パソコン用OS「Windows」で知られるマイクロソフトが、さまざまなジャンルの企業の買収に意欲的な態度を見せていることが報じられている。アメリカの報道機関・ブルームバーグの報じたところによると、現在アメリカのソフトウェア開発企業・Discord(ディスコード)の買収話が持ち上がっているようだ。世界有数のIT企業を指す「ビッグ・テック」のひとつにも数えられるマイクロソフトだが、この買収は何が狙いでどんなシナジーを生み出そうとしているのだろうか。
今回は、マイクロソフトの見せる買収の動きと、その狙いについて考えていきたい。
マイクロソフトに買収活動の噂が浮上
そもそもDiscordとは、同名のビデオ通話・音声通話用ソフトを運用する企業だ。ボイスチャットの品質が高いため主にネットゲームユーザーからの支持が厚く、とくにリアルタイムでの連携が必要となってくるチーム制のシューティングゲーム等で利用される場面が多いという。
ブルームバーグの報道によれば、マイクロソフトのDiscord買収は決定事項ではなくまだ協議段階とされている。さらにDiscord側はマイクロソフトだけでなく複数の買い手候補となる企業と接触を取っており、「かねてから身売りを模索していた」という報道もある。そしてマイクロソフトの買収額は100億ドル超を提示しているとされ、実現したとすれば日本円で1兆円以上の買収話となりそうだ。
マイクロソフトの代名詞のサービスとも言えるWindowsとの親和性を考えると、ボイスチャットの運営企業というのは接点があることは間違いないが少々ズレがあるようにも感じられる。
しかし同じビッグ・テック企業の過去の買収を振り返ると、Googleは現在のスマートフォン用OSで世界シェア1位の「Android」を開発した企業も買収によってグループ化しAndroidの開発に成功させた経緯や、2006年には「YouTube」も買収している。フェイスブックも2012年に「インスタグラム」を買収し傘下に。当時のインスタグラムはまだ日本語版も登場していなかったタイミングだが、その後の成長ぶりは説明不要だろう。
巨大IT企業はこうして「芽がある」と感じたIT系企業であれば、意欲的に買収を仕掛ける傾向がある。今回のマイクロソフトのDiscord買収も、何かしらのシナジーを生むと確信を持ったことで100億ドルを用意して交渉の席に着いたのだろう。
まだ“自称”関係者のリークだけであり公式発表がないため真偽のほどは定かとは言えないが、この買収が成立したときがマイクロソフトのサービスがさらなる進化を遂げるタイミングとなるだろう。その瞬間を心待ちにしていたい。
参照元:マイクロソフト、ディスコード買収巡り協議 100億ドル超=BBG【ロイター】
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