シニア世代のスマホセキュリティ、約半数が「何をすれば十分なのかよくわからない」【モバイル社会研究所調べ】

個人情報などさまざまな重要データが詰まっているスマホだが、一方でスマホが犯罪やトラブルに利用される傾向も高まっている。特にスマホのセキュリティ対策については、リテラシーが低いとサイバー犯罪に巻き込まれる可能性も高くなり、自衛が必要だ。ところがモバイル社会研究所の調査によると、60~80代のスマホ所有者のうち、セキュリティアプリの利用は約3割にとどまることが判明した。詳しい調査結果を見ていこう。

 スマホのセキュリティ対策 年代が上がるほど実施率が低い傾向

スマホのセキュリティ対策 実施内容。不正アクセスにつながりやすいため、Wi-Fi の常時接続も見直したい(「モバイル社会研究所」調べ)

アンケートは2024年1月、スマホを所有する60歳から84歳の男女1,130人を対象に実施された。取り組んでいるスマホのセキュリティ対策について尋ねると、最も多かった回答は「画面ロック(パスワード、指紋認証など)の利用」だった。ただ、年代によって実施割合の差が大きく、60代は66%の高齢者が画面ロックを利用していたものの、80代の利用はわずか28%だった。

次に多かった「提供元不明のアプリはダウンロードしない」も、60代は46%、70代は43%が実施していたものの、80代は33%とやや低く、全体的に年代が上がるほどセキュリティ対策の実施率が低くなる傾向に。

コンピューターウイルスや危険サイトなどの対策も行ってほしいところだが、残念ながらどの世代もセキュリティアプリの利用率が低かった。無料セキュリティアプリの利用者は、60代が26%、70代が22%、80代が20%で、有料になると利用者がさらに減少。無料と有料を合わせても、セキュリティアプリの利用は全体の約3割にとどまった。

では、シニア層は現状のセキュリティ対策をどう思っているのだろうか。

セキュリティ対策が不十分だと思っても、どこまで取り組むべきかがわからない

自身が行っているスマホのセキュリティ対策が十分でないと感じている割合。シニア層の中では若い60代も、約半数がセキュリティ対策に不安を感じている(「モバイル社会研究所」調べ)

「現在、セキュリティ対策が十分できていると思うか」と尋ねた質問では、60代の約半数、70代から80代の約6割が「自身のセキュリティ対策が十分ではない」と回答。多くのシニアが自身のセキュリティ対策に不安を感じているようだ。

セキュリティ対策が重要だと認識しつつも、シニアにとって実際の設定はハードルが高いようだ(「モバイル社会研究所」調べ)

次に、セキュリティ対策が十分できていないと回答した人に、そう思った理由を尋ねた。すると約半数のシニアが「何をどこまですれば十分なのかよくわからない」と回答。また、そもそも「対策の実施方法がわからない」と答えた人も約4割いた。

一方、「どんな脅威があるかわからない」と回答した人は約2割と少数だった。警察やメディアが、サイバー犯罪について積極的に発信しているからであろうか。ただ、危険がわかっていても、具体的な対策がわからず、手をこまぬいている人が多いことがわかる。

すでに危険にさらされている人も多く、約4割が「不審なメールが届くことがある」と回答。現状のままで危ないことは明らかだ。

セキュリティ対策は本体や個々のアプリの設定などやるべきことが多いため、親や祖父母の代わりに設定してあげたほうがよいだろう。セキュリティアプリのインスト―ルをするほか、合わせてiPhone本体やLINEのセキュリティ対策も実施することをおすすめする。

たとえば、iPhoneの本体名は初期設定が本名で登録されており、Appleのデバイス同士で写真を共有する「AirDrop」などを行うと、電車やエレベーターの同乗者に本名を知られてしまう恐れがある。LINEも個人情報が漏れたりアカウントが乗っ取られる危険性もあるので、早めに取りかかろう。

出典元:【モバイル社会研究所

オトナライフ編集部
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