iPhoneの「Jailbreak(脱獄)」とは?できることやデメリットまとめ

近年は2008年~2010年代前半に比べ、耳にすることが少なくなってきたiPhoneの「Jailbreak(脱獄)」。しかし近年でもiOS12対応の脱獄ツールがリリースされるなど、融資による開発は続いています。脱獄によりどんなメリットやデメリットがあるのか、今回ご紹介していきます。

iPhone「Jailbreak(脱獄)」とは?

脱獄はOSを改造することにより、本来は制限された操作を可能にする行為のことを指します。たとえばApp Storeでは配布されない、Apple非公認のアプリを使用することができます。

Jailbreak(脱獄)に用いられる主なツール1

「unc0ver」はもっとも有名なiPhoneのJailbreak(脱獄)ツールの1つです。非公認アプリストア「Cydia」がパッケージマネージャーとして同梱されていることが最大の特徴。unc0verを用いた脱獄手順は記事の後半で紹介します

Jailbreak(脱獄)するとできるようになること

実際に脱獄を行うと、一例として以下のような操作が可能になります。

・アプリ毎のパスコードロックの無効化
・App Store以外で配布されているアプリのインストール
・iPhone純正カメラのシャッター音の無効化

ちなみにJailbreak(脱獄)は、iPhone以外にも、Apple TVなどを対象に行われることもあります。たとえばApple TVをJailbreak(脱獄)すると、対応していない動画ファイルの再生や、同一ネットワーク上に存在する音楽ファイルのApple TV上での再生ができるようになります。

非公認アプリの代表的な入手先は「Cydia」

一般的にアプリはApp Storeからダウンロードしますが、脱獄して非公認アプリをインストールする場合は「Cydia」というアプリストアを使う必要があります。

「Cydia」は2008年2月に登場した、iOS向けの非公認アプリストア。ちなみにCydiaとは「りんごに巣食う虫という」意味です。2008年当時、今日と比べるとあまり便利な機能を搭載していなかったiPhoneがより使いやすくなるように思い思いの改変を加えた非公認アプリを配布する先として、Cydiaは大きな支持を獲得しました。

非公認アプリの代表的な入手先は「Cydia」

Cydia発祥のアプリや機能が発展的に公式に採用された事例も決して少なくはありません。たとえば現在はiOSで一般的に使用されている「コントロールセンター」や通知の「バブル機能」などはもともとCydiaから生まれたもの

(画像は「Cydia Mate」より引用)

Jailbreak(脱獄)のメリット・デメリット

Jailbreak(脱獄)のメリット・デメリットを表でご紹介します。iOSに改変を加えたり、豊富な非公認アプリが利用可能な一方で、Appleのサポートが受けられなくなることが大きなデメリットです。

Jailbreak(脱獄)のメリット・デメリット

ちなみにCydiaが支持を集めた2008年~2010年代前半、ユーザーがiPhoneを脱獄する最も大きな目的の1つは「SIMロックの解除」でした。しかし、現在は簡単にキャリアで解除できるため脱獄の必要性は低下。iPhoneの脱獄は、最盛期に比べると「する人が減少傾向にある」ことは事実です。

Jailbreak(脱獄)に用いられる主なツール(アプリ)の例

実際に脱獄をする場合、どんなツールを利用すれば良いのでしょうか。3つのツールを紹介します。

unc0ver

「Cydia」の開発者が作成した脱獄ツールです。前述の通り、Cydiaがパッケージマネージャーとして同梱されていることが特徴。
他の脱獄ツールではCydiaが利用できないケースもあるため、非公認アプリの利用を目的に脱獄する場合、基本的には「unc0ver」がおすすめ。インストール手順は後述します。

公式ページ:Unc0verは→こちら

Chimera

iChimera

Chimeraもunc0verと並ぶ、有名な脱獄ツールの1つです。キャッチコピーは「Your device,your way.」。ユーザーファイルを改ざんすることなく脱獄できるため、脱獄ツールとしては安全性が高いことが特徴。開発ペースも早く、iOS12にも対応しています

(画像は「Chimera」より引用)

Chimeraはバッテリーの消耗、フリーズ、クラッシュが発生しないようにコードの見直しも実施されています。一部の脱獄ツールで稀に発生する「脱獄後にデバイスがフリーズ、クラッシュし、Appleサポートを受けることもできない」といった事象が起きずらいことも人気の理由です。

公式ページ:Chimeraは→こちら

rootlessJB

rootlessJBとは、その名の通り「rootless」のJailbreak(脱獄)ツール。root(管理者)権限にアクセスすることなく、/varディレクトリのみで疑似的に脱獄を行うことが最大の特徴です。
厳密には「脱獄とは異なる」と位置づけられることも多いツールで、他の脱獄手段と比べ自由度や使える機能が限られるという声もあります。

公式ページ:GitHubは→こちら

「unc0ver」を用いたJailbreak(脱獄)の手順

「unc0ver」を使って脱獄する手順を、簡単に紹介します。なお「unc0ver」での脱獄がうまくいかない場合は、Chimeraなど別ツールを試すか、後述する手順でiOSをダウングレードしたうえで手順を1からやり直してみてください。

1.OTAファイル(アップグレードファイル)を削除します
2.iPhoneのバックアップを取っておきます
3.SafariでJailbreaks.appにアクセスします
4.「unc0ver」の項目をタップします
5.「GET」ボタンをタップします
6.「unc0ver」をインストールするポップアップが表示されるので「インストール」を選択します
7.アプリインストール後、設定アプリ→「一般」→「プロファイルとデバイス管理」の順番で画面操作します
8.AllianceTek Inc → “AllianceTek Inc”を「信頼」 →「 信頼」の順番で画面をタップします
9.unc0verのアプリを開くことが出来ればインストールは完了です。
10.続けてアプリに表示されている内容に従って、2回インストールを実行します
11.完了後に「Cydia」が表示され、開くことが出来れば脱獄完了です

iPhoneのJailbreak(脱獄)がうまくいかない時の対処法

脱獄が上手くいかない場合、原因の一つに自身の端末のiOSバージョンが脱獄ツールの対応バージョンに合っていないことが考えられます。自身のiOSバージョンを確認して、必要であればダウングレードを検討してみましょう。

iOSバージョンのダウングレード手順

実際にダウングレードするために必要な準備と、手順についてご紹介します。

iOSバージョンのダウングレード手順1

まずパソコンでipsw.me(https://ipsw.me/)にアクセスし、iPhoneをクリック。過去のiOSをダウンロードします

iOSバージョンのダウングレード手順2

自分の端末をクリックします。今回はiPhone13 Pro Maxをクリックします

iOSバージョンのダウングレード手順3

「Signed IPSWs」と書かれている下にあるバージョンをクリックします。「Unsigned IPSWs」と書かれた下にあるバージョンにはダウングレード出来ないのでしてください

iOSバージョンのダウングレード手順4

内容を確認して間違いが無ければ、「Download」をクリックして、適当なフォルダに保存しておきます

iOSバージョンのダウングレード手順5

iPhoneを接続し、iTunesを起動します。通常復元するときは特に何も操作せずにクリックしますが、ダウングレードする場合に限り、Windowsの場合はShiftキーを押しながら、Macの場合はoptionキーを押しながら「iPhoneを復元」をクリックします

iOSバージョンのダウングレード手順6

写真のようにファイルを選択する画面が表示されるので、先程ダウンロードしたファイルを選択して、「開く」をクリックし、作業を進めていけば完了です

iOSのダウングレードは、1~2つ前のバージョンまでに限られています。最新iOSが公開されると、その1つ前のバージョンはすぐにダウングレード非対象となることが多いです。

iPhoneのJailbreak(脱獄)についてよくある質問

ここまで脱獄について、具体的にご紹介していきましたが、脱獄についてよくある質問についてご紹介、回答していきます。

Jailbreak(脱獄)に対するAppleの見解は?

Apple社は過去に脱獄行為をDMCA(デジタルミレニアム著作権法)違反だという見解を発表しています。Appleは著作権で保護されているファームウエアなどを無効にするJailbreak(脱獄)は同社の権利を侵害する行為であると主張。ユーザーに対しても、Jailbreak(脱獄)を非推奨としており、同社のサポートの対象外ともしています。

Jailbreak(脱獄)には違法性はある?

日本では個人的に端末を脱獄して利用することについて、検挙された事例はありません。

ただし、脱獄したiPhoneを販売したことで商標権を侵害したとして逮捕された事例は実在します。よって、脱獄したiPhoneをフリマアプリやオークションなどで販売することは犯罪行為に該当します。

まとめ

iPhoneの脱獄についてご紹介しました。脱獄によって様々なことが出来る反面、大きなデメリットが発生するのも事実です。
メリットとデメリットを理解したうえで、自己責任で脱獄を行ってください。そして、脱獄したiPhoneを他の人へ販売することは犯罪行為となるため止めましょう。

※サムネイル画像(Image:Ellica / Shutterstock.com)

オトナライフ編集部
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