アップルの業績が絶好調らしい。……が、それは日本には当てはまらないらしい。それには現在、さまざまなニュースとなっている急激な円安が影響しているようだ。7月にはアップルが日本でのiPhone値上げを発表し、iPhoneを扱うキャリア各社も次々と値上げに踏み切ったことは記憶に新しいが、今後も値上げは続くのだろうか…?
今回は、そのようなアップルの業績などについてお伝えしていきたい。
アップル決算、記録的売上も日本は蚊帳の外?
アップルは7月28日、2022年の第3四半期(4~6月期)の決算を発表した。売上高は830億ドル、日本円にして約11兆円(2022年8月1日時点の為替レート)、を記録し、アップルの第3四半期としては過去最高の数値となったという。
地域別に見ると、「アメリカ」や「ヨーロッパ」「アジア太平洋」といった地域は前年比で増加している。一方で「中華圏」と「日本」では減少。とくに日本では、64億ドルだった2021年から54億ドルと15%以上の大幅な減収となってしまっている。
日本での減収の理由は、やはり急激な円安によるものが大きいだろう。日本国内ではこれまでと変わらない価格でこれまでと変わらない台数が取引されていても、円安が進めばドルに換算した際の業績が落ちてしまうのは当然だ。7月のiPhoneの値上げも、その分を加味した穴埋めとも考えられそうだ。
iPhone値上げにユーザーはどう反応する?
一方で、7月のiPhoneの値上げは「日本のiPhoneの価格を世界標準に近づけただけ」とも考えられる。実は日本のiPhoneは世界的に見て格安だったことが、MM総研が6月に発表したデータから明らかになっている。詳しくはこちら記事で確認してほしい。
もしかすると、アップル側も日本のiPhoneを値上げするタイミングを図っていたものの、日本人の「値上げ=悪」という価値観からなかなか決断できずにいたのかもしれない。そういう意味では円安による収益悪化というのは、アップルにとって怪我の功名と言えそうだ。
しかし近年は、iPhoneの高額化に難色を示すiPhoneファンも少なくない。「そこまでのハイスペックはいらないから、そこそこの価格で出してほしい」というニーズも根強いことは確実で、廉価版のiPhone SEシリーズが人気を博しているのも、そうした傾向があるからこそだろう。
加えて最近では、中古iPhoneの市場も急速に拡大してきている。十数万円も出して新品を購入するくらいなら、数年の型落ち機種でも手頃な価格で手に入れられるほうがいい、というファンも出てきているのだ。
9月に発売されるとみられている「iPhone 14(仮称)」も、過去の機種と比べて高額になるという予想もある。アップルがこのまま「業績が悪化したから値上げ」→「値上げしたから販売台数減」→「販売台数減で業績さらに悪化」という負のスパイラルに陥らないことを祈りたい。
出典元:Apple Reports Third Quarter Results【Apple】
出典元:世界のiPhone販売価格調査(2022年6月)【株式会社ММ総研】
※サムネイル画像(Image:SeeEye / Shutterstock.com)