「別れの季節」ともいわれる3月だが、2023年3月31日「ピッチ」という愛称で愛されてきた「PHS」が、日本国内から完全にお別れとなるのはご存じだろうか。1995年にサービスを開始し、最盛期には約700万件に達したPHSが、ついに28年の歴史に幕を閉じることになる。今回は「PHS完全終了」についてお伝えしていこう。
PHS、28年の歴史に幕、ソフトバンクも3月末に撤退
国内で唯一PHS事業を行ってきた「ソフトバンク」は、2023年3月31日にPHSのサービス提供を完全に終了する。同社が「ワイモバイル」ブランドで提供してきた、一般の利用者向けの音声通話やメールのサービスは、2021年1月末にすでにサービスを終了していた。今回3月末に終了となるPHSサービスは、2021年1月末以降も続けてきた自動販売機の売上管理やコインパーキングのクレジット決済、ガスの検針など、機器向けに使用する「テレメタリングプラン」というサービスである。
1995年にサービスを開始し、最盛期の1997年には契約数が約700万件に達するほど支持されたPHSは、「ピッチ」という愛称で愛されてきたが、携帯電話に押されて市場が縮小した。大手キャリアで唯一、サービスを続けてきたソフトバンクの今月末の撤退で、PHSは28年の歴史に幕を下ろすことになる。
携帯電話に押されて市場縮小、終了へ
1995年にNTTグループやDDIポケット(現ソフトバンク)などが「PHS」サービスを開始し、携帯電話と比べて通話料や契約料が安く、高額な初期費用も不要であったため人気を博した。また、PHSは携帯電話よりも電波が届きやすく、地下街やビルなどの屋内でも通信が可能なのも重宝された。
しかし、携帯電話の料金引き下げに従い、PHSの利用者は減少し、NTTドコモは2008年にPHSサービスの提供を終了した。2021年1月末には、ソフトバンクも一般向けPHSサービスを終了した。現在は、自動販売機の売上管理やコインパーキングのクレジット決済、ガスの検針やエレベーターなどの機器向けサービスで使用されるのみであるが、今月末でこれらのサービスも終了となる。
「PHSの完全終了」と聞いて、1990年代後半に「ピッチ」にお世話になった人たちは1つの時代の終わりを感じるかもしれない。電波が届きにくい場所でもメッセージを届けてくれたPHSに、惜別の想いが伝わることを祈りたい。
※サムネイル画像は(Image:「photoAC」より)