無理やりWindows 11にしてある「魔改造パソコン」は避けたほうがいいワケ

最近、ネットでは2~3万円で買える激安ノートパソコンをよく見かけます。CPUはCore i5、メモリ8GB、SSD256GB、OSはWindows 11でこの値段なら、かなりお買い得な感じがしますよね。でも、なかには本来Windows 11がインストールできないはずの“魔改造パソコン”も含まれているので、ちょっと注意が必要なんです!

ネットで急増している魔改造パソコンって何?

先日筆者は、古くなったノートパソコンを買い替えようと思って、久しぶりにネットショップで代替えパソコンを探してみました。すると、CPUはCorei 5、メモリ8GB、SSD256GB、OSはWindows 11をインストール、Officeまでついているノートパソコンが2~3万円ほどで大量に販売されているではありませんか……。

筆者は出張時のサブ機としてノートパソコンを使うだけなので、性能的にはネット閲覧とOfficeやAdobeアプリが使えれば十分です。ここまで安いなら、古いノートパソコンもアリかなと思ったのですが、すぐにあることに気がつきました。

それは、どうみてもWindows 11に対応できていなさそうな10年くらい前の古いパソコンにも、Windows 11が無理やりインストールされていること。

そもそも、Windows 11のシステム最小要件はCPUが1GHz以上、メモリは4GB以上、ストレージは64GB以上となっていますので、10年くらい前のパソコンでも十分クリアできます。しかし、UEFIセキュアブートやTPM2.0にも対応しないといけないので、実際には6年~7年くらい前のパソコンでもクリアできない場合もあるんですね。

それなのに、ネットでは10年以上前のノートパソコンに平気でWindows 11をインストールして販売しているのですから、不思議な話ですよね。これっていったいどういうことなのでしょうか?

こちらはCore i5でメモリ8GB、SSD256GB、OSはWindows 11 Proというスペックですが、2万8,000円と激安で販売されています。でも、ちょっと違和感を感じませんか?(画像はAmazon公式サイトより引用)

こちらはCore i3でメモリは8GB、SSD512GB、OSはWindows 11ですが、価格は2万5,000円です。どこがおかしいか気づきましたか?(画像は楽天市場公式サイトより引用)

本来、2017年の第8世代Core i以上でないとWindows 11はインストールできないはず!

実は、Windows 11のシステム最小要件をクリアできるCPUは、「第8世代Core iシリーズ」以降だと判明しています(ごく一部で第7世代も対応しています)。

第8世代のCore iシリーズは2017年にリリースされているので、それ以前のモデルでは本来Windows 11はインストールできないはずです。

先ほど紹介したノートパソコンは、Amazonのほうが第6世代Core i5で、楽天市場のほうはなんと第2世代Core i3です。第2世代は2011年のリリースですから13年ほど前のパソコンということになります。「じゃあ、違法にWindows 11をインストールしているものを売っているのか!?」と思うかもしれませんが、そうではありません。

実は、Microsoftは公式にシステム最小要件を回避してWindows 11をインストールできる方法を公開しており、その方法で簡単にインストールできてしまうので、これは違法とは言えないんですね。確かに、2025年10月にはWindows 10のサポートが切れるのに、今さらWindows 10のパソコンを買う人はいないので、中古パソコン業者もこのような魔改造を施しているのでしょう。

それでは、どうやって魔改造パソコンを見分ければいいのでしょうか? IntelのCPUの世代を見分けるのは意外と簡単です。たとえば、第7世代のCore i7は「Core i7-7700K」で、Core i7の後ろの数字が“7”で始まります。第8世代なら「Core i7-8700K」、第12世代なら「Core i7-12700K」となっているのです。

なお、AMDのCPUは「Ryzen 2000シリーズ」以降がWindows 11のシステム最小要件をクリアしています。

こちらがIntelのCPU「Core iシリーズ」の発売日と表示例です。基本的には第8世代以降がWindows 11のシステム最小要件をクリアできると覚えておきましょう(表はIntel公式サイトを基に筆者が独自に作成)

●Microsoft「Windows 11 でサポートされている Intel プロセッサ」は→こちら

こちらはCPUがCorei5-8350U(第8世代)、メモリ8GB、SSD256GBのパソコンです。OSはシステム最小要件をクリアして正式にWindows 11 Proにアップグレードされたものだと思われます。それでも、たった2万3,980円なのは驚きの安さですね(画像はAmazon公式サイトより引用)

魔改造パソコンは絶対に避けたほうがいいのか?

ネットショップで大量に販売されている中古パソコンのなかには、本来はWindows 11に対応しないモデルに、無理やりWindows 11をインストールしている魔改造パソコンがあることがお分かりいただけたと思います。

実は、筆者も9年前の古いパソコンにシステム最小要件チェックを回避してWindows 11をインストールしてみましたが、まったく問題なく動いています。しかも、今のところ普通にアップデートもできているんですね。

したがって、ネットでこのような魔改造パソコンを購入しても恐らく普通に使えるでしょう。しかし、今後のメジャーアップデートに対応できるとは限りませんので、将来も安心して使えるわけではありません。

そのような事情を承知したうえで、とりあえず1~2年だけ2万円くらいでWindows 11の魔改造パソコンを使いたい。あるいは、文章を書くだけでオンラインでは使わないといった用途であれば、まったく問題ないと思われます。もちろん、その場合でもメモリは8GB以上、SSDは256GB以上のモデルがオススメになります。

「いやいや、そんな魔改造パソコンなんてとんでもない!」と感じる人は、やはり正式にWindows 11に対応している第8世代以降のCore iシリーズのパソコンを購入したほうが、安心して長く使えるでしょう。

まとめ

いかがでしょうか? 今回は中古パソコンを購入するときに気をつけたい魔改造パソコンについて解説しました。システム最小要件を回避してWindows 11をインストールしたくらいで“魔改造”というのは大袈裟だと思う人もいるでしょうが、こうした事情を何も知らずに買って後悔する人もいると思うので、今回は警告の意味も込めてあえてこのような表現にしています。

中古パソコン業者側も、せめて「この製品はシステム要件を回避してWindows 11をインストールしています」くらいの注意書きをすべきだと思うのですが、現状では野放しになっています。今後、中古パソコンを購入するときは、このような製品も紛れていることを、覚えておいてください。

※サムネイル画像(Image:sdx15 / Shutterstock.com)

すずきあきら
編集・ライター。パソコン通信時代からネットワークに接しWi-Fiやインターネット、SNSなどに精通。30年に渡って、パソコンやスマホ関連のムック本や雑誌記事を手がけてきた大ベテラン。最近は格安SIMなどのケータイ料金やアプリ、通信費全般の記事を執筆することが多い。

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