2022年1月1日から電子帳簿保存法が改正される。なんとPDFファイルで送付された請求書などは、紙にプリントアウトして保存しておくことがNGとなってしまうというのだ。電子化・非対面の進む現在は「うちは請求書はPDFで」なんて企業も増えているが、うっかりミスで法に触れてしまうことは避けたい。
しかし今回の改正を「改正内容を詳しく知らない」という人が73.4%にものぼるという結果も出ており(株式会社ラクス「電子帳簿保存法に関する意識調査」より)、全国でうっかりさんが多発しないことを願うばかりなのだ。
電子帳簿保存法の概要と今回の改正の課題
そもそも電子帳簿保存法は、1998年に制定された。高度情報化やペーパーレス化が進展しはじめた当時、会計処理の分野でもコンピュータを使用した帳簿書類の作成が普及してきた。そのため紙での保存が義務付けられていた様々な書類も電子化して保存することが認められはじめ、電子帳簿保存法が誕生した。
今回の改正の目的は企業のさらなる電子化推進にある。テレワークが一般的となった時勢に合わせた改正となり、「帳簿」「書類」「電子取引情報」の3つに分類された書類のうち、電子取引情報は紙での保存がNGとなっているのだ。
この電子取引情報には「電子メールにより受領した請求書や領収書等のデータ」「インターネットのホームページからダウンロード・スクリーンショットした請求書や領収書等のデータ」等が該当するといい、冒頭のPDFの請求書もここに該当するため、「紙で保存しちゃダメよ」となるというのだ。
この改正に対し、ネット上は戸惑う声・否定的な意見が多数を占めている。「紙も電子もどちらもOKじゃだめなんだろうか」「PCが壊れたりして、データがぶっ飛んだらどうなるのでしょう。バックアップしとけばいいのだろうけど、なんか管理が大変そう」「経理は理解したけど、従業員の理解度が低い。説明してもわかってもらえない」「先週から大慌てですよ。そしたら急に『猶予2年』。はっきりしろよ国税庁」など、様々な不満が噴出している。
また、「今焦ってシステムとか購入してやるより1年ぐらい周り見てからやる方が賢いよな。
システムも使いやすく改良されてるだろうし」といった周りが慣れてきた頃にそのノウハウを見ながら導入しようとする意見や、「小難しく考える必要ない。『請求書は紙でください!』」と、もはや全部紙ベースに逆行すべきという思い切った持論を述べるユーザーも現れたのだった。
2年の猶予を作ったところで、正直どこまで浸透するかは疑問符だ。2年後にまた「みんな知らないじゃん」となってまた伸びる…なんて可能性は低いかもしれないが、まだまだドタバタしそうな法案だと思ってしまった。
出典元:PDF請求書の印刷保管できなくなる「詳細知らない」7割超 電帳法改正の理解に課題 経理のペーパーレス化遅れ明らかに【株式会社ラクス】