世界的なIT企業であり、GAFAの一角としても知られるアマゾン。日本国内でもEC事業や「Amazonプライム・ビデオ」が人気を博し、読者の方々も多くの人が一度はそのサービスを使ったことがあるのではないだろうか。そんなアマゾンが提供しているサービスのひとつに「AWS」と呼ばれるものも存在する。そしてそのAWSは、その存在感を強めてきているという。
今回はアマゾンのAWSに関するあれこれをお伝えしていきたい。
個人ユーザーはあまり知らない?ビジネス利用に特化したAWS
アマゾンのAWSとは、「Amazon Web Services(アマゾン ウェブ サービス)」の略であり、近年流行しているクラウドコンピューティングサービスのひとつだ。IT企業としてアマゾンが持つスキルやノウハウを活用した様々なサービスを提供しており、多くの企業が利用しているという。AWSは日本のビジネスシーンでも多数利用されており、AWSのホームページ上でも、ソニー銀行・NTT東日本・ドコモ・スシローといった多彩なジャンルの日本を代表する企業に導入されていることがわかる。
そんな多数の企業で利用されているAWSは、アマゾンが発表した2021年第2四半期決算報告によれば、その収益は148億900万ドル(約1兆6,200億円)、営業利益が41億9,300万ドル(約4,590億円)にのぼるという。この数字だけでも事業規模の大きさが伝わってくるが、なんとこの営業利益は、アマゾン全体の営業利益77億ドル200万ドル(約8,430億円)の55%を占めるほど。EC事業やプライムビデオなど、「アマゾンといえば」で連想される事業以上に企業の主力事業になっているのだ。
そんなアマゾンの“本業”になりつつあるAWSについて、ニュースメディア・CNBCが様々な専門家へのインタビューなどを実施しAWSの利益化の仕組みについて考察した記事が話題となっている。
それによれば、Duckbill Groupのチーフクラウドエコノミストであるコーリー・クイン氏は、AWSの収益の50%は仮想サーバー構築サービス「Amazon Elastic Compute Cloud(Amazon EC2)」によるものだと指摘したという。さらにクラウドストレージサービスも人気のようで、アマゾンのストレージサービス担当ヴァイスプレジデントMai-Lan Tomsen Bukovec氏は「数百ペタバイトから数エクサバイトのストレージを使っているユーザーもいます」と、超ヘビーユーザーがいることを明かしている。“ペタバイト”は“テラバイト”の上の単位。“エクサバイト”はさらにその上に存在する単位だ。このことからも、想像を超える規模のヘビーユーザーがいることがわかるだろう。
一方でAWSのライバルとも言えるクラウドストレージサービス・wasabiのCEO、デイビッド・フレンド氏は、AWSのストレージに保存したデータを他サービスに転送するときに非常に高額な料金が発生するため、「多くのユーザーが同サービスを使い続けることになっている」と厳しく指摘した。「下手に持ち出して無駄な料金を取られるよりも、ずっと居続けたほうがおトク」という、かつての日本の携帯電話業界の囲い込みのような話にも感じられる。
これまでのアマゾンを代表するEC事業やプライムビデオは、言ってしまえばプラットフォームを提供しているだけで、利益の中心はメーカーや出店者、映像作品の版権元が持つことになるだろう。
しかしアマゾンが自社でサービスを提供するAWSであれば、他企業に渡っていた利益もアマゾンが丸ごと獲得できる。だからこそアマゾンとしては、今後伸長させたい事業なのかもしれない。今後のアマゾンがどのように環境を整備するかにも注目していきたい。
参照元:AmazonがAWSで多大な利益を得ている手法とは?【GIGAZINE】
※サムネイル画像(Image:nikkimeel / Shutterstock.com)