マイクロソフトが3月22日に発表した、「Microsoft Teams」をはじめとする同社製のワークプレイス・ツールを利用したやりとりに関する調査結果を明らかにした。調査結果によると、テレワークが普及した2021年2月には会議に使用した時間が前年と比べて2.5倍に膨れ上がっているようだ。社内でのチャットのやりとりも45%増加の傾向に。テレワークとともに多くの企業で導入されたビジネスチャットツールによっていつでも連絡が取れてしまう労働環境が、就業時間を長引かせ労働環境の悪化を招いているのだろう。
感染リスクを避けたテレワークの導入から新しい働き方に変化し、自分の時間を尊重できる自由なワークライフへと移行する流れになったように見えた。しかしそんなテレワーク下において労働時間が以前よりも伸びてしまっていることを考えると、完全にテレワークへと移行するのではなく、テレワークと出社の2つの働き方を組み合わせるのが最適なのかもしれない。
テレワークで燃え尽き症候群が蔓延?
これまでは会社のオフィスで顔を合わせるなどでコミュニケーションを取っていたメンバーが、テレワークとなってそのつながりがアナログからデジタルに置き換えられたことは読者のみなさんもご存知の通りだ。しかしそんなデジタルの力を、マイクロソフトのレポートでは「労働者に対するデジタルの圧力は大幅に増している」と報告している。
夜間や週末にもメッセージが届くこともありそれが確認できてしまう環境にあるため労働時間は延びてしまい、レポートでも就業時間外のチャットが42%増加していることが指摘されている。最近ではヨーロッパなどで「つながらない権利(勤務時間外の連絡を拒否できる権利)」の法整備が進んでいる、とするニュースも報じられていることからも、この問題の深刻さがわかるだろう。
また、レポートでは「同じチームのメンバーとのコミュニケーションは増えたが、他チームのメンバーとのコミュニケーションは減った」という調査結果も伝えている。これには「新しいアイデアが生まれにくくなる」といったデメリットがあり、これまでの何気ない雑談が業務にも良い影響をもたらしていたことがあらためて浮き彫りとなった。
マイクロソフトによる調査結果の内容から、テレワーク疲れが進んだ昨今では、テレワークと出社の両立が肝になりそうだ。Web会議による拘束時間が2倍以上に跳ね上がれば、ほかの業務に支障となる。また、オフィスにいれば一言二言の会話で済ますことができていたちょっとした連絡事項も、チャットツールの利用により作業数が増える傾向にある。
こうした非生産的な働き方を見直すとすれば、「完全テレワーク勤務」から「テレワークと出社のハイブリッド勤務」へと移行するという選択肢が浮かんでくるだろう。週3日テレワークを行い、2日はオフィスに出社する、など企業それぞれの特性に合わせてテレワーク制度をフレキシブルに有効活用することで生産性も向上するだろう。出社率も下げることで、感染リスクも減らすことができる。
長期戦となりそうなコロナ禍で生まれたニューノーマルでは、これからはハイブリッドワークが労働の負担を減らす糸口になりそうだ。
参照元:在宅ワークに疲れた? マイクロソフトがそれを裏付ける調査結果を発表…パンデミックで会議時間は2倍、チャットは5割増しに【Business Insider Japan】
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