スマホがあればパソコンは不要? 意外と知らないスマホとパソコンのCPU性能差

自宅で「デスクトップパソコン」「ノートパソコン」を利用している方は、この記事をお読みの方の中にも多いでしょう。しかしモバイル端末のCPU性能が急激に上昇している昨今、簡単なブラウジングやソフトの利用であれば「スマホ」で代替できるのでは?と、気になっている方もいるでしょう。

「スマホがあればパソコンは不要」となる日は、実は日常的な範疇であればそう遠くないかもしれません。今回は「スマホをメインの情報端末として利用している人の割合」や、スマホとパソコンのCPU性能差について解説します。

ネット利用環境は「スマホのみ」「スマホ+PC」の合算で9割

まずLINEヤフー株式会社が2024年2月に発表した「2023年下期のインターネット利用環境に関する調査」によると、現代のインターネット利用機器としてもっとも割合が高いのがスマホ。「スマホのみ」の利用者は54%、「スマホ+パソコン」の組み合わせは37%となっています。

合算すると9割以上の人がネット利用の方法としてスマホを利用していることになります。つまり「メインの情報端末」の座は、すでにパソコンからスマホに移り変わっています。

実はOSシェアの主戦場も「スマホ」に移行済み

(「Statcounter Global Stats」調べ)

2024年7月時点の「Statcounter Global Stats」による集計では、全OS(PC・モバイル問わず)のうち、AndroidとiOSが占めるシェアは63.54%。つまりモバイルOSが「全OS」の6割以上のシェアを獲得しています。

なおWindowsは25.98%、mac OSは5.37%のシェア。ちなみにLinuxは1.61%で、PC向けOSのシェアは合算しても32.96%。つまり、OS全体で見てもスマホが主戦場となっていることが分かります。

「Apple A18 Pro」はパソコンのCPUと比べるとどれくらいの性能?

9割の人がスマホでネットを利用しており、OSシェアの主戦場も「スマホ」であるとしても、それは単に「便利だから」であり、低速な処理能力を我慢しながら多くの人はネットを楽しんでいるに過ぎないのかもしれません。

では「性能面」で見た際に、スマホがあればパソコンは不要であると言えるのでしょうか?

(画像は「Apple」公式サイトより引用)

スマホ向けCPUとして最高峰のモデルの1つ「Apple A18 Pro」と、AMDの内蔵GPU付きCPU(APU)「Ryzen 5 5600G」「Ryzen 7 5700G」のPassmarkスコア(※性能を数値化したもの)比較してみましょう。

なお「Ryzen 5 5600G」「Ryzen 7 5700G」はどちらも、一言で言えば「解像度を落とせば幅広いタイトルをそこそこ快適に遊べる」内蔵GPU付きCPU(APU)です。グラフィックボードなしでPCゲームが遊べる利点があり、Ryzen 7 5700Xなどと並び、発売から月日は経ちますがロングセラーであると言えます。

(画像は「PassMark Software」より引用)

結論から言えばPassmarkスコアはそれぞれ以下の通りです。

・Ryzen 5 5600G:19878
・Ryzen 7 5700G:24555
・Apple A18 Pro:12896

Ryzen 7 5700Gには及ばないとは言え、デスクトップパソコンでロングセラーモデルとなっている内蔵GPU付きのRyzenに対して、モバイル向けであるApple A18 Proは健闘していると言えるのではないでしょうか。

仮にApple A18 Proを搭載したiPhone 16 ProにWindowsをインストールし、起動できたとしましょう。そして端末にモニターとキーボードを繋ぐことができたならば、そのスマホは「ミニPC相当」の性能は十分にあるレベルだと言えるでしょう。

つまり「スマホがあればパソコンは不要」というのが極論というのは、突き詰めると「スマホにミニPCとして使える機能がないこと」が問題なのであり、性能そのものは「ゲームをするにはちょっと物足りないPC」くらいのレベルに近づいてきていると見られます(※ハイエンドスマホの場合)。

「スマホがあればパソコンは要らない」時代が来つつある?

スマートフォンの性能向上と普及率の高さを考えると、「スマホがあればパソコンは要らない」時代が近づいているように感じられます。実際の若者のパソコン利用率を見てみましょう。

Z世代のパソコン所有率はどれくらい?

(画像は「photoAC」より引用)

日本インフォメーションが実施したZ世代の情報収集・SNS利用についての調査によると、Z世代のパソコン所有率は27.8%でした。一方で、総務省が2024年8月に発表した「通信利用動向調査」によると、2023年のパソコンの世帯単位の保有状況は20代で65.7%。

一見結果が乖離しているように見えますが、これは「20代では6割越えの世帯がパソコンを所有している」ものの、「10代のパソコン所有率は極めて低い」ことをあらわしていると言えます。

学校でパソコンに触れても「家でパソコンを使わない」子どもも多い

(Image:Shutterstock.com)

さらに経済協力開発機構(OECD)が行った15歳の学習到達度調査(PISA)によると、学校以外でパソコンやタブレットを毎日使う日本の子どもは4割にとどまるとのこと。
「GIGAスクール構想」をきっかけに小中学生には1人1台パソコンまたはタブレットが配布されましたが、その端末を自宅に持ち帰ることを禁じる学校などもあり、子どもが自宅でパソコンを触る機会が少なくなっているようです。

スマホが「ミニPC」の役割を果たす日が来る?

今回、本記事では最高峰のモバイル向けチップとしてApple A18 Proを取り上げましたが、2024年10月に正式発表されたクアルコムの次期ハイエンドスマートフォン用チップ「Snapdragon 8 Elite」の性能の進化も目覚ましいです。Apple A18 Proに匹敵するか、追い抜くレベルの高性能です。

スマホがミニPCを兼ね、ブラウジングや文書入力、簡単な表計算やソフトの利用を目的とした「家のデスクトップパソコン」「家のノートパソコン」の座を奪う日は意外と近いかもしれません。

※サムネイル画像(Image:Dontree_M / Shutterstock.com

オトナライフ編集部
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