アメリカのマイクロソフトが、海賊版Office 2019のツールバーに、正規版のサブスクリプションサービス「Microsoft 365」を50%OFFで提供するというキャンペーンを掲載した。すでに“アウト”な海賊版ユーザーに対して、割引キャンペーンを提供するという意表を突く対応をしたマイクロソフト。慈悲の手を差し出す、まさに神対応ともいえる話だが、ネット上からは賛否が分かれているようだ。
海賊版Officeに「正規版50%OFF」の文字が
音楽や映画・ドラマ、コンピューターソフトなどあらゆるジャンルで出回っている「海賊版」。ダメと分かりつつ利用している人もいるだろう。そんな海賊版ユーザーにし対して、アメリカのマイクロソフトが行なった“神対応”が話題となっている。
マイクロソフトが提供するWordやExcelなどのOffice製品も例に漏れず海賊版が出回っている。とあるユーザーが海賊版Office 2019を利用していたところ、ツールバーに「最大50%オフ。期間限定で、正規のMicrosoft 365サブスクリプションが最大50%割引」という太っ腹なキャンペーン広告が掲載されたというのだ。
リンク先はマイクロソフトの公式ページになっており、アメリカで通常年間約8,000円のサブスクリプションサービス「Microsoft 365 Personal」が半額の約4,000円で利用できること、さらに海賊版ソフトはパソコンをセキュリティの脅威にさらす可能性があることが表示されていたという。
海賊版ユーザーをターゲットにした割引キャンペーンは珍しいが、非常に的を射ているといえる。イギリスのMUSO TNTによる調査結果によれば、海賊版を利用する理由として最も多いのは「手頃な値段ではなかった」で、全体の35%を占めていた。
また通信事業者であるVocus Groupが実施した調査では、「海賊版を撲滅するにはユーザーを犯罪者とするのではなく、入手しやすい選択肢を作るのが最も効果的である」という結果も示されている。特に音楽やゲーム、映像などの海賊版を利用するユーザーは、コンテンツに多くのお金を使う層と一致することが分かっているためだ。
マイクロソフトの思い切った対策に対しネットは賛否両論だ。「賢い」「いいことなんじゃないの?」など支持するユーザーがいる一方で、「合理的かもしれんが、ツッコミどころが多い」「正規購入した人が一番割食ってるやん…」「だったら最初からもう少し安くしてくれよ感」「こんなのがアリなんだったら正規版を買う前にいっぺん海賊版をインストールしたい」といった声も多く聞こえてきた。また、「半額でも払わない輩は払わないよ」と警鐘を鳴らす意見なども見られた。
先述の調査結果が正しければ、海賊版を減らす手段としての訴訟や、フィルタリングやブロックといったネガティブな対応は得策ではないだろう。ユーザーも、好きで海賊版を使っているのではない。年額8,000円という正規の価格が特別高いとは思わないが、個人が置かれる環境によって気前よく出せる金額であるかどうかは別の話だ。手の届く金額で提供された正規版Officeに、喜んだユーザーはきっと多かったはずだ。
参照元:MicrosoftがOfficeの海賊版ユーザー向けに50%割引キャンペーンを展開【GIGAZINE】
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