このコロナ禍で大きく変わったことのひとつに“働き方”がある。これまでは多くのサラリーマンが毎日会社に出社して業務をこなしていた。しかし新型コロナウイルス感染症の感染拡大を抑えるため、国が全国の企業に対して自宅で業務にあたる「テレワーク」を要請したことは記憶に新しい。その結果、緊急事態宣言が5月に終了して以降も一定数の会社がテレワークを続けている。しかし現在もテレワークを続けている企業には、ある傾向が見られることがとある調査でわかってきた。
今回は、テレワークをしやすい人・企業とそうでない人・企業の差についてお伝えしていきたい。
現在のテレワーク実施率はわずか2割
フィデリティが2020年10月にインターネット上で全国1万2,000人を対象に実施した調査によると、「現在自宅からテレワークを行っている」と回答したのは全体の20.4%に留まった。そのうち「毎日テレワーク」をしているのは全体の7.3%で、残り13.1%は「週に1~2度テレワークを実施している」という。緊急事態宣言下では国が「外出を7割減らす」として、それに近い割合の企業がテレワークに切り替えていただけに、やはり感染が沈静化して通常通りの出社体制に戻した企業が多かったことが窺える。
さらにこの調査では、世帯資産・世帯年収別でもテレワークの導入率を分析している。それによれば、資産額・年収ともに上昇するほどテレワークの導入が増えていることが明らかに。とくに年収1,000万円以上・資産額2,000万円以上を超えると、テレワーク率が30%超に。社員給与の高い体力のある大企業ほど、このコロナを機にテレワークの環境を整備し恒久的な導入につなげたという面があるのだろう。あるいは、感染で業務から離脱されてしまうと困る替えの利かない有能な人材は、感染リスクを抑えるために自宅からの業務を許されている、という可能性も考えられる。
工場のように現地に行かなければ業務ができない現業職など、物理的な制約のある人々がテレワークに移れないのは仕方ないといえば仕方がない。しかし同じ職種でテレワークの導入が「企業の体力」や「替えが利くか否か」で判断されていたとしたら、現在出勤を続けている“特権階級”になれなかった多くのサラリーマンにとってはまったくもって嬉しくない話だ。
現在、日本では全国的に「第3波が来ている」とされるほど感染が拡大している。企業は現在のコロナを乗り切るだけでなく、これから先、withコロナ・アフターコロナを見据えた“働き方改革”も見据えて、テレワークの導入の可否を考えるべきなのかもしれない。
参照元:リモートワークは年収依存? 高年収層では自宅勤務が3割超え【ITmedia ビジネスオンライン】