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今さら聞けない、パソコンの「CPU」と「GPU」の違い! グラボはなぜ必要なのか?

パソコンの組み立てや購入時に必ずチェックすべきパーツが「CPU」と「GPU(グラボ)」。特に近年、脚光を浴びることが多いのは後者の「GPU(グラボ)」で、PCゲームのプレイから機械学習まで様々な用途に使われます。

とはいえあくまでごく一般的な用途で言えば、グラボは本当に必要なのか?は気になる点ではないでしょうか。グラボを搭載したゲーミングPCは20万~30万円以上の価格帯であることも多く、おいそれとは買えない金額でもあるためです。PCには「CPUだけがある」のでは不足するのでしょうか。今回は今更聞けない「CPU」「GPU」の違いを解説します。

CPUとGPUの役割・処理対象の違いは?

極めて簡単に言えばCPUは「頭脳」です。そしてGPUは「画像や映像の処理」を得意とするパーツです。もう少し詳しく言えば、CPUは「逐次的な処理」を担当するもので、GPUは「並列処理」を担当するものです。

CPUとGPUの役割・処理対象の違いは?1

(画像は筆者作成)

CPUは「頭脳」としてパソコン全体の制御を行う存在です。そして与えられた命令を順番に処理していくのが基本的な特徴です。

1.命令Aを実行
2.命令Aの実行結果がBならば完了
3.命令Aの実行結果がBではない場合は、命令Cを実行

というような形に、入力された情報や命令を上から順に実行するのがCPUです。

これに対してGPUは「並列処理」を得意としており、同じ計算を大量のデータに同時並行的に実行するのが得意です。「大量のデータに対する同時並行的な計算を一気に実行できる」という特徴が活かせる処理対象が、複雑なグラフィックの描写や動画編集であったり、機械学習であったりします。

またビットコインに代表される暗号通貨の「マイニング」作業もGPUが長年得意としていた領域の1つです(※2024年現在はASICによるマイニングが主流です)。マイニングをCPUで行うのは基本的には非効率であり、それでも実施するならばCPUで採掘可能な暗号通貨を慎重に見極める必要があります。

GPUは基本的にCPUに内蔵されている

このように書くと「複雑なグラフィックの描写や動画編集は、グラボを搭載していないうちのノートパソコンでもできているじゃないか」と思う方もいるでしょう。グラボの存在を意識していなくとも、ある程度のグラフィック描写や動画編集が普通のパソコンでできる理由は「GPUは基本的にCPUに内蔵されている」ためです。

GPUは基本的にCPUに内蔵されている1

(画像は「ADM」公式サイトより引用)

つまり重い処理でなければ、CPU単体でも「CPU」と「内蔵GPU」の組み合わせで処理できると言えます。この内蔵型GPU(APU)は、一般的な事務作業やネット閲覧などには十分です。
一方で、高度なグラフィック処理には専用のGPU(グラボ)が必要となりがちです。

もっとも、最近ではこの内蔵型GPUの性能も向上。たとえばAMDの最新APUであるRyzen 8000Gシリーズの上位モデルであるRyzen 7 8700Gは、従来のエントリークラスの独立GPUに匹敵する性能を持つと言われています。具体的には、NVIDIAのGeForce GTX 1650に近い性能を持っているとのこと。これは数年前までの中級ゲーミングPCのグラボ相当です。

CPUとGPUのアーキテクチャの違いは?

もう少し詳しく、CPUとGPUの違いを見ていきましょう。まずは「アーキテクチャ」の違いです。分かりやすく要点を言えば「少数精鋭のコア」で成り立つのがCPUで、「数千個のコア」で成り立つのがGPUです。

CPUとGPUのアーキテクチャの違いは?1

(画像は筆者作成)

CPUは少数の高性能コア(通常は数個から十数個)を持ち、先にも述べた通り逐次的な処理に優れています。「頭脳」として申し分ない性能がある反面で、大量のデータを並列処理するには不向きです。その理由は、簡単に言えばコア数がGPUに比べて少ないためです。

これに対し、GPUは数千個のコアを持ち、並列処理が得意です。このため、GPUは同時に多くの計算を行うことができ、特にグラフィックスやAIのトレーニングなどでその能力が発揮されます。

CPUとGPUの利用するメモリの違いは?

このほかにも、CPUとGPUには利用するメモリの違いもあります。CPUはRAM(ランダムアクセスメモリ)を使用してデータを処理しますが、GPUはVRAM(ビデオRAM)を使用します。VRAMは画像データの高速な読み書きが可能であり、大量の画像情報を扱う際に最適化されています。この違いにより、GPUは高解像度の画像や動画をスムーズに処理することができます。

結局、グラボはなぜパソコンに必要なの?

ここまで詳しく「CPU」と「GPU」の違いを見てきました。結局、グラボはなぜパソコンに必要なのでしょうか? 結論としては、やはりCPUが不得意とする「大量のデータの並列処理」を任せる存在として、GPUが必要であると言えるでしょう。

CPUは一般的な文書作成やウェブブラウジングやプログラム実行まで幅広く対応しますが、同じ計算を極めて大量のデータに対して並列的に行うことは苦手です。一方、GPUはゲームや映像編集、機械学習など、高度なグラフィック処理や大量データの並列処理が必要な分野で特に重要です。

ではあくまで一般的な用途の範囲の中で使用するパソコンに、グラボは必要なのでしょうか? その一般的な用途が「文書作成」「ウェブサイトの閲覧」などであれば、CPUに内蔵されているGPUで十分でしょう。近年は内蔵GPUの性能が急上昇していることもその一因です。

一方で「PCゲームを快適にプレイしたい」「極めて重い動画ファイルの編集やVFX処理なども行いたい」といった場合にはGPUはやはり必須であり、内蔵GPUに依存せず、グラボを搭載したパソコンの組み立てや購入をおすすめします。

※サムネイル画像(Image:Tester128 / Shutterstock.com)

オトナライフ編集部
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