「高年収のエリートな仕事」とはどのような職業だろうか。外資系企業や証券会社などでバリバリ働く有能なビジネスパーソンを思い浮かべる人も多いかもしれない。事実、厚生労働省の調査でも金融業・保険業は賃金の高さで群を抜いた数字を残している。しかしその調査からは、意外にも金融業・保険業のピークはすぐに過ぎ去り、代わって台頭してくる別の職業があることもわかった。
今回は、エリートである金融業・保険業に負けず劣らずの稼ぎを見せる業界についてご紹介したい。
エリートビジネスパーソンも、50代後半は失速
金融業・保険業といえば、スーツをビシッと着こなしてバリバリと仕事をこなす、“デキるビジネスパーソン”の代名詞だ。大学の就活生が志望する人気企業のランキングなどを見ても、上位に銀行・保険会社など金融系の企業が高い人気を誇っていることがわかる。
その人気の高さの理由のひとつは、高収入のイメージだろう。そのイメージを裏付けるように、厚生労働省の発表した「令和元年賃金構造基本統計調査 結果の概況」の「産業別にみた賃金」でも、金融業・保険業は全年齢層の平均で46万円の給料を得ているという結果が公表されている。35~39歳で45万円を超え、ピークを迎える50~54歳には、調査結果の中で唯一60万円オーバーの62万円となった。
そんな華々しい高収入の金融業・保険業だが、実はピークである50~54歳を超えると突如異変が起こる。55~59歳から収入が下がりだし賃金ランク1位の座を奪われると、他産業で見ないほどの急降下で製造業やサービス業と大きく変わらない額まで落ちていったのだった。
そんな突如下降していった金融業・保険業に代わって1位に立っているのは教育、学習支援業だった。これは名前の通り、何かを教える“先生”にあたる産業だ。学校の先生以外にも、学習塾や英会話教室、体操教室、スイミングスクールなども含まれる。
「先生」と言われて「高収入の稼げる仕事」というイメージは無いかもしれないが、20代から60歳を迎えるまでほぼ一定のペースで収入が伸び続けており、非常に安定した収入を得られる仕事であることがわかる。全年齢層の平均で比較しても、金融業・保険業の46万円に次ぐ45万円という結果を残しており、その生涯年収の高さが伺えた。
働き盛りの30代40代で大きく稼げる金融業・保険業は、向上心の強い若者にはキラキラと輝いて見えていかにも“エリート”といった雰囲気だろう。しかしその影には着実に収入を積み上げていく先生がいる。どこか「ウサギとカメ」のような構図だが、どちらを目指したいと思うかは、人によるのかもしれない。
参照元:厚生労働省 令和元年賃金構造基本統計調査 結果の概況【厚生労働省発表 厚生労働省大臣官房統計情報部】