SNSのプロフィールアイコンはどこから違法になる? アニメキャラや芸能人の画像は大丈夫!?

TwitterやInstagram、FacebookなどのSNSでは「アイコン」を設定できるため、自撮り画像やペット画像など多種多様なアイコンを目にします。“個性を表すシンボルマーク”のような役割を果たしていますが、中には好きなアニメキャラや芸能人などの写真をアイコンに設定している人も。こういった画像は著作権侵害にあたるのでしょうか?

そこで今回は、弁護士法人「咲くやこの花法律事務所」に所属する弁護士・西巻俊宏先生に「SNSのアイコン」について取材を行なってみました。

SNSのアイコンはどこからが違法になる?

SNSのアイコンはどこからが違法になる?(Image:FellowNeko / Shutterstock.com)

SNSのプロフィールアイコン、画像によっては著作権侵害や肖像権侵害にあたる可能性が…

画像の無断使用は著作権侵害! 「刑事責任」や「民事責任」を負う可能性もある?

――TwitterなどSNSのアイコンで、ネット上にあるアニメキャラや芸能人などの画像を保存またはスクリーンショットして使った場合、著作権侵害になるのでしょうか?

西巻先生:許諾なく、勝手に画像をアイコンに使っている場合は著作権侵害になります。アイコンに使用することは、もはや私的使用とは言えません。

もちろん自分で楽しむためにネットで画像をダウンロードするだけなら私的使用として基本的に問題ないのですが、その画像をアイコンとして使うことは、不特定または多数の人たちからも見られ得る状態になるため、著作権者に与える影響が大きく、違法となります。

著作権と一概に言っても色々あるのですが、この場合は著作権の中の一つ「公衆送信権」を侵害したことになってしまうのです。そして著作権侵害の場合に負う可能性がある責任として、大きくは「刑事責任」と「民事責任」があります。

刑事責任は、「10年以下の懲役、もしくは1000万円以下の罰金に処し、またはこれらを併科する」と定められており、民事責任は損害賠償請求等を受けることがあります。

ちなみに、芸能人の顔写真の使用になってくると著作権とは別に「肖像権」侵害の問題も絡んでくる可能性もあるので、気をつけてください。肖像権とは、“むやみに自分を撮影され、自分の写真や動画などを許可なく公表されない権利”のことです。

――自分で撮影した写真であれば、そこにアニメキャラや芸能人などが写っていても問題ないのでしょうか?

西巻先生:写り方にもよりますね。例えば風景などを撮った際に、たまたまそこに芸能人などが写っていた場合は「写り込み」と言って、基本的に著作権侵害とはなりません。ただ明らかにメインで芸能人やキャラクターを撮っているような画像であれば、「写り込み」には該当しないため違法になります。

またアニメのグッズや芸能人のポスターなども同様です。「街で芸能人のポスターを見つけたから、それを撮影してアイコンにする」といった場合も違法になります。

他にも「芸能人と遭遇して一緒に写真を撮り、ツーショット写真をアイコンにする」という場合、やはり本人や事務所などに許可なく勝手に公開してしまえば、先ほど言った肖像権が関わってきます。

参考元:著作権侵害についての詳細な解説はこちらを「著作権侵害とは?事例や罰則、成立要件などをわかりやすく解説」ご参照ください。

許可なくアニメキャラや芸能人の画像を使用・加工するのはNG!

――写真を加工した場合であれば、著作権侵害にはあたらないのでしょうか?

西巻先生:加工の程度にもよるのですが、著作権侵害にあたる可能性もあります。実は、著作権の中の一つに「翻案権」というものがありまして、勝手に著作物を改変してしまうと翻案権の侵害にあたります。

翻案権について簡単に説明すると、“著作物のもともとの特徴を生かしながら、別の著作物を創作できる権利”のことです。例えば、“編曲”や“小説・漫画の映画化”などは翻案に該当します。

軽微な加工であれば翻案権の侵害にならないと考えられますが、著作権者の許諾なく写真を勝手にアイコンに使ってしまうと、先ほど述べた「公衆送信権の侵害」となってしまうので要注意です。

あとはアニメキャラなどをイラストで描いた場合も、「著作物を模写した」ということで著作権(複製権)侵害になる可能性が高いです。ただ、そのアニメキャラを一切知らずに描いた結果、「偶然絵が一致していた」という場合であれば問題はありません。とはいえ、マネして描いたかどうかは非常に判断が難しいというところになってきます。

また加工に関しては、同一性保持権(著作権の一つ。著作物の内容を自分の意に反して改変されない権利)の侵害にもあたる恐れがあるので、色々と問題が起きやすいですね。

作成者への許可取りにも注意が必要!

“イラストを撮影した画像”をアイコンにしたい時は、撮影者だけでなくイラストの著作者にも許可取りが必要?

――画像を使う際、作成者または撮影者にしっかりと許可を取れば法的には問題ないのでしょうか?

西巻先生:許可をとれば問題ないのですが、許可の細かい内容や条件を詰めておかないと、法的問題が生じてしまうことがあります。

例えば著作者から「あなた自身が観賞するのは許可したけれど、SNSのアイコンにしてもいいとは言っていない」「画像をアイコンに使うのは許可したけど、加工は許可していない」などと言われ、トラブルに発展する可能性もあります。そのため、あらかじめ使用目的や加工の可否などを相手に伝え、許可を得ておくことをオススメします。

――例えばキャラや芸能人などを撮影した人に使用許可を得たとしても、その写真に写っている人物やキャラの著作者にも許可取りしなければいけないのでしょうか?

西巻先生:そうなりますね。先ほども申し上げた「写り込み」であれば問題ないのですが、メインでキャラや人物が写っている場合は、撮影者だけでなく、そこに写っている人や著作物の著作権者に対しても許可取りをする必要があります。

――最後に、SNSのアイコンを選ぶうえで、気をつけるべきことやアドバイスなどがあればぜひお教えください。

西巻先生:これまでの内容を踏まえると、インターネット上にある画像を勝手に使ったり加工したりすると、著作権侵害にあたる可能性が高いです。「やっている人がたくさんいるから大丈夫」と思う人もいるかもしれませんが、それは全く関係ありません。

なのでSNSのアイコンは自分でオリジナルのものを作って設定したり、フリー素材を使ったりして、著作権を侵害しないように気をつけることが重要かなと思います。

まとめ

ネット上にアップされている画像をアイコンに使うと、問題になる可能性も(Image:Koshiro K / Shutterstock.com)

安易な考えで“ネット上にアップされている画像”をアイコンに使うと、問題になる可能性が…

好きなアニメキャラや芸能人だからといって、勝手にそれらの画像をSNSのプロフィールアイコンに設定してしまうと、著作権侵害や肖像権侵害にあたることがわかりました。

西巻先生いわく、「ネット上にあるアニメキャラや芸能人などの画像をアイコンに使用することは、問題となる可能性が高いです」とのこと。そのため、少しでもアイコン画像に不安を感じる人は、権利侵害にあたらない画像に差し替えた方がいいでしょう。

「他の人もやっているから…」「加工すれば大丈夫」など、安易な気持ちでネット上の画像をアイコンに設定してしまうのはオススメできません。

罪に問われる可能性が高いか低いかではなく、モラルや常識を持って最適なアイコンを選んでいきたいですね。

●著作権に関する弁護士への相談についてはこちらを「著作権について弁護士に相談して解決する必要性と弁護士費用の目安」ご参照ください。

●取材に協力していただいた弁護士法人「咲くやこの花法律事務所」は→こちら

※サムネイル画像(Image:FellowNeko / Shutterstock.com

若林勇希
編集・ライター。編集プロダクションやライティングスクールの講師として5年以上WEBライター業に携わっており、現在は独立してフリーライターとして活動中。これまで様々なジャンルを手掛けてきたが、最近はガジェットやスマホ関連の記事を執筆することが多い。「老後2000万円問題」のために、iDeCoやつみたてNISA、貯蓄型保険なども実践している。

Twitter:@webwriter888

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