日々世界中でその利用法について議論されているチャット型AI・ChatGPT。日本でも多くの企業がChatGPTを活用したサービスを開始させるなど、さまざまな分野に導入されつつある。エリートの代名詞である弁護士たちはこの状況をどう分析しているのだろうか。弁護士ドットコムが発表した登録弁護士146人への調査結果を見ると、その7割が導入に期待を寄せているという。
ChatGPTについて弁護士146人が見解を示す
米・OpenAI社が開発したチャットサービス「ChatGPT」。昨年11月にローンチされて以来、会話形式での質問回答にとどまらず複雑な文章の生成からプログラミングまで、その処理能力の高さで人々を驚かせ続けている。弁護士ドットコム株式会社は登録弁護士146人を対象に「チャット型AIツールの活用」について調査を実施。すると、ChatGPTの利用状況については「知っているが未使用」が39.7%と一番高く、「業務・私的に活用」「私的に活用」と活用自体をしたことがあると答えたのは28.8%だった。
具体的な使い方についての回答を見ると、「メール文案作成」や「法律相談の回答の概要作成」から「契約条項の確認 込み入った事案の類似判例の調査」「音声の文字起こし。必要書類のリスト化、関連判例の抽出」「一般論(非法律事項、法律事項問わず)の概略の説明」などのやや煩雑な業務まで、さまざまな用途で利用されていることがわかる。
弁護士が考えるChatGPTへの期待と不安
さまざまな分野で活用されているChatGPT。今回調査に参加した弁護士の7割が、弁護士業務にAIが導入されることについて期待感を持っていることが判明した。その中には「判例などの調査」や「依頼者・相談者らからの聞き取りの文字お越しや要点整理」など作業効率を上げることに対する期待の声が多く寄せられていた。一方で、「事実関係や法律上の間違い」「守秘義務や情報漏洩」などの弁護士業務に密接する項目への懸念もあるようだ。
調査では具体的な意見も紹介。書面作成などの事務負担軽減への期待は大きいものの、セキュリティー面や精度にはまだ不安が残ると感じている人が多い。ほかにも、責任の所在を問う意見や、AIによる誤答を一般人が信用してしまうのではという意見もあり、本格的な実用化にはまだ課題が山積みのようだ。
しかし、「論文や判例データを参照するようになったら業務に十分使用可能になると思う」という声も。将来的には法律相談を会話型AIが受け持ち、法的見解を含む専門業務などを弁護士が受け持つ…というハイブリッド型の弁護士事務所も登場するかもしれない。
出典元:【弁護士ドットコム株式会社/PR TIMES】
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