インターネットサービス大手のアメリカヤフー(Yahoo!)が中国から撤退することが分かり、話題を呼んでいる。中国政府によるIT企業への締め付け強化が原因と考えられるが、ヤフーの中国撤退を巡って世間では様々な憶測が飛び交っている。今回はネットで寄せられたコメントをもとに、ヤフーの中国撤退に関する世間の動向を見ていこう。
容赦ないIT企業への締め付け強化に撤退相次ぐ
ヤフーは公式サイト上で「中国の事業・法的環境が厳しいことから、ヤフー一連のサービスは2021年11月1日をもって中国本土からアクセスができなくなる」と発表。米ヤフーは中国撤退に向けて事前に少しずつ準備を進めていたという。私たちが当たり前に使っているFacebookやTwitter、LINEなどのSNSが使えないといった、インターネットに関する規制が厳しいことで有名な中国。最近ではIT企業に対する規制を強めており、ヤフーも撤退せざるを得なかったという格好だろう。
2020年には、中国でネット通販の最大手「アリババグループ」の傘下であるアント・グループの新規株式公開(IPO)を延期に追い込んだり、2021年4月には独占禁止法違反として日本円で約3,100億円の罰金を科したりと、国内外関係なく容赦ない規制を行っている中国。2021年11月からは「個人情報保護法」が施行され、さらにIT業界に対する風当たりが強くなるのではとのうわさも。実際に中国から撤退する大手IT企業が後を絶たない。
経済評論家の門倉貴史氏はこのニュースに対しネット上で、「もともとIT分野における外資系のシェアは小さいものだったので中国市場から撤退しても米IT企業の業績への影響は軽微」と持論を展開。また、「中国政府は自国のIT企業が持つビッグデータの米国への流出も懸念しており、中国IT企業の米国での株式上場について監視を強化している」とコメント。締め付け強化により、中国のIT企業が資金調達をしづらくなり、自国の衰退のきっかけになってしまうのではないかと予想している。
さらに多くの一般ユーザーからも、「日本企業も早く目を覚まして中国から撤退すべき」と米ヤフーの撤退を称賛する声や、「現在中国への進出を考えている企業は世界が徐々に中国離れしていることに早く気付いてほしい」と日本企業の中国進出を揶揄する声など、さまざまな意見が寄せられている。そのほか、「バイデン政権が米国企業の中国撤退を促しているのでは」と、政治的関与が強いという見方や、「何か取り憑かれた様に必死に規制しているのには何か訳があるのでは……」と勘繰るコメントも。
現在中国に進出している企業や中国への進出を計画していたIT企業は、今後どのような動きをするのか。さまざまな意味で中国の締め付け強化に注目が集まる。
参照元:米ヤフー、中国本土から撤退 政府の規制強化受け【AFPBB News】
※サムネイル画像(Image:Benny Marty / Shutterstock.com)