「Wi-Fi 7」は「Wi-Fi 6/6E」と何がどう違う? – どれだけWi-Fiが速くなるの?

2023年6月時点での最新Wi-Fi規格は「Wi-Fi 6E(IEEE802.11ax)」で、最大9.6Gbpsとなっています。しかし、その前の規格Wi-Fi 6ですら、日本ではまだ普及しているとは言えない状況です。そのようななか、すでに、次世代規格「Wi-Fi 7(IEEE 802.11be)」の規格策定が進んでいるのをご存じでしょうか? これは最大46Gbpsという高速通信を実現するもので、海外では2023年夏以降に対応製品が登場すると見られています。そこで今回は、現状でのWi-Fi 7の規格がどうなっているのか? 日本ではいつごろ実現できそうなのか? 初心者にも分かりやすく解説します。

そもそもWi-Fiって何? 規格はどうなっているの?

スマホはデータ通信(4G LTEや5G)のほかに、Wi-Fi(ワイファイ)に接続することで、高速でネットに接続できます。

でも、Wi-Fiには複数の規格があり、どの規格で接続されているかで、その速度は大きく変わってしまうことはご存じでしょう。

そもそも無線LANの規格は「米国電気電子学会(IEEE・アイ・トリプル・イー)」で定められたもので、業界団体の「Wi-Fi Alliance」が互換性を認定した製品には「Wi-Fi」ロゴの表示が認可されています。

●Wi-Fi Alliance(公式)は→こちら(英語)

Wi-Fi Alliance

こちらが業界団体の「Wi-Fi Alliance」が互換性を認定した製品に表示することを認めた「Wi-Fi」のロゴです。このマークがある機器同士なら、接続が保証されます(画像はWi-Fi Alliance公式サイトより転載)

たとえば、IEEE 802.11n規格は「Wi-Fi 4」、IEEE 802.11ac規格は「Wi-Fi 5」、IEEE 802.11ax規格はWi-Fi 6という愛称で呼ばれています。

2019年に登場した「11ax(Wi-Fi 6)」は、2.4GHz帯と5GHz帯の2つを利用しており、最大速度9.6Gbpsと高速です。このWi-Fi 6は、すでにiPhone 11/12/13/14や、5G対応のAndroidスマホでも広く使われています。

現在もっとも新しい規格はWi-Fi 6の拡張版である「Wi-Fi 6E」です。これはWi-Fi 6による通信方法に、6GHz帯を追加することで、実行速度がさらに高速化されています。

もし、Wi-Fiの規格の基本についてさらに詳しく知りたい人は、こちらの記事を参考にしてください。

■Wi-Fiの規格

【Wi-Fi 4】IEEE802.11n(2.4GHz/5GHz)最大600Mbps
【Wi-Fi 5】IEEE802.11ac(5GHz)最大6.9Gbps
【Wi-Fi 6】IEEE802.11ax(2.4GHz/5GHz)最大9.6Gbps
【Wi-Fi 6E】IEEE802.11ax(2.4GHz/5GHz/6GHz)最大9.6Gbps

Wi-Fiの規格

普段スマホやパソコンで利用しているWi-Fiですが、規格によって通信速度は大きく変わります。また、Wi-Fiは下位互換なので、Wi-Fiルータとデバイスが同じ最新規格に対応していないと速度は上がらず、古くて遅い規格のWi-Fiで接続されてしまいます

Wi-Fi 7は何が凄い? Wi-Fi 6Eとは何がどう違うの?

我が国では、Wi-Fi 6やWi-Fi 6Eの普及もまだまだ進んでいませんが、すでに次世代規格の「Wi-Fi 7」が準備されています。

Wi-Fi 7は、Wi-Fi 6/6Eに次ぐWi-Fi規格で「IEEE 802.11be」とも呼ばれるもの。Wi-Fi 6E同様に2.4GHz/5GHz/6GHzの3帯域を利用しますが、Wi-Fi 7ではさらなる高速化が図られ、Wi-Fi 6/6Eの実に4.8倍となる46Gbpsを実現する予定です。

それにしても、Wi-Fi 7はなぜそんなに高速化できるのでしょうか? ここではそのポイントになる技術をチェックしてみましょう。

まずは帯域幅(バンド)です。Wi-Fi 6/6Eでは帯域幅が最大160MHzでしたが、Wi-Fi 7では2倍の320MHzに拡張されます。これは高速道路の車線が2倍になるようなイメージで、理論上は2倍高速化できます。

次に、ストリーム数も2倍になります。Wi-Fi 6/6Eが8ストリームだったのに対し、Wi-Fi 7では16ストリームに増やされるため、こちらも理論上の伝送速度は2倍になります。

また、複数のアンテナで一度に送信することで、混雑時に速度が低下しない「MIMO(マイモ)」技術はもちろん、これに加え、Wi-Fi 6から採用されている「MU-MIMO(Multi-user MIMO・マルチユーザー・マイモ)」も採用されます。

MU-MIMOでは、Wi-Fiデバイスの場所を判別し、それに合わせて電波を送信する「ビームフォーミング」が可能であるため、これまでより遅延が少ない安定した高速通信が実現できるのです。

さらに、Wi-Fi 7では新技術「MLO(マルチリンク・オペレーション)」が採用されることになっています。

これは、複数の帯域とチャンネルでデータを同時に送受信できる技術で、もし、ひとつの帯域で遅延が発生しても、ほかの帯域でカバーできるため、送受信速度の低下を回避できるというものです。

このような複数の新たな技術の投入で、Wi-Fi 7では8K動画のストリーミングや高画質のオンラインゲーム、VR・ARなどにも対応できる速度を実現できると見られています。

ちなみに、これらの最新技術については、Wi-Fi機器で定評のある「バッファロー」の公式サイトでも詳しく紹介されています。

現状では最新規格となるWi-Fi 6Eに対応し、最新技術を盛り込んだフラッグシップ機「WXR-11000XE12」のページなどをチェックしてみると勉強になるでしょう。

●バッファロー「WXR-11000XE12」は→こちら(Amazon)

バッファロー「WXR-11000XE12」

こちらがバッファロー「WXR-11000XE12」。12ストリーム外付け「トリプルバンドダイポールアンテナ」を装備しているため、最大通信速度は6GHz帯が4,803Mbps、5GHz帯が4,803Mbps、2.4GHz帯が1,147Mbps。3バンド合計で最大11,000Mbpsという高速通信を可能にしています(画像はAmazon公式サイトより転載)

日本ではいつごろWi-Fi 7が使えるようになるの?

現状では、Wi-Fi 7は(IEEE 802.11be)の正式な規格は2024年12月ごろに策定される予定になっています。

ただし、2023年7月にはある程度技術仕様が固まった段階で、とりあえずドラフト4.0が策定される予定なので、2023年夏以降にWi-Fi 7対応製品が投入される可能性はあるでしょう。

実際、Wi-Fi 7に対応するWi-Fiルーターは、すでにTP-Linkが2023年3月に発表しています。

●TP-Link「Wi-Fi 7イベント」は→こちら

Wi-Fi 7対応Wi-Fiルーター「Archer BE900」

こちらがTP-LinkのWi-Fi 7対応Wi-Fiルーター「Archer BE900」。4K-QAMなどのWi-Fi 7新技術を採用し、最大速度は24Gbpsを実現しているという(画像はTP-Link公式サイトより転載)

しかし、日本で新しいWi-Fiの規格を利用するには、総務省の認可が必要であり、2023年6月8日に、ようやく総務省の「情報通信審議会 情報通信技術分科会 陸上無線通信委員会(第80回)」が開催されたばかり。

この会議では「広帯域無線LANの導入のための技術的条件の検討開始について」話し合われていますが、この“広帯域無線LAN”がWi-Fi 7のことです。

つまり、日本ではようやくWi-Fi 7の技術的な条件についての検討が始まった段階だということです。

このような状況から考えると、日本でWi-Fi 7対応製品が投入されるのは早くても2023年秋以降。本格的に普及するのは、2024年末から2025年初頭にかけてだと考えるのが妥当でしょう。

●総務省「情報通信審議会 情報通信技術分科会 陸上無線通信委員会(第80回)」は→こちら

総務省の「情報通信審議会 情報通信技術分科会 陸上無線通信委員会(第80回)」の資料

こちらが、総務省の「情報通信審議会 情報通信技術分科会 陸上無線通信委員会(第80回)」の資料。この会議では「広帯域無線LAN(Wi-Fi7)」の導入が検討されています(画像は総務省公式サイトのPDFより転載)

まとめ

いかがでしょうか? 最大46Gbpsの次世代規格「Wi-Fi 7」の登場は、早くても2023年秋以降、本格的に普及するのは2024年末から2025年初頭になりそうです。

Wi-Fi 7の規格が定まって日本でも認可されれば、すぐにWi-Fi 7に対応するWi-Fiルーターが発売されるでしょうが、当初はWi-Fi 7規格の最大速度ではなく、販売価格もかなり高いものになるでしょう。

もちろん、クライアント側のスマホやパソコンなどがWi-Fi 7に対応しないと、利用できません。もしかすると、2024年秋に発売される見込みの次々世代のiPhone 16が、Wi-Fi 7に対応するかもしれませんね。

※サムネイル画像(Image:FellowNeko / Shutterstock.com)

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