近年、すっかりスマホ契約の選択肢として定着しつつあるMVNO。MMD研究所が発表した「2022年9月MVNOのシェア・満足度調査」の結果をひも解くと、メインで利用しているスマホがMVNOだと回答した人は9.9%。満足度はどのサービスも低めの数値だった。そのなかで、増加傾向にあるサービスはどれなのか。今回は調査結果をもとに、業界の課題についても考えてみたい。
増加傾向なのは、「OCN モバイル ONE」と「IIJmio」
MMD研究所は2022年10月25日「2022年9月MVNOのシェア・満足度調査」を実施した。2022年9月17日~9月22日の期間で、予備調査は18歳~69歳の男女40,000人、本調査はMVNOを利用している18歳~69歳の男女900人を対象とした。
メイン利用のスマホがMVNOである割合は9.9%と2022年2月の前回調査から横ばいの数値。MVNOを利用している3,632人に対し、利用しているサービスを聞いたところ、最も多かったのが「楽天モバイル」(19.7%)で、ついで「OCN モバイル ONE」(17.2%)、「mineo」(13.6%)と続いた。
利用率の推移を見てみると、増加率が最も多いのはOCN モバイル ONEの1.9ポイント。MVNOは手続きがインターネットからしかできないというところが多いなか、OCN モバイル ONEは店舗数の多いドコモショップでの申し込みが可能なことも増加の理由だろうか。次に多いのは「IIJmio」で1.6ポイントの増加となった。
IIJmioは楽天モバイルの“0円廃止”発表の際に申し込みが集中し、SIMカードと端末の発送遅延が発生したニュースは記憶に新しい。そのときに乗り換えたユーザーが増加率に反映されているのかもしれない。
続いて、利用者の満足度に関する結果を見てみよう。6つのMVMOのユーザーに聞いた総合満足度は「mineo」が764ポイントでトップ、ついで「IIJmio」が761ポイントを獲得した。
しかし、注目すべきはNPS(ネット・プロモーター・スコア/顧客推奨度)だ。これは家族や友人にオススメしたいかどうかを10点満点で評価してもらい、9点から10点をつけた「推奨者」、7点から8点をつけた「中立者」、0点から6点をつけた「批判者」とし、推奨者から批判者を引いた数値のこと。全体では-28.3、最も満足度が高いmineoでも-8.0と、6サービスすべてがマイナスだった。
自身が契約しているサービスなのにオススメしたくない人の方が多いというのは、業界にとってもあまりよい結果とは言えないのではないだろうか。料金が安いことが特長のMVMOだが、安いだけでは生き残っていけない時代がやってきそうだ。今後は通信状況やサービスなどの改善を頑張ったサービスの動向に注目していきたい。
出典元:2022年9月MVNOのシェア・満足度調査【MMD研究所】