地方在住の人の中には、東京に対して憧れを持つ人も多い。「とにかく東京に出たい」という思いには「東京はきらびやかな場所」「華やかな暮らしが待っている」というイメージもあるだろう。ただ、株式会社ビズヒッツによる上京転職者を対象とした「上京して転職した理由に関する意識調査」の結果からは、意外と現実的な理由で上京し、実は多くの不安を抱えていることがわかった。
上京して転職した理由の2位は「東京への憧れ」だが、1位は?転職する際に不安に感じていたことは何なのだろうか?
憧れと現実。上京転職をした理由から、人の心が見えてくる
現代の上京事情の一旦が見えた。皆さんは、上京や、上京した人に対して、どのようなイメージを持っているだろうか。株式会社ビズヒッツが2022年1月9日~24日に実施した、上京転職の経験がある192人を対象とした「上京して転職した理由に関する意識調査」の結果が発表された。それによれば「上京して転職した理由」の1位は「地方より仕事が多い」。たしかに求人数は圧倒的だ。一方で求職者数も多いため単純に“仕事が多いから就職しやすい”という訳ではないだろうが、それでも仕事が多いこと自体は事実だろう。
2位は「東京への憧れ」。これは昔も今も、メディアなどの影響を受けて、変わらない思いを持つ人も多いはずだ。3位は「地方より収入が高い」。1位に続いて現実的な理由があった。4位は「やりたい仕事が東京にある」。これは、仕事が多いことだけでなく、絶対数が少ない仕事が東京に集中する、ということが要因だろう。「地方を離れたい」「楽しく暮らせそう」という憧れ系の回答も上位になった。
生活費や知り合いの少なさと、今の暮らしを変える不安が入り混じる上京転職の事情
現実的な理由、憧れによって東京へと転職していく人たち。そこには希望が感じられるが、誰しもが多少なりとも不安を持っているだろう。地方から上京して転職した経験のある人に「上京転職するうえで最も不安だったこと」の結果を紹介しよう。2位は「知り合いがない」。理由として「周りに知り合いがいないため、頼りにできる人がいないこと(転職時24歳 女性)」や「知り合いもいないところでやっていけるか、友達ができるか不安だった(転職時30歳 女性)」などと回答されている。地元であれば、昔からの知人・友人がたくさんいるし、転職者ということであれば仕事関連の知人も多くいるはずだ。それでも上京転職するという決断をするほど、そこに理由があったのだろう。
1位は「金銭面でやっていけるか」。「物価や家賃が高いので、生活していけるか不安でした(転職時23歳 男性)」、「『生活費が高いのでは』と不安でした(転職時26歳 女性)」、「地方より物価が高く、給与とのバランスが取れるか不安でした(転職時36歳 男性)」とのコメントが寄せられている。上京転職の理由として給与が高いという回答があったが、それとは反対に、物価や家賃など生活費の面での不安を抱えて転職した人が多かった。
3位以降では、3位「新しい仕事・職場への不安」。これは地元のままでもあるだろうが、それでも上京という特別なことだからこそ、その不安が大きくなっている面もあるはずだ。4位「仕事が見つかるか」は、仕事が見つからないまま転職のために上京したということか。思い切りのいい人、と言えなくもない。5位「一人暮らしできるか」は、親元を離れる、ということか。
上京ならではの不安と、今のくらしを変えることによる不安が入り混じる上京転職。それでも、地方から上京して転職した経験のある人に「上京転職は成功だったか、失敗だったか」を聞いたところ、「成功」が30.7%、「どちらかといえば成功」が50.5%を占めた。
東京への一極集中の是正、なんてことが言われているし、田舎暮らしの良さをメディアが盛んに発信している風潮もあるが、いま不安で状況を悩んでいる人は思い切って東京に行ってしまうのもひとつの選択肢かもしれない。
出典元:【上京して転職した理由ランキング】経験者192人アンケート調査【Biz Hits】