意外と知らない、キーボードの「かな入力派」はいまでもどれくらい存在しているのか

キーボードでの日本語入力方法には大きく分けて「ローマ字入力」と「かな入力」があります。ローマ字入力はアルファベットを使って日本語を入力する方法で、かな入力はキーに直接かな文字が割り当てられている方法です。

意外と知らないキーボードの「カナ入力派」はいまでもどれくらい存在しているのか1

たとえば「あざらし」という言葉を入力する場合、ローマ字だと「a」「z」「a」「r」「a」「s」「i」と7回キーを打つ必要がありますが、かな入力の場合は「あ」「さ」「゛」「ら」「し」の5回で済みます。つまり、日本語に慣れていると効率的に文字を打つことが可能。

ローマ字入力とはまったく異なるかな入力ですが、使っている人がとても少ないのも事実。いまかな入力を使っている人はどれくらいいるのでしょうか。

JISかな入力で日本語入力をする人の割合

かな入力ユーザーは年々減少傾向にあります。「JISかな配列」の利用者は25年で50%も減少しています。

【1990年時点】55.1%が「JISかな入力」

実は1990年にワープロ所有者に対して行われた入力方法のアンケートでは、55.1%が「JISかな入力」を利用していたというデータがあります。同調査によると、ローマ字入力は30.9%でした。

1990年といえば、パソコンの普及が始まった頃。ローマ字入力よりもかな入力の方が直感的に入力できるため、多くの人に受け入れられていたようです。

【2015年時点】5.1%が「JISかな入力」

しかし、2015年に週刊アスキーが行った調査によると、「JISかな入力」を使用する人の割合はわずか5.1%にまで減少。一方、ローマ字入力の使用者は93.1%。この大幅な減少の背景には、パソコンの普及とともにローマ字入力が標準的な日本語入力方法として定着したことが挙げられます。ローマ字入力は、英語のタイピングにも役立つため、グローバル化が進む中で、ローマ字入力を選ぶ人が増えたと考えられます。

河野デジタル大臣によるアンケート調査(2024年)では5.2%が「JISかな入力」

その後、2024年1月29日に河野太郎デジタル大臣がX上で「今日講演していたら、参加者全員がパソコンでメモでした。ところが聞いてみたら全員がローマ字入力。かな入力の方が明らかに速いのに」と嘆きつつ、ローマ字入力派かかな入力派のアンケートを取りました。

結果、94.8%が「ローマ字入力」。「かな入力」派は5.2%でした。つまり、かな入力が一部の特定のユーザーに根強く支持されている一方で、全体的な普及率は低いままであるようです。

ローマ字の弊害と「JISかな入力」のメリット

ローマ字の弊害と「JISかな入力」のメリット

2020年度情報処理学会関西支部支部大会で発表された論文「かな入力再考」によると、米津玄師さんの代表曲「Lemon」の歌詞を入力した際の打鍵数はローマ字入力が「1098字」なのに対し、かな入力は「660字」だったのこと。つまり、かな入力はローマ字入力と比べて打鍵数が60%で済みます。

また、ローマ字の場合は綴り方が多数存在しています。たとえば「ライオン」だとローマ字だと「raion」ですが、英語だと「lion」。同じアルファベットであるにもかかわらずまったく違う入力方法になるため、アルファベットで入力しているにもかかわらず英語の正しいスペルを覚えることにつながらず、覚えにくさを感じる人もいるのではないでしょうか。

ならば「日本語はかな入力」「英語はQWERTY配列で入力」とシンプルに分けてしまえば良い、という考え方もできるでしょう。日本語の入力効率だけを考えるならば、JISかな入力には優位性も確かにあります。

とはいえ「かな入力」が再度人気になるのは難しい可能性も

ローマ字の弊害はあるにせよ、残念ながら今後、1990年時点のようにかな入力が再度広く普及する可能性は低いでしょう。その理由のひとつは小学校でプログラミングの授業が必修化されたり、英語のタイピングスキルも重要視される時代において「JISかな入力」が再度主流になるのは難しいことが挙げられます。

プログラミング必修化を受けて、パソコンの授業では「プログラミング」が重視される傾向が強まっています。そしてWebサイトやアプリケーションのソースコードでは「英語」が多く使われているため、QWERTY配列を覚えることの優先度が子どもたちにとってもますます上がっています。

JISかな入力の学習を後回しにするならば、国語で覚える「ローマ字」の知識との組み合わせで入力しやすい「ローマ字入力」の方が子どもたちにとってはやはり覚えやすいでしょう。

とはいえ、JISかな入力は「日本語入力のスピードをさらに高めたい」方にとっては多少の学習コストを費やしてでも覚える価値がある入力方法ではあります。一部の層から熱狂的に指示される入力方法として、一定のシェアはキープし続けるかもしれません。

オトナライフ編集部
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