2022年6月、NTTドコモが取ったiPhoneの転売防止策がなかなか強硬だと話題になったのはご存じだろうか。その強硬策とは、ドコモショップや家電量販店などにおいて、人気のiPhoneを割引価格で購入するとき、箱に油性ペンなどで名前を書くかショップのゴム印を押すこと。これを拒否すると、割引は受けられないというものだった。実際、SNSではドコモショップの店舗名が書かれたゴム印を押された箱の画像などが投稿され、顧客らから「もう少し良い手はなかったのか」などと疑問の声が多数上がっていた。
ノルマが厳しく、転売ヤーに頼るのも致し方ない?
しかしながら、今回の週刊文春の報道によれば「ドコモショップの幹部が転売ヤーを容認する発言を行っていた」というではないか。店頭には反転売ヤーの姿勢を表明する張り紙をしているが、あれだけ強硬な転売防止策を取っておきながら、実は転売を容認していたとなると、過去にiPhoneの箱に油性ペンで名前を書かされた顧客たちは複雑な思いを抱くだろう。
ただ、なぜ転売ヤーを容認するようになったかを探っていくと、ドコモショップの厳しい実情が背景にあるようだ。2022年春時点で、NTTドコモは約2,300店舗のドコモショップの3割にあたる700店舗ほどを2025年までに削減する方針が明らかになり、厳しい経営状況から各店舗にはシビアなノルマが課せられているのだそう。そのしわ寄せは当然、顧客接点であるドコモショップやそれを運営する販売代理店にかかり、目標達成には今まで以上の努力や工夫が求められる。プレッシャーがかかる一方で、目標を達成すると販売報奨金が支払われるため、販売側としては転売ヤーの購買力は魅力的に映っても不思議ではない。
ビジネス社会に生きる者として、同情する気持ちはあるものの、やはり転売ヤーは正当価格での購入を阻害している見方が強い。総務省は、通信回線を乗り換えやすくしたところ、横行するようになった転売ヤーを問題視している。
ショップぐるみで転売ヤー手配。NTTドコモも認識?
「転売は必要悪」「上も売っていいと言ってる」NTTドコモ本部が“転売ヤー動員”を“黙認”していた<内部音声入手>#文春オンラインhttps://t.co/CKAzWctPcH
— 文春オンライン (@bunshun_online) January 10, 2023
また、週刊文春の取材によると、一部のドコモショップでは、出張販売で顧客のキャッチを担当する協力会社に台数を指定して転売ヤーの手配を依頼し、転売ヤーの元締めがTwitterなどで他の転売ヤーを集めているそうだ。iPhoneをはじめ、新作の発売日には店頭に賑わいが生まれるスマホ業界だ。いわば、鮮度勝負。転売ヤーの心理としては、新作が出れば人気・注目が最高潮に達している発売日または、その直後に買い占めたいところだ。その場合、チームで効率的な購入体制を組み、各店舗に陣取るのがベターだろう。仮にショップ側から依頼があるとすれば、転売ヤーにとっては渡りに船。双方にメリットがあるだけに、現実として考えたくはないが可能性としてはゼロではない。
ここまでの報道を受けて、今後NTTドコモがどのような対応をするのか注目だ。
引用元:「転売は必要悪」「上も売っていいと言ってる」NTTドコモ本部が“転売ヤー動員”を“黙認”していた<内部音声入手>【文春オンライン】
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