テレワークが進み、オフィス勤務者の大半は自宅等での作業が認められる会社が増えている。ただ、「経理は紙の処理が多いので出社が必要」という声も聞く。実際はどうなっているのだろう。SBIビジネス・ソリューションズ株式会社による「請求書関連業務のDXとインボイス制度に関する調査」の結果によれば、「あなたが務めている会社では、請求書関連業務の中で紙を印刷していますか?」という質問に対して、実に77.4%もの人が「はい」と回答。経理担当者の約8割がアナログな事務処理を行っていることが明らかとなった。なぜ、紙の印刷が必要なのだろう。
請求書関連業務で紙が必要な担当者は77.4%。しかも1人担当が約半数!
2022年1月に施行された、電子帳簿保存法という法律をご存じだろうか。簡潔にまとめると、帳簿や決算書、請求書など国税関係帳簿・書類を、一定の条件を満たせば電子化して保存することを認めるもの。例えば、決算に関わる貸借対照表、損益計算書など、請求に関わる見積書や請求書などの電子データ保存の事前申請が不要になるなど、紙で保存する必要性がなくなってきている。
このような状況に対して、企業はどう反応しているのだろう。SBIビジネス・ソリューションズ株式会社が、経理・会計・財務を担当しているビジネスパーソン約400名を対象として2022年1月28日に実施した「請求書関連業務のDXとインボイス制度に関する調査」の結果がある。これによれば、「請求書関連業務(請求書の作成、送付、入金確認、督促、仕訳計上など)のいずれかの時点で紙を印刷してアナログな事務処理を行っている」と答えた経理担当者は77.4%。
さらに、「請求関連業務を何人で行っているか」という質問に対して、約半数となる48.8%が「1人」であると回答。多岐にわたる請求書関連業務を1人で行うという、「1人経理」状態が一般化していることがわかった。企業におけるペーパーレスが進んでいるイメージはあるが、経理が煩雑な紙の処理を1人でしている、という状況のようだ。
デジタル化にはお金がかかる? 進まない理由には「理解」と「制度」も
なぜ請求書関連業務のデジタル化は進まないのだろう。担当者からすれば、デジタル化すれば楽になることは確実に思えるのだが…。その理由について複数回答で質問したところ、32.5%と最も多かったのが「システムの開発・導入にコストがかかるから」という回答。「デジタル化の費用が高い」という理由以外にも、「費用に対する効果が実感できない」という理由でなかなか導入に踏み切れない企業も多そうだ。
2位以下の理由では「お客様・取引先の理解を得られないから」が27.8%、「ワークフローや社内制度の見直しが必要になるから」が20.8%と続き、コスト面以外でも社内外の「理解」や「制度」といったソフト面での課題があることも分かった。
経営者目線で考えると、デジタル化による経理担当分の人件費削減によって費用対効果はありそうだが、そうはいかない理由がいろいろあるようだ。とはいえ、月末月初などに業務が集中する経理担当者の叫びは、経営者にいつ届くのだろうか?
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