携帯電話会社の乗り換えを検討する際によく目にする「MNP」。MNP=ナンバー・ポータビリティ・サービスでは、携帯電話の番号を変更することなく他の携帯電話会社の契約に乗り換えることができ、登録しているサービスの情報の変更などさまざまな手間を省くことが可能だ。今回発表されたデータでは、このMNPの利用経験がある人の割合が明らかになった。
2006年10月に導入された「MNP」意外な普及率とは
大手通信キャリアが格安プランを続々と発表している昨今。現在、自分が使っているプランよりもオトクなものに変更を考えたことがある人は多いだろう。プランだけではなく契約している携帯電話会社ごと変更する場合、必要になってくるのがMNPだ。MMDLabo株式会社が運営するMMD研究所では、18歳~69歳の男女40,000人を対象に2023年2月3日~2月6日に「2023年2月通信契約サービスに関する調査」を実施。その調査結果の中で、MNPを利用した経験がある人の割合が発表された。
調査によると、MNPを「3回以上利用したことがある」と答えた人は5.6%、「1~2回利用したことがある」と答えた人が19.0%となり、利用経験があると回答した人は合わせて24.6%という結果に。2006年にMNPが導入されてから15年以上が経つが、キャリア間の移動がとくに活性化しているわけではなさそうだ。
格安プランが登場しても、他社に乗り換えるのではなく、今現在、契約している通信会社が新たにリリースしたプランに乗り換える人が多いのも理由の1つに挙げられるかもしれない。
5月下旬に、MNP手続きがさらに簡略化される見込み
今月に入り、携帯大手4社(ドコモ、KDDI、ソフトバンク、楽天モバイル)と一部の格安スマホ事業者は、5月下旬にもMNPの手続きをワンストップ化することを発表している。これまでは、利用者が契約している通信会社に解約を申し込み、MNPに必要な「予約番号」を発行。その番号を乗り換え先の通信会社に伝えることでMNPが完了する仕組みになっていた。しかし、予約番号の発行はその時点で契約している通信会社に依頼するため、過剰な引き留めが発生しトラブルになることも。そのため、総務省は乗り換え先だけですべての手続きが完了するワンストップ化を各社に求めてきた。
「2年縛り」や「SIMロック原則禁止」など、携帯電話会社の乗り換えを促進するための施策を打ち出してきた総務省。今回のワンストップ化実現でMNPがより手軽になり、各社の競争がさらに激化することが見込まれる。一方で、各社が現在契約している利用者の囲い込みに乗り出すことも予想される。今後の各社の動向に注目し続ける必要がありそうだ。
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