在宅勤務という働き方が急速に普及していると感じるが、なかには、企業の制度変更が追いつかず、在宅勤務によって生じる諸経費に悩んでいる人もいるだろう。1日当たりの負担は少なくとも、長期となるとチリツモ形式で家計を圧迫している可能性もある。
今回は、LIXIL住宅研究所が関東近郊(東京都、神奈川県、埼玉県、千葉県、茨城県、栃木県、群馬県、山梨県、長野県)の男女会社員を対象にした「在宅勤務の実態や会社からの援助などについて」の調査結果を紹介しよう。その結果をみると、会社から支給してほしい多くの人が願う手当が判明した。
関東近郊では3人に1人が在宅勤務。都道府県別にみると……
まずは都道府県別に、週1日以上在宅勤務をしている人の比率を紹介しよう。「東京都」53.8%、「神奈川県」46.2%、「埼玉県」35.4%、「千葉県」42.1%、「茨城県」19.8%、「栃木県」20.3%、「群馬県」12.3%、「山梨県」13.8%、「長野県」12.5%、「全体」36.7%。東京都は半数以上が在宅勤務をしているという結果に。また、東京に近いほど、比率が高い傾向にあり、関東圏ではもはや在宅勤務がノーマルといえるだろう。
次は、1週間の在宅勤務の頻度について。「原則的に1週間のほとんど在宅勤務」29.9%、「週に1日程度」17.7%、「週に2日から3日」31.5%、「週に4日から5日」16.9%、「必要があるときのみ会社へ出勤」3.4%、「その他」0.6%となっている。「週に2日から3日」が一番多く、その理由として電話への対応や書類の受け取りなど、会社に人がいなければならないこともあるため、交代制で2、3日出勤している人がいるのかもしれない。その必要がない会社や業種の人は、「原則的に1週間のほとんどが在宅勤務」という回答になるだろう。
では、そんな在宅勤務で支給してほしいものとは何なのだろうか。3位と2位は、Wi-Fi環境に関わる支給がランクイン。第3位は、「Wi-Fi環境整備に必要なイニシャルコスト(ルーターなどの設備機器・契約費)」28.5%、第2位は、「Wi-Fi環境に必要なランニングコスト(光通信代など)」43.1%。Wi-Fiに必要な有線ケーブルを買い足す人や、新たなWi-Fiの契約、ハブやルーターといった機器に費用がかかるため、負担に感じているようだ。確かに勤務するために新しく導入したものであれば「会社が持つべきでしょ」と思う気持ちはよくわかる。
そしてそんなWi-Fi関係を超える第1位は、「冷房・暖房などの光熱費」が58.2%と過半数の票を集める結果となった。冬は手がかじかんでパソコンが打ちづらい、夏は暑くて集中できないなど、エアコンなどの冷暖房費は業務上の経費だと考えている人が多い様子。しかし、冷暖房はプライベートでも使うことが多いため、会社側としても費用の負担や算出方法が検討しづらそうだ。エアコンの種類によっても電気代が異なるため、損する人、得する人がいることから、一律に支給しようとするのが難しいのか。
手当の支給を充実させて在宅勤務の環境を改善することで、仕事に集中できて残業を減らすことができる、会社の期待に応えようと仕事をより頑張る人が売上をアップさせることも。手当の支給は、業績アップをもたらすのかもしれない。
●LIXIL住宅研究所は→こちら