2021年12月従業員数300人以上の企業の経営者・会社員300名を対象とした、「メール誤送信の実態調査」(実施:サイバーソリューションズ株式会社)によれば、「役職や部署問わず、約6割がメールの誤送・誤受信を経験」しているという結果が出た。
チャットツールの普及によりメールの使用機会はいくらか減少傾向にあるものの、当然ながらビジネスコミュニケーションにおいてメールの使用は欠かせない。メールについては、自動でパスワード規制をかけるもの、送信ボタンを押してから再度確認の機会や一定時間送信されないなど、誤送信を防ぐサービスも普及している。個人情報保護や企業情報漏洩などに以前より厳しい目が向けられることが理由だが、それでも、誤送・誤受信を経験した人が多いことがわかった。その結果として、何が起きたのだろうか。
立場に関わらず誤送信・誤受信を経験。少数ながら重要情報の誤送信も!
同調査によれば、経営者も会社員も、ほぼ同じ割合で、誤送・誤受信を経験している。また、誤送信・誤受信の経験があると答えた人のうち約5割が「自分がメールを誤送信した」と回答。他にも、「誤送信メールを受け取った」、「自社内でメールの誤送信が起きた」の回答も多く、日常業務においてメールの誤送信・誤受信は誰もが起きていることがうかがえる。
誤送信の中で最も多いのが「宛先の入力ミス」の74.4%。「添付ファイルのミス」も40.7%あり、送信者が受信者からの信用をなくしてしまう場面があることがわかる。「添付ファイルの添付し忘れ」が47.1%と、これは確認漏れのなかでも軽度かもしれないが、仕事でのミスを連想させるため、当然ながらプラス効果は何もない。
そして6%と少数ながら「企業の信用や運営に関わる重要な情報を誤送信」した経験があるとの回答があった。メールの誤送信をきっかけに、ビジネスに大きな悪影響を及ぼす事態が起こりうる可能性もある。
企業のみならず行政でも発生。社会への悪印象は極めて大きい
顧客リストなど個人情報を社外に誤送信してしまった場合、氏名・年齢・性別・住所・電話番号・メールアドレスなど重大な情報が含まれている場合、全員への謝罪や損害賠償、社会への公表による会社の信用失墜、それによる取引停止など、多大なる影響がある。
この調査でも誤送信を起こした後の対応方法では、「誤送信先に謝罪メールをする」が83.1%と最も多かったが、13.3%と少なくない割合で「直接謝罪に伺う」という回答も。面と向かって謝罪するとは、よほど重大なミスだったのかもしれない。 また、誤送信後の結果については、上司からの注意や報告書の提出といった内容に留まらず、「懲戒処分」(9.4%)、「相手先から損害賠償請求」(3.6%)など、聞いているだけで肝の冷える事例もあったようだ。
実際に世間でニュースになった誤送信事例などでも、2017年8月に経済産業省資源エネルギー庁が「電力需給が逼迫(ひっぱく)している」とした緊急速報のテストメールを誤送信したものや、2021年1月に和歌山市で新型コロナウイルス感染者414人分の個人情報などが含まれた資料データを外部に誤送信してしまったものなどが存在する。
これはほんの一部。行政であるため取引停止ということはないが、信用は失った。これが自社であったならば・・・。メールは手軽で頻繁に行うため確認不足になりがちだが、改めて注意をしないと、取り返しのつかないことにつながる。
出典元:メール誤送信の実態調査 2021【サイバーソリューションズ株式会社】