ここ数年よく耳にするようになった「リスキリング(学び直し)」。岸田首相が育休中にリスキリングをできるように支援すると言って、「育休は休みではない」「家事もままならない中なのに」といった批判が巻き起こったり、政府が個人のリスキリング支援に5年で1兆円を投じるなどの話を耳にした人も多いだろう。というように、リスキリングが身近なものになっている昨今、30代のビジネスパーソンに「なりたい自分とリスキリングに関する意識調査」を行ったのでみてみよう。
働く30代がなりたい姿は「ワークライフバランスを保っている」「時間の使い方がうまい」
調査の対象は30歳から39歳の就労中の男女1000人。「ビジネスパーソンとしてなりたい姿」を聞いたところ、1位は「ワークライフバランスを保っている」で40.5%、2位が「時間の使い方がうまい」で40.1%、3位が「社内で信頼される」で35.1%という結果だった。1位と2位から、会社に長くいることがよく仕事をしているという評価だった一昔前とは違うことがわかる。
また4、5位には「専門スキル、知識を身につける、強みをもつ」といった専門性を高めることが挙げられ、自身の価値を高めたいといった意識が感じられる。
次に、「自分の将来に対して、どのくらい不安を感じているか」との問いでは、「非常に不安を感じている」が27.7%、「どちらかといえば不安を感じている」が49.2%で、8割弱が何かしらの不安を抱いていた。まだ30代の働き盛り、この不安が向上心につながっていくのだろう。
最も必要と思われているスキルは「コミュニケーション」力
次に「リスキリングの必要性」について聞いたところ、「非常にそう思う」は16.8%、「どちらかといえばそう思う」が54.4%で7割強が「リスキリングが必要」と思っているという結果で、将来に不安を感じている割合とほぼ一致する。
だが、「リスキリングに取り組んでいるか」との問いに、「取り組んでいる」と答えたのは12.0%にとどまっているのが現状だ。
では、「リスキリングに取り組むうえで足かせになっていること」とはなんだろうか。最も多い回答が「仕事の忙しさ」で35.5%、次が「金銭の不足」で34.3%、「リスキリングに関する知識不足」で26.7%と続いた。知識不足に関しては、「何を学ぶべきかわからない」「自分にあった学び方がわからない」など、目的や方法を見いだせていないといった人が一定数いることもわかった。
さらに、リスキリングに取り組んでいる人、取り組む意向がある人にその「目的」を聞いたところ、1位は「給与アップ」で41.6%、2位が「新しい業務スタイル・知識の習得」で30.3%、3位が「業務スキル・知識のアップデート」で29.7%だった。
「これからの時代に求められるスキル(複数回答可)」の質問では、1位が「コミュニケーション」で38.9%、2位が「デジタル・IT」で30.4%、同率3位が「情報収集・問題解決」で28.3%だった。これからの時代はAIが活躍する分野が増えるので、AIにはまだ難しいとされる「コミュニケーション」の能力と、それらを使いこなす「デジタル・IT」スキルに注目しているということだろう。
最後に「20代のうちに習得しておくべきだと思うスキル(複数回答可)」について聞いたところ、1位が「コミュニケーション」で37.9%、2位は「語学」で26.8%、3位が「デジタル・IT」で20.3%とのことだった。こちらでもコミュニケーションスキルが重要とみられているようだ。