食費や電気代など、いままでどおりの生活をしているのに家計は苦しくなる一方…。ここ最近の値上げの嵐に辟易している人も多いだろう。節約するといっても、食べる量を大幅に減らすことも、寒さ厳しいこの時期に光熱費を大幅に削るのは難しい。そうしたなかで、見直しやすいものの筆頭が「スマホ・携帯電話」ではないか。節約志向に呼応するように業界状況にも変化が起きている。
格安SIM市場は2半期連続プラス
ICT市場調査コンサルティングのMM総研が国内MVNO市場を調査した結果によると、2022年9月時点で独自サービス型SIMの回線契約数は1284.8万回線となった。これは前年同期比で3.7%の増加であり、2半期連続でのプラス成長だ。背景には、楽天モバイルの0円廃止、IoT向け用途の好調がある。
MVNOとは、自前の基地局を持たない携帯電話事業者を指す。逆に、CMや雑誌などで目にする「格安スマホ」とうたわれ、自前の基地局を有する「MNO」といわれる大手キャリアであるNTTドコモ・KDDI・ソフトバンク(楽天モバイルも含む)と比較すると、各事業者の知名度不足は否めない。しかし、基地局をもたないなど大手キャリアとは異なるネットワークシステムを形成することで、独自の料金プランを設定できることから、「スマホ代は高すぎる!」と叫ばれる業界内において、低価格路線で存在感を発揮している。
携帯キャリアにおける“低価格の雄”としては、楽天モバイルが抜群の知名度を誇っていたが、2022年10月末で「月1GBまでは0円」サービスを終了した影響で成長は鈍化。しっかりとした基盤をもつキャリアであっても、破格のサービスを維持するのは困難であり、安さという要素においてはMVNOの独壇場といっていい。
シェア1位は「IIJmio」と聞いてもピンとこない? 実は、かなりの実力者
活況の独自サービス型SIM市場における事業者シェア第1位は「インターネットイニシアティブ(IIJ)」だ。「IIJmio」や「BIC SIM」などモバイルサービスを提供し、20.2%(258.9 万回線)を占める。続いて、NTTレゾナントの14.5%(186.3万回線)、3位にオプテージの9.5%(122.4万回線)。そして4位にはビッグローブの6.7%(86.3万回線)がランクインしている。
とくに、第1位に輝くインターネットイニシアティブは、2021年4月提供開始の料金プラン「ギガプラン」が好調で、上記の0円サービスを廃止した楽天モバイルユーザーの受け皿となったかたちだ。法人分野でも1年で30万に迫る純増を記録し、個人・法人ともに順調に推移した。
その人気の秘密は安さだけではない。「2022年オリコン顧客満足度®調査」の「格安SIM(SIM単体)」と「格安スマホ(SIM+端末セット)」において、「IIJmio」が満足度総合第1位を受賞。つながりやすさ・コストパフォーマンスといった機能性はもちろん、加入手続き・初期設定のしやすさ・サポートサービスといった顧客本位のサービス面でも最高評価を受けている。
もはや「安かろう悪かろう」では生き残れないMVNOの世界。すべての質を高水準に整備しているからこその活況といえる。通信インフラの質を下げることなく、家計のゆとりを生み出したい人は、こうしたニッチな領域に目を向けてみてはいかがだろうか。
出典元:独自サービス型SIM市場は2半期連続のプラス成⻑に【MM総研】
出典元:おすすめの格安SIMランキング・比較【オリコン顧客満足度調査】
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