Windows 11の軽量版「Tiny11」を実際にインストールして使ってみた – 古いPCでも動作が軽い!

Windows 11は意外と要件が厳しく、古いパソコンでは利用できません。そのようななか、2023年2月2日にWindows 11の軽量版となる「Tiny11」が公開されました。Tiny11はTPM2.0やセキュア ブートに非対応でメモリが2GBしかない古いパソコンでも動作するとのこと。そこで今回は。「Tiny11」がどういったものなのか検証するために、実際にパソコンにインストールしてみました。

Windows 11の軽量版「Tiny11」とはいったい何なのか?

最新OS「Windows 11」は、TPM2.0やセキュア ブートなどに対応している必要があり、ストレージは64GB以上、メモリは4GB以上が要件となっています。

しかし、4〜5年前に購入したパソコンでも、TPM2.0やセキュア ブートなどに非対応なせいで、Windows 11にアップグレードできない場合もあるのです。

Microsoftの「PC正常性チェック」ツールを使うと、自分のパソコンがWindows 11の要件を満たしているか確認できる。とくにTPM2.0に対応していなことでNGになることが多いようだ

そこでMicrosoftは、公式サイトにおいて自らTPM2.0やセキュア ブートなどのチェックを回避する方法を紹介することになりました。

筆者は実際に「Rufus」というツールを使ってWindows 11の要件を満たしていない7年前の古いパソコンに、Windows 11をインストールすることに成功しています。

しかも、その後公開された大型アップデートの「22H2」をインストールすることも可能でした。詳しくはこちらの記事をご確認ください。

そのようななか、2023年2月2日にNTDEV氏がWindows 11 Pro 22H2をベースにした「Tiny11」をINTERNET ARCHIVEで公開しました。

このTiny11は、TPM2.0やセキュア ブートを回避できるだけでなく、Windows 11の余計な機能をすべて排除した軽量版となっており、ストレージは8GB、メモリは2GBといった非力なパソコンでも動作するのが特徴です。

(Image:YouTube.com)

NTDEV氏のYouTubeチャンネルによると、メモリは2GB以下でもTiny11は動作するとのこと(画像はNTDEV氏のYouTubeチャンネルより転載)

●YouTube「NTDEV」は→こちら

これにより、要件を満たせずWindows 10からアップグレードできなかった古いパソコンにWindows 11をインストールできるようになるのです。

ただし、このTiny11はNTDEV氏が個人的に開発したもので、Microsoftの正規品ではありません。当然、利用するにはベースとなっているWindows 11 Proのライセンスが必要になることを覚えておきましょう。

■Tiny11の注意点

【1】Microsoftの正規品ではない
【2】Windows 11 Proのライセンスが必要になる
【3】今後のセキュリティアップデートできるかは不明

Tiny11をインストールする方法

それでは、Windows 11の要件を満たしていないパソコンで、実際にTiny11をインストールしてみましょう。今回は7〜8年ほど前に購入した、Windows 11の要件を満たしていないA4-7300(3.8GHz)搭載のデスクトップパソコンで実験します。

まず、INTERNET ARCHIVEというWebサイトから「Tiny11(tiny11 b1.iso)」をダウンロードしましょう。約3GBのファイルなので多少時間がかかります。

●INTERNET ARCHIVE「tiny11」は→こちら(英語)

Tiny11を入手する手順

(Image:archive.org)

INTERNET ARCHIVEを開いたら「tiny11」のページ画面右側にある「ISO IMAGE」をクリックしよう(画像はINTERNET ARCHIVE公式サイトより転載)

(Image:archive.org)

「tiny11 b1.iso」は2.95GBの1ファイルなので、ダウンロードするには多少時間がかかるはずだ

Tiny11のISOファイルを入手したら、USBメモリでTiny11をインストールするために、「Rufus」を利用してインストール用USBメモリを作成します。

作成方法はtiny11 b1.isoをRufusに登録してスタートボタンを押すだけ。ただし、USBメモリはフォーマットされて、なかのデータはすべて消去されるのでご注意ください。

●Rufusは→こちら

Rufusでインストール用USBメモリを作成する手順

まず、パソコンに十分な容量(3GB以上)があるUSBメモリを接続する。中身はフォーマットされて消去されるので要注意!(筆者撮影)

Rufusを起動したら「tiny11 b1.iso」を画面にドラッグして登録し、パーティション構成を「GPT」、ターゲットシステムを「UEFI(CMS無効)」に設定して「スタート」を押す

数分待つと「準備完了」と表示されるので、「閉じる」を押せば終了

あとは、パソコンのBIOSでUSBメモリをブート(BOOT)に指定して空のHDD(GPT形式)にインストールすればOKです。インストール画面もWindows 11とほとんど同じ感じなので、さほど難しくはないでしょう。

インストール画面はすべて英語ですが、途中で国を選ぶ画面ではJAPAN(JAPANESE)を選択します。また、「Enter Your name」欄ではパソコンのローカルアカウントネームを入力し、パスワードは入力する必要はありません。

なお、Rufusを利用してWindows 11のインストール用USBメモリを作成する方法と、パソコンにインストールする方法については、こちらの記事で詳しく解説していますので参考にしてください。

Tiny11をUSBメモリからインストールする手順

パソコンUSBメモリを挿した状態で、起動時に「Delete」キーを押してUEFI(BIOS)を呼び出す。UEFI画面では「SETTINGS」の「Boot」からインストール用USBメモリを指定する(画面はmsiの場合)

すると、インストール用USBメモリが読み込まれてTiny11のインストーラーが起動するので、最初に「Keyboard」の言語を「US」から「Japanese」に変更して「Next」を押す

次にライセンス条項が表示されるので、画面下の項目にチェックを入れて「Next」を押そう

Tiny11をインストールするドライブが表示されるので、確認して「Next」を押す。もし、複数のHDDを接続している場合は間違えないように選ぶこと

Tiny11のインストールが始まった。パソコンの性能にもよるが、この作業には数10分程度かかるはずだ

この画面になるとTiny11が再起動するので、パソコンからインストールUSBメモリを外して、BIOS画面でTiny11がインストールしてあるHDD(SSD)を指定しよう

再起動後は国を選ぶ画面が表示されるので、「JAPAN」を選んで「Yes」を押す。次の画面ではキーボードの国を選択するので、やはり「Japanese」を選択しよう

この画面ではパソコンの名前を指定して「Next」を押す。次の画面でパスワード入力を求められるが、入力せず「Next」を押しても大丈夫だ

このあと、プライバシー設定などを行うと最後のインストール作業が行われるので数分間待とう

Tiny11が起動した。当然のことだが見た目はWindows 11 Proそのものである

Tiny11を「日本語化」したり「Edge」をインストールする方法

無事Tiny11のインストールが終わったら、画面がすべて英語表記なので、まずは日本語化してみましょう。

また、Tiny11はデフォルトで米国時間になっているので、これも日本時間に変更しておきます。

Tiny11を日本語化する手順

「設定」画面を開いたら「Time&language」を選び、「Preferred languages」の「Add a langage」をクリック。検索欄に「nihon」と入力すると「日本語」が表示される

日本語の「Install language features」画面ではすべてにチェックを入れ、画面下の「Install」をクリックすればOKだ。これでTiny11が日本語化される

Tiny11の時間を日本時間にする手順

続いて設定を開き、「時刻と言語」画面の「国または地域」項目で「米国」をタップして、表示されるメニューから「日本」を選択すると日本時間が表示されるようになる

Tiny11にはWebブラウザアプリがありません。おそらく軽量化するために削除されたと思われますが、さすがにこれでは何もできないので、Microsoft EdgeをMicrosft Storeから入手してインストールしましょう。

とくにMicrosoftアカウントでログインせずともダウンロードは可能です。もちろん、Microsoft Edgeがインストールできれば、Google Chromeなどほかのアプリも入手できるようになります。

Microsoft Edgeがイヤな人は事前にGoogle Chromeをダウンロードしておき、USBメモリなどでコピーしてインストールすればいいでしょう。

Microsft StoreからMicrosoft Edgeを入手する手順

まず、タスクバーやメニューにある「Microsft Store」を開いてMicrosft Edgeを検索しよう

とくにMicrosftアカウントでログインしていなくてもMicrosft Edgeなどのアプリはダウンロード可能だった

Microsft Edgeを入手できれば、Google Chromeを始め、必要なほかのアプリも入手可能となる

Tiny11を使用してみて気が付いたこと

まず、Tiny11をインストールした感想は非常にサクサク動くことです。これならかなり古いパソコンも生き返ることでしょう。

次に、インストール直後にアプリ一覧を確認したところ「Microsoft Store」「Microsoft Teams」「Notepad」「Paint」「Photos」「camera」「Windows Security」など、16アプリが確認できました。

不要なアプリはほとんど入っていないので、軽いのは当然ですよね。ちなみに、ディスプレイドライバの「AMD Catalyst Control Center」は自動的にインストールされていたようです。

こちらがTiny11をインストールした直後のアプリ一覧。「Microsoft Store」「Microsoft Teams」「Notepad」「Paint」「Photos」「camera」「Windows Security」などがあるのが確認できる

次に、今回使用したパソコンの内容とWindowsのバージョンを調べるために「システム」を開いてみます。すると、Tiny11のエディションはWindows 11 Proのバージョン「22H2」であることが確認できました。

Tiny11はやはり「Windows 11 Pro」のバージョン「22H2」であることが確認できた

最後に、Tiny11はメモリが2GB以下でも動くというのがウリだったので、タスクマネージャーで確認したところ、普通に8GBメモリの内3.7GBも使用していました。

VMwareの仮想マシンで実験した場合は、2GB以下で動作していたという報告もあったので、これは少し意外です。

筆者は、Tiny11を日本語化したりMicrosoft Edgeアプリをインストールしたあとで確認したため、それが影響しているのかもしれません。

タスクマネージャーを開いたところ、8GBメモリのパソコンだったこともあり、なぜかメモリは3.7GBも使用していた。これはいったい?

まとめ

いかがですか? Tiny11はTPM2.0に非対応の古いパソコンでも確かに動作しました。しかも、非常に動作が軽いのが好印象です。これなら古いパソコンでもサクサク動作することでしょう。

ただし、このTiny11はMicrosoft非公認ですのでWindows 11 Proのライセンスを持っていない人が使うのは問題があります。

また、Tiny11は今後セキュリティアップデートがどうなるのか分からないので、この先も長期間使うのは危険でしょう。この点はくれぐれもご注意ください。

すずきあきら
編集・ライター。パソコン通信時代からネットワークに接しWi-Fiやインターネット、SNSなどに精通。30年に渡って、パソコンやスマホ関連のムック本や雑誌記事を手がけてきた大ベテラン。最近は格安SIMなどのケータイ料金やアプリ、通信費全般の記事を執筆することが多い。

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