「AIと著作権」の見解を文化庁が発表、生成AI画像は類似性が認められると著作権侵害に

2023年に入り急速に存在感を高めている「生成AI」。アメリカ発の対話型AIのChatGPTが人員不足や業務非効率状態の改善策として、自治体や企業の業務に活用されはじめ、国内のIT企業や研究機関も技術開発に乗り出す、まさに生成AI勃興時代となっている。ビジネスシーン以外でも、アドバイザー的役割で対話型AIは活用されるなど、一般社会全体に浸透しているが、現在、多くの人の関心を集めているのは「生成AI画像」だ。

写真と見紛うほど零細に描出された画像、前衛的な色合いが目を引くアーティスティックな画像など、SNSにアップされれば、たちまち話題を呼んでいる。こうしたなか、政府は「AIと著作権」にまつわる見解を発表した。生成AI画像が市民権を得るうえでなくてはならないボーダーラインは今後、明確になるのだろうか。

生成AI画像がアート・出版業界を席巻! 業界構造の変化は不可避?

生成AI画像

生成AI画像のクオリティの高さには驚くばかりだ(画像は人工知能(AI)システムによって生成されています)

ニュースでも取り上げられるほどセンセーショナルなトピックスとなっている「生成AI」。最先端技術であることを明確に感じさせる生成物のクオリティの高さはもちろん、簡単な操作とシンプルな素材投入で生成できる点も社会に浸透する要因だろう。

以前から、AIが人類と対立・共存するSF映画がヒットし、AIの人道的な活用に向けた議論は世界規模で展開されてきた分、デジタルネイティブ以外の層も円滑になじんでいる印象があるが、想像以上の進化を感じさせた出来事といえば、2022年末にAIが生成した画像がアメリカの美術品評会で優勝作品に選ばれたことではないか。アーティストが長い年月をかけて描いた作品よりも、短い文章をAIが絵に変換した作品が優れている。その事実に、AIの進化を感じずにはいられなかったはずだ。

日本国内でも、AIが生成した画像が話題になっている。集英社から、AI生成画像を使用した写真集『生まれたて。』が発売され、誌面を飾る美少女のリアル感が読者を驚かせている。週刊誌などの表紙をグラビアアイドルやモデルが彩るのはおなじみの光景だが、この新たな試みはキャスティングや撮影、編集などの手間をかけることなく、遜色のない画像を短時間で作れることを意味する。画像を扱う業界にとっては“革命”といえる技術なのだ。

著作権侵害のボーダーラインは「類似性」、クリエイターとAIが共存する社会に向けて

クリエイターとAIが共存(Image:MarbellaStudio / Shutterstock.com)

著作物保護の観点から文化庁および内閣府が立ち上がったかたちだ

生成AI画像が注目を集める一方、日々、絵や写真を手掛けるクリエイターからすると自身の制作物が「AI生成の素材」として利用される不安もある。手塩にかけて生み出した作品をブラッシュアップして世に出されたら、クリエイターとしては、たまったものではない。

5月30日に文化庁ならびに内閣府は、「AIと著作権の関係等について」という文書を公開した。そこでAIを利用して生成された画像に関する見解がつづられている。

AIと著作権の関係等について

(画像は「文化庁著作権課」(PDF)より引用)

AIで生成した画像等をアップロードして公開、複製物を販売する場合の著作権侵害については、著作権法で利用が認められている場合を除き、通常の著作権侵害と同様に扱われる。そのため、既存の画像等の著作物と類似性や依拠性が認められると、著作権侵害として著作権者は損害賠償請求や差止請求などが可能となる。

成長著しい生成AIの在り方に一石を投じたかたちとなった今回の文書。社会的に認められる一方で、社会のルールに則った活用が求められることになった。今後、クリエイターとAI、お互いが切磋琢磨し発展し合える関係が築かれていくのか、注目だ。

引用元:【文化庁著作権課(PDF)
参照元:【朝日新聞GLOBE+

※サムネイル画像(Image:人工知能(AI)システムによって生成されています)

オトナライフ編集部
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