総務省「スマホ短期解約でブラックリスト入りは違法」 – 不実告知が横行した背景とは

みなさんはスマホ契約の「2年縛り」を覚えているだろうか。2019年の電気通信事業法改正で2年縛りはなくなり、短期間での乗り換えが可能になった。しかし、実際は、短期で解約するとブラックリストに掲載されるなどと言われた人もいるだろう。総務省は2023年2月28日、短期解約によるブラックリスト入りは違法だと見解を示した。今回はこのニュースについて解説していきたい。

増える「スマホ短期契約」に関するトラブル

(Image:Koshiro K / Shutterstock.com)

2年縛りが撤廃されたのに、解約に関する苦情やトラブルが後を絶たないのは業界の闇の深さのせいだろうか

総務省によると2022年夏以降、「スマホを短期で解約したら、その後の契約を拒否された」「短期解約するとブラックリストに載ると言われた」という苦情が相次いでいるという。総務省がスマホの短期解約について取り上げるのは、かなり珍しいことで、よほど目に余る事態なのかもしれない。

公表された苦情の一例では「キャリアAから短期間でサブブランドBに乗り換え、半年後にキャリアAに戻ろうとすると、前回のキャリアAとの契約期間が短かったため、契約を拒否された」というものが掲載されている。総務省は、この事例のように短期解約したユーザーとの再契約拒否は電気通信事業法違反に当たるとしている

また、販売代理店が契約時に「短期解約するとブラックリスト入りする」と告げ、短期解約をすると不利益が生じるとの案内をすることも同法が禁止する「不実告知」(ウソの告知)に値すると指摘した。

このような苦情が増えたのは”2年縛り”がなくなったから、ユーザーが乗り換えやすくなったことが背景にあり、それを防ぐために「短期解約でブラックリスト入りする」という明確な根拠がない警告が増えたようだ。

避けられない「転売ヤー」対策の今後は?

(Image:beeboys / Shutterstock.com)

一方、「iPhone 0円」などのスマホ投げ売りをすると必ず現れる転売ヤー対策も必要だ

事業者が「短期契約でブラックリスト入り」を盾に、長期契約をさせようとする理由の一つに、端末を特価で入手して転売する「転売ヤー」が横行している問題もある。総務省はこれを把握し、通信サービスの以外での転売防止対策をすることは認めている。今回、短期解約だけを理由に再契約の拒否することは違法との見解を示した以上、他の対策が必要になるだろう。

しかし、総務省が挙げた具体的な対策は「端末の値引きを1人1回までに限る」というような転売ヤーにとってはあまり効果のなさそうなものしか出さず、携帯キャリアや販売店に丸投げしそうな予感しかない。事業者側が転売ヤーか、より安く使いやすい契約を求めている一般ユーザーかを見わけなければいけないのだろうか。

総務省から上記の見解が出た以上、短期契約でブラックリスト入りするという案内はなくなっていく可能性が高い。しかし、事業者側としては転売防止対策も必要だ。”iPhone 投げ売り”をはじめとする、今後の端末価格の値引きへの影響は避けられないかもしれない。

引用元:【総務省(PDF)
参照元:【読売新聞オンライン

※サムネイル画像(Image:Koshiro K / Shutterstock.com)

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