日本ではここ数年、ボードゲーム、カードゲームなどの「アナログゲーム(非電源系ゲーム)」が隠れたブームとなっている。国内最大のアナログゲームのイベント「ゲームマーケット」は、2018年に来場者数が約2万人を記録するなど、世界第3位の規模となっている。市場の盛り上がりと共に、ゲーム販売店やゲームを遊ぶゲームカフェの関連施設も増加するなど、業界全体として熱を帯びてきている。
任天堂やソニーといった世界を代表するデジタルゲームが揃う日本で、今アナログゲームが見直されているワケをお伝えしていきたい。
デジタルには無い魅力が若者を虜に
NTTコム オンライン・マーケティング・ソリューション株式会社が発表した「アナログゲーム(非電源系ゲーム)に関する調査」の結果によると1年以内にアナログゲームを遊んだことがある人々の中で、アナログゲームの購入や、ゲームカフェ、イベントに参加したなどのアクティブなユーザーは20~30代の若年層に多いことがわかった。アナログゲームユーザーの中でも、中年から高齢層は将棋や麻雀などの既存のゲームを知人とゆったりと楽しみ、若年層はイベントやカフェなどに出向き、アナログゲームを“体験”として楽しんでいることが判明。それぞれの層が独自の楽しみ方でゲームに興じている、アナログゲーム業界の特徴がわかった。
アナログゲームで遊ぶ理由を調査すると「人と会話するのが楽しいから」「友達ができるから」という回答が多く寄せられた。同様の質問をデジタルゲームに対してしたところ、「1人でも遊べるから」という回答が対照的に集まり、アナログゲームのデジタルゲームにはない、魅力を読み解くことができた。人生ゲームは人生の役に立つゲームなのかもしれない。
さらに興味深い結果として、「ゲームは現実世界を表していることがある」、「ゲームの経験は現実世界で役に立つことがある」という項目に対して多くの人が肯定的に回答。アナログゲームをすることが人生の教訓や糧になると考えていることがわかった。
デジタルゲームとは違いアナログゲームはプレイヤー同士が対面してプレーをするので、心理戦や表情、雰囲気、流れを読み解く洞察力や、時には嘘をついたり、相手を出し抜くといったスキルが求められる。これらのスキルは現実世界の商談やプレゼンなどにもそのまま活かせる重要な能力となるだろう。またアナログゲームの代名詞、麻雀は、いまだに根強いサラリーマンのコミュニケーション手段として欠かせないものである。麻雀の付き合いや、うまさで先方に気に入られたなんて話もよくあるだろう。
“たかがゲーム”で身に着けた能力が、「社運を賭けた重大な契約を勝ち取る結果につながった!」なんてことになるかもしれないので、休日くらいはゲームに興じてみるのも悪くないはずだ。
参照元:アナログゲーム(非電源系ゲーム)に関する調査結果【NTTコム リサーチ】
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