急なテレワークで困るのが会社のパソコンに保存されている資料。わざわざ資料をコピーするためだけに出社した人も多いのでは? 普段から「クラウドストレージ」に会社の資料を保存していれば、急なテレワークや出張でも慌てる必要はない。そこで今回は、無料で利用できるおすすめクラウドストレージ「Google Drive」「OneDrive」「Dropbox」「box」の4サービスを紹介しよう。
クラウドがあれば急なテレワークに対応できる
新型コロナウイルスで急遽テレワーク(在宅勤務)になったものの、結局は仕事で使う資料をコピーするために、わざわざUSBメモリを持って出勤した人は多いのでは? そんなときのために、今後はネット上でデータを共有できる「クラウドストレージ・サービス(以下クラウド)」を利用してはいかがだろうか? 普段から作業中の資料データをクラウドに保存しておけば、自宅からでも出張先からでも、会社の資料にアクセスすることが可能になる。もちろん、クラウドに資料を保存すれば、会社のパソコンが壊れたときでも仕事が継続できるし、データのバックアップにもなる。ビジネスパーソンにとって今やクラウドの利用は必須の存在であろう。そこで今回は、テレワークや出張などでも便利に使えるクラウドを4つ紹介する。
どのクラウドもある程度の容量は無料で使用可能だ。もし、ビジネス上で使い勝手がいいと感じたら、大容量(無制限)を契約してもいいだろう。月1,000円ちょっとの出費なら安いものである
Googleドキュメントを無制限で使える「Google Drive」
無料で使える容量で選ぶなら、15GBもタダで使える「Google Drive」がイチオシ。しかも、普段使っているGoogleアカウント(Gmail)さえあれば、誰でもすぐに利用できるのが特徴だ。とくに、Googleドキュメントには、EXCEL互換の「スプレッドシート」、Word互換の「ドキュメント」、PowerPoint互換の「スライド」などがあり、仲間とクラウド上で共有できるためテレワークでも使いやすい。そのうえ、GoogleドキュメントはGoogle Driveの容量にカウントされず無制限で使えるのだ。さらに、プライベート利用でも、多少圧縮されるものの写真を無制限で保存できるため、スマホと連携しておけばスマホのストレージ容量を気にする必要はない。また、「Google Drive」の有料サービスを利用すると24時間対応のサポートや高度なセキュリティが追加される。月1,360円の「Business(G Suite)」プランは5ユーザー以上で利用すると容量が無制限になるので、会社のチーム単位で共有できるのも便利だ。
唯一の欠点といえば、容量にGmailなどの各種サービスも含まれていること。Gmailなどを大量に保存しておくと、知らないうちにGoogle Driveの容量が足りなくなってしまうので注意したい。
「Google Drive」はGoogleアカウントがあればすぐに使える。ブラウザ上にデータを保存できるので、どこからでもアクセス可能だ。しかも「Google Drive」上のデータを仲間と共有して編集することも可能。まさにテレワーク向きである。下写真はEXCEL互換のスプレッドシートだ
「Google Drive」の有料サービス「G Suite」は月1,360円の「Business(G Suite)」プランの場合、5ユーザー以上の利用で容量無制限となる。なお、Office系アプリと互換性があるGoogleドキュメントは「Google Drive」の容量とは別に無制限で利用できる
パソコンのHDDのように使えるWindows標準「OneDrive」
「OneDrive(旧SkyDrive)」は無料で使える容量は5GBしかないが、Microsoftが提供しているサービスなのでWindows10の標準機能となっているのが特徴。Microsoftアカウントでサインインすれば誰でもすぐに使用できる。ブラウザでも利用可能だが、Windowsのエクスプローラーにも表示されるので、パソコン内蔵のHDDと同じ感覚で利用できるのが便利である。
もちろん、Microsoft「Office」系ソフトとの連携は強力で、「Microsoft 365 Personal(旧Office 365 Solo)を契約するとクラウドが1TBまで使えるようになる。これなら、無理にパソコンのHDDを増設する必要はないだろう。さらにOffice系アプリの自動保存にも対応しているので、ビジネス用データのバックアップとしては最適だ。
また、企業向けの「OneDrive for Business」ではセキュリティや管理性が強化されているため、ビジネス利用ではこちらのほうが安心できる。
Windows10ユーザーならエクスプローラーにOneDriveが表示されるので、パソコンの内蔵HDDと同じ感覚で利用できる。また、同じMicrosoftアカウントでサインインすれば、会社と自宅の両方のパソコンで同じようにアクセスできて便利だ
(Image:microsoft.com)
「Microsoft 365 Personal」は年1万2,984円(月1,082)でOffice系アプリが利用可能なうえ、クラウトの「OneDrive」が1TBまで利用できるのでかなりお得!
「Dropbox」は共有ワークスペース「Dropbox Paper」が魅力!
古くから一般向け無料クラウドサービスを提供している「Dropbox」。無料で利用できる容量は2GBと少ないが、ブラウザで簡単にアクセスできるお手軽クラウドである。もちろん、仲間とデータを共有することもできるし、有料プランなら月1,200円(年間払いの場合)で2TBまで容量を増やせる。
「Dropbox」には「Dropbox Paper」という共有ワークスペースがあるのが特徴。これは、仲間同士でひとつのワークスぺースに同時アクセスし、チャットグループのようにリアルタイムで文字や写真などを書き込める機能だ。たとえば、メモアプリの「Evernote」をオンライン上でみんなで同時に編集するイメージに近い。これなら、テレワークによる企画書の作成や会議もこなせるだろう。
「Dropbox」はブラウザを使って簡単にアクセスできるクラウドサービス。無料で使える容量は2GBまでだが、ビジネス文章中心なら十分使える
「Dropbox」ならではのユニークな機能が「Dropbox Paper」だ。仲間が同時に同じワークスペースにアクセスし、チャットグループのようにリアルタイムで書き込めるので、テレワークによる企画書の作成や会議ができて便利!
(Image:dropbox.com)
無料プラン「Basic」は2GBまでだが、「Plus」では月1,200円(年間払い時)で2TBまで、「Professional」では月2,000円(年間払い時)で3TBまで利用できる。ビジネスで使うなら有料プランも検討してみよう
「box」は月1,710円で容量が無制限になる
最後に紹介する「box」は、無料で利用できる容量が10GBと大きく(1ファイルは250MBまでの制限あり)、有料のBusinessプラン以上を契約するとクラウドが容量無制限で利用できるのが特徴。また、クラウド上にあるデータにラベル設定をすることで、アクセスのしやすさも確保している。もちろん、「box」には高度なセキュリティとアラート設定「Box Shield」があるので、不正アクセスやデータの漏洩などもバッチリ防いでくれる。ビジネスで利用しても問題ないだろう。
(Image:box.com)
「box」は無料で10GBまで利用できるが、「Business」プランなら、月1,710円(年払い時)で容量無制限になる
日本では新型コロナウイルスに限らず、巨大地震や水害などで、いつテレワークを迫られるかわからない。今後のリスクを考えると、ビジネスではクラウドの利用が必須になっていくだろう。実は、筆者の会社ではたまたま資料のバックアップ用に「Google Drive」の有料サービス「Business(G Suite)」を導入していたおかげで、割とすんなりテレワークに移行できた経緯がある。もちろん、この原稿もクラウド経由で入稿している。まずは、Windowsパソコンなら手軽に無料で利用できる「Google Drive」や「OneDrive」を使ってみて欲しい。自分のスタイルに合ったクラウトを選び、そのうえで、有料サービスの利用も検討すればいいだろう。