「ついに」と言っていいのか「ようやく」というべきか。マイクロソフトが2021年7月までに行うWindows 10のアップデートで、Adobe Flash Playerを完全に削除すると発表した。2015年に「PCを乗っ取られる凶悪な脆弱性がある」と判明すると、以降Adobeはアップデートと配布を中止し、2020年末でサポートを終了、コンテンツの実行を停止していたが、一部でFlashが使われていたり削除されず残っていたりすることから、セキュリティー上でのリスクであり続けていた。今回のアップデートでWindows OSから完全に削除されることになるが、注意点と共にFlashの再生方法を紹介しよう。
Windowsすべてのバージョンで完全排除…だが、注意が必要なことも
その歴史についに終止符が打たれようとしている
マイクロソフトが2月に公開したプログラム｢KB4577586｣を適用すると、Flash Playerが完全に削除されるという｡これは「2021年6月にWindows10バージョン1809以降のプレビュー更新プログラムに組み込まれること」、さらに「2021年7月にWindows 10のバージョン1607およびバージョン1507の累積更新プログラムに含まれること」が明らかになっており、Windows 8.1、Windows Server 2012、Windows Embedded 8 Standardなどの古いOSでも適用される。
ただし、Windows10には同時に複数のFlash Playerがインストールされていることもあるため、プログラムが残っていないか、コントロールパネルから確認が必要だ。ユーザーが手動でインストールしたアプリケーションとしてのFlash Playerは、アップデートでは削除されないとのこと。その場合は自分でアンインストーラーをダウンロードし、削除する必要がある。ChromeやFirefoxなどの主要ブラウザも完全削除されているため、Flashはようやく“過去の遺物”になりつつある。
「Flash lover」は誰でも簡単にFlashを投稿できる。サイト内での再生も簡単だ
セキュリティーが守られることに喜びの声が上がる一方、Flashを別の方法で再生したり、後世に残していこうとしたりする動きも見られる。なぜなら、Flash Playerは10年前までは一番メジャーな動画再生規格で、昔の動画やゲームなどFlashで構築されたソフトウェア遺産が多いからだ。読者の方々の中にも「学生時代にFlashで制作されたゲームをよく遊んでいた」という人もいるのではないだろうか。
そのため、インターネットアーカイブではそれらを保存したライブラリを公開しており、他にもFlashを再生できるWebサービスやツールがいくつか登場している。
・世界中のフラッシュゲームが遊べるソフト「Flash Point」
・フラッシュゲームが動かせるブラウザ「Nitro」
・Flashエミュレーター「Ruffle」
・ユーザーがアップロードしたFlashが再生できるサービス「Flash lover」
・フラッシュをHTML5で再生可能にするサービス「JswfPlayer」
こうしてみると、FlashはWebコンテンツ制作の世界で随分と愛されてきたフォーマットなんだなぁ……となんだかしみじみしてしまう。目まぐるしく変わっていくWebの世界で、昔を懐かしみたいときには利用するのもいいかもしれない。
参考元： Windows 10からFlash Playerがついに完全削除される予定【GIGAZINE】
※サムネイル画像（Image:Jarretera / Shutterstock.com）