【完全ガイド】つみたてNISAはやらない方が良い?デメリットや運用リスクと損しない始め方

つみたてNISAとは、2018年から始まった長期の少額投資を支援するための非課税制度。特定の投資信託を毎月少額で積み立てることで、分配金や譲渡益が最長20年間非課税になるというものです。

【完全ガイド】つみたてNISAはやらない方が良い?デメリットや運用リスクと損しない始め方

つみたてNISAで購入した投資信託は、運用益や分配金に対して通常20.315%の税金(所得税+住民税+復興特別所得税)がかからないのが最大のメリット。この非課税期間は最長で20年間です。つまり、2023年につみたてNISAで投資信託を購入した場合、その投資信託は2043年まで非課税に。ただし、非課税期間が終了した後は、通常の課税口座に移管されるか、売却する必要があります

2024年から新しい制度に移行するNISAですが、「つみたてNISAと一般NISAの違いは何だろう?」「つみたてNISAが2023年で終わるならやる意味あるのかな?今から始めるのは遅い?」と疑問に思っている人もいるでしょう。今回は現行のつみたてNISAと一般NISAの違いや、2024年の新しいNISAについて解説します。

いまからつみたてNISAを始めるのは遅い?

つみたてNISAを始めるのに、「今からでは遅い」ということはまったくありません。

いまからつみたてNISAを始めるのは遅い?

2024年からは新しいNISAに移行し、従来は20年間だった非課税保有期間が無期限になり、40万円だった年間投資枠が120万円に拡大します。むしろ今が始めるチャンスと言えるでしょう。(画像引用元:楽天証券公式サイト)

つみたてNISAと一般NISAの違いとは?

つみたてNISAは長期的な積立投資に、一般NISAは短期的な個別銘柄の売買に向いています。どちらも税制優遇制度ですが、非課税期間や投資枠が異なります。

  つみたてNISA 一般NISA
投資方法 積立方式 通常買付または積立方式
投資対象 長期積立・分散投資に適した一定の条件を満たした限定された投資信託 株式・投資信託等
非課税投資枠 年間40万円 年間120万円
非課税期間 最長20年間 最長5年間
ロールオーバーによる継続保有 不可
投資可能期間
(口座開設可能期間)
2018年~2042年 2014年~2023年

現行制度ではつみたてNISAと一般NISAは併用できませんでしたが、2024年からの新しいNISAでは「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の併用が可能になります。

2024年から始まる新NISAとは | 新旧NISAの制度比較

現在のNISA制度と、2024年から始まる新NISA制度を比較すると、以下のようになります。

  現行NISA 新NISA
  つみたてNISA 一般NISA つみたて投資枠 成長投資枠
制度実施期間 ~2042年末まで
2024年以降は新規の買付不可
~2023年末まで 2024年1月~
制度恒久化
制度選択 併用不可 併用可
非課税投資枠の管理 年間買付額を管理 年間買付額を管理 生涯非課税限度額(総枠)を管理
簿価ベース(=取得価額)
最大利用可能額 800万円 600万円 1,800万円
  内数として
1,200万円
年間投資上限額 40万円 120万円 120万円 240万円
投資可能期間 最大20年 最大5年 無期限
加入可能年齢 18歳以上 18歳以上 18歳以上
購入方法 積立 スポット・積立 積立 スポット・積立
対象商品 投資信託
(金融庁が指定する銘柄)
株式・投資信託 つみたてNISAと同様 株式・投資信託
(一部対象除外あり)
非課税保有期間 20年 5年 無期限 無期限
ロールオーバー
(移管)
つみたてNISAから不可 一般NISAから不可
2024年から始まる新NISAとは | 新旧NISAの制度比較

新NISAは制度が恒久化され、「つみたて投資枠」と「成長投資枠」の併用が可能になり、年間の投資上限額も合わせて360万円と大幅に引き上げられたため、現行NISAより投資しやすい制度になると言えるでしょう。(画像引用元:楽天証券)

●楽天証券「【2/22情報更新】2024年からの新NISA制度について」は→こちら

つみたてNISAはやらないほうがいい?主な運用のリスクやデメリット

現行のつみたてNISAの最も大きなデメリットは、投資可能期間が最大20年と期間が限定されていたことや、つみたてNISAを利用すると一般NISAが利用できなくなること。これらのデメリットは2024年からの新NISA制度で解消されます。

これら以外の運用面での主なデメリットは以下の通りです。

元本割れリスク

つみたてNISAは運用である以上、常に元本割れの可能性があります。元本割れして損失を出してしまうと、「ただ貯金をしておく」よりもマイナス。元本割れを回避するためには、長期的な視点で投資する、分散投資をする、暴落時に売らないといったポイントを押さえましょう。

損益通算ができない

損益通算とは、所得税の計算で、赤字の所得を黒字の所得から差し引くことです。損益通算によって、申告する利益が少なくなり、節税につながる場合があります。

損益通算ができない

非課税枠内で損失が出た場合、他の証券会社で出した利益と相殺する損益通算ができないため、トータルで損失を出していても、利益分の税金を払わなければなりません。また、非課税枠内で損失が出た場合、翌年以降に持ち越して利益と相殺する損失繰越控除もできません

NISAの対象は新規投資のみ

NISAの対象は新規投資のみです。既存の投資商品をNISA口座に移すことはできません。
2024年からの新NISA制度では、つみたて投資枠が120万円、成長投資枠が240万円となり、合計すると年間360万円まで新規投資が可能となります。

非課税枠の上限

つみたてNISAの非課税枠の上限は、年間40万円です。非課税枠の利用しなかった額を翌年以降に繰り越すことはできません。毎年の非課税枠はその年にしか使えないので、有効に活用することが大切です。なお非課税期間は最長20年なので、最大で800万円まで非課税になる計算です。
ただし2024年から始まる新NISAでは、つみたて投資枠が年間120万円かつ最大1800万円に拡大されます。

限定された金融商品

つみたてNISAの対象商品は、金融庁が認めた「公募株式投資信託」と「上場株式投資信託(ETF)」の2種類です。これらの商品は、手数料が低水準で、頻繁に分配金が支払われないなど、長期・積立・分散投資に適したものに限定されています。

・参考:金融庁「つみたてNISAの概要」

つみたてNISAで損する人や向かない人の特徴

つみたてNISAで損しがちな人や、あまり向いていない人の特徴をまとめました。

元本割れするリスクを許容できない人

つみたてNISAは投資である以上、元本割れの可能性はゼロではありません。元本割れリスクを受け入れるのが難しい人には向いていません。

余剰資金を確保できない人

つみたてNISAは中長期的な資産形成を支援する制度です。余剰資金を普通預金口座へ塩漬けするのではなく、投資へ回そうと促すものであり、現在の生活に余裕がない場合に無理をしてまで始めるのはおすすめできません。

短期的な成果を求める人

つみたてNISAは中長期間に渡って投資信託商品を保有することにより利益を出すタイプの投資です。デイトレードや数日~数カ月のスパンなど短期的な成果を求める人には向いていません。

つみたてNISAを低リスクでお手軽に始めるには?

投資初心者でもつみたてNISAを手軽に始める方法について解説します。

つみたてNISAを取り扱う証券会社の例

つみたてNISAを取り扱っている証券会社は、日本証券業協会のサイトによると、2023年3月1日現在で72社あります。

●参考元:日本証券業協会「つみたてNISA取扱い証券会社一覧」

とくに初心者におすすめの証券会社として、最低積立金額が低く、取扱銘柄数が多い楽天証券、SBI証券、松井証券が挙げられます。

つみたてNISAを取り扱う証券会社の例

楽天証券は、つみたてNISAの取扱銘柄数が120本以上で、最低積立金額は月100円からです。楽天カードで積立決済すると楽天ポイントが貯まります。SBI証券は、つみたてNISAの取扱銘柄数が約300本で、最低積立金額も月100円からです。投信マイレージというサービスでポイントやマイルが貯まります。松井証券は、つみたてNISAの取扱銘柄数が180本で、最低積立金額も月100円からです。株式の手数料が安く、無料ツールやサポートも充実しています。(ロゴは各公式サイトより引用)

つみたてNISAに対応しているロボアドバイザーの例

ロボアドバイザーとは、人工知能(AI)が投資家に対して投資に関するアドバイスやポートフォリオの提案をしたり、投資家の代わりに実際に投資を行ったりするサービスです。ロボアドバイザーは分散投資やリバランスなどを自動で行ってくれて、手数料が比較的低く設定されています。

つみたてNISAに対応しているロボアドバイザーの例

楽天証券の「らくらく投資」とは、9つの質問で合った投資コースを診断してくれる資産形成サービスです。投資コースは5種類あり、それぞれに専用のバランスファンドが用意されています。バランスファンドとは、株式や債券などの複数の資産に分散投資することでリスクを低減する投資信託です。楽天証券ではバランスファンドの運用を自動で行ってくれます。手間なく長期的な資産形成ができることや、楽天ポイントやNISA口座を利用して投資ができるといったメリットがあります。(画像引用元:楽天証券公式サイト)

つみたてNISAに関するよくある質問 Q&A

つみたてNISAに関するよくある疑問をご紹介します。

今からつみたてNISAを始めるのは遅い?

先述した通り、2024年からは新しいNISAに移行し、従来は20年間だった非課税保有期間が無期限に。40万円だった年間投資枠が120万円に拡大します。むしろ今が始めるチャンスと言えるでしょう。

NISAとiDeCoは併用できる?

NISAとiDeCoは併用できます。iDeCoは老後に向けた長期の年金積立を支援する制度です。どちらも株式への投資が可能ですが、iDeCoは60歳まで解約できないので注意が必要です。

つみたてNISA・一般NISAの併用は可能?

2023年現在はつみたてNISAと一般NISAは併用できず、どちらか一方を選択する必要があります。2024年の新しいNISAでは、成長投資枠とつみたて投資枠が併用できるようになります。

未使用枠の翌年への繰り越しは可能?

非課税枠の利用しなかった額を翌年以降に繰り越すことはできません。毎年の非課税枠はその年にしか使えないので、有効に活用することが大切です。

課税口座の資産をつみたてNISAの口座へ移動することはできる?

いいえ、できません。課税口座で保有している株式や投資信託などの資産をつみたてNISAの口座に移管することは認められていません。つみたてNISAの口座には、新規に購入した投資信託やETFしか入れることができません。

まとめ

つみたてNISAは一攫千金を望めるような制度ではありませんが、将来のお金の不安を解消したい人や、資産形成に興味があるけれどどうやって投資を始めたらいいかわからない人にとって、つみたてNISAはリスクや手数料が少なく始められる投資として最適です。2024年から新NISA制度も始まりますので、この機会にチャレンジしてみるのもおすすめです。

オトナライフ編集部
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