF)

マイナ保険証の「オンライン資格確認」ができる病院や薬局は、受付にこのようなシールが貼られている(画像は厚生労働省公式サイトより転載)

【2】高齢者にはマイナ保険証の利用申請が難しい

現状、スマホを使いこなしている人であれば、マイナンバーカードの申請も、健康保険証の利用申請もさほど難しいものではありません。

しかし、いまだにガラケーを使っているようなアナログ世代にとっては、かなり難しいでしょう。子どもや孫に手伝ってもらったり、最寄りの役所に相談すれば何とかなるでしょうが、いきなりマイナ保険証に一本化するのは、かなり無理があるような気もします。

もちろん、政府もこのような事態に備えて、2024年秋以降にマイナンバーカードを持っていない人でも、保険診療を受けられる制度を用意するとしていますが、具体的にどうなるのかは決まっていません。

そもそも、そのような例外を作ってしまっては、マイナ保険証一本化の意味がないような気もします。

【3】個人情報漏洩が心配される

いまだにマイナンバーカードを取得していない人は、個人情報の漏洩を心配しているようです。

デジタル庁によれば、マイナンバーカードのICチップには、税・年金の情報や病歴などプライバシー性の高い情報は記録されていないとのことです。

ICチップは、すでにクレジットカードや銀行のキャッシュカードなどでも長年利用されており、セキュリティ的には非常に強固なものなので、さほど不安はないでしょう。

ただし、マイナンバーカードの券面には氏名、生年月日、住所、個人番号などが記載されているので、カードを紛失するとこれらの個人情報は漏洩します。カードの管理には細心の注意を払う必要があります。

とはいえ、運転免許証やカード型健康保険証、クレジットカードなどでも、紛失したあとに起こりうるトラブルは同じことですので、マイナンバーカードだけを特別視する必要もないでしょう。

●デジタル庁「よくある質問:個人情報の保護について」は→こちら

【4】マイナンバーカードの有効期限は10年

意外と知られていませんが、マイナンバーカードには10年の有効期限があります(20歳未満の場合は5年)。

有効期限の2~3カ月前に有効期限通知書が送付されたら、面倒でも原則本人が役所に出向いて更新手続きをする必要があります(手数料は無料)。

また、カードに格納されている電子証明書の有効期限は5年なので、こちらも同様に役所で更新しないといけません。もし電子証明書の有効期限が切れると、マイナポータルにログインできなくなります。

マイナンバーカードの電子証明についてはこちらで詳しく解説しています。

とはいえ、運転免許証は3~5年、健康保険証も2年で更新されますので、有効期限が10年というのは決して短くはないでしょう。

まとめ

いかがでしょうか? マイナ保険証のメリットは多く、デメリットは意外と少ないことがお分かりいただけと思います。

現状のカード型健康保険証が廃止される2024年秋までは、まだ時間的な余裕はありますので、その頃には、おそらくどの医療機関も当たり前にマイナ保険証が利用できるようになっていることでしょう。

なお、マイナンバーカードを取得している人は、健康保険証の利用申請をすれば、すぐにマイナ保険証が利用できます。マイナ保険証の申請方法についてはこちらの記事を確認してください。

逆に、マイナ保険証の利用に不安がある人は、とりあえずマイナンバーカードを取得しておいて、2024年秋までマイナポータルで健康保険証の利用申込みをしなければいいでしょう。もちろん、その場合はマイナポイントの7,500円はもらえませんが……。

柴沼直美/FP&Englishウィザード・保険アドバイザー
日本の生命保険会社で募集・保全に関わったのが大学卒業後、その後英系金融持ち株会社でお客様からお預かりした保険料について日本株を運用する仕事に携わりました。独立後は生損保の募集人も行い、保険商品に関する一連の流れから、お客様にとってどのようなどのような商品を保有すべきかについてご案内することができます。

藤原博文
編集・ライター。長年、パソコンやスマホ、サブカル関連雑誌の編集部を渡り歩いてきた編集者。個人的に株式、投資信託、FXなどの投資活動を活発に行っているほか、クレカや電子マネー、スマホ決済アプリなどのポイ活にものめり込み、最近はマネー系の記事も数多く手掛ける。

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