辞書メーカーの株式会社三省堂が「三省堂 辞書を編む人が選ぶ『今年の新語2022』選考発表会」を実施し、2022年を代表・象徴する新語ベスト10を発表した。一般公募で集まった673語の中から、投稿内容などを基に、辞書編纂のプロである選考委員がこれからの辞書に載るかもしれない新語10語を選んだ。
「今年の新語」大賞はコスパをもじった「タイパ」
大賞に選ばれたのは「タイパ」だった。「コストパフォーマンス(コスパ)」をもじった「タイムパフォーマンス」の略で、「かけた時間に対しての効果や満足度」「時間的な効率」などの意味で使われる。
数年前には登場していた言葉だが、公開された映画を勝手に短く編集して配信する違法な「ファスト映画」の登場、また映画やドラマを倍速で見る「倍速視聴」などをきっかけにして、今年になって、ますます使われる言葉となったようだ。忙しく時間に追われがちな現代のライフスタイル、また、文字文化から動画文化への移行に鑑みたときに、必要にせまられる考え方なのかもしれない。
第2位となったのは「〇〇構文」だ。「おじさん構文」「ちいかわ構文」「進次郎構文」「ご不快構文」などジャンルはさまざまだが、その分野の独特な言い回しを用いて「文章のひとまとまりを、ある方式によって作り上げたもの」を意味する言葉だ。
第3位となったのは「きまず」である。「気まずい」の語幹を感動詞として使うものだが、たいして気まずくなくても、相づちのようにライトに使うのが今流だ。
4位は「メタバース」、5位は「〇〇くない」
第4位にランクインしたのは「メタバース」だ。ネットワーク上に構築される、3次元グラフィックの仮想空間を指す言葉であり、ユーザーはアバターを使い、空間に参加することができる。投稿数としては1位に入っており、注目している人が多い言葉と言える。
第5位は「〇〇くない」だ。具体例を挙げると「できるんじゃない?」を「できるくない?」、「行ったんじゃない?」を「行ったくない?」と言うなど、同意を求める新たな話し言葉として広がってきている。
6位は「学生時代に力を入れたこと」を略した「ガクチカ」、7位の「一生」は「一生寝てる」など、長い時間を意味する新たな用法としてランクイン。8位の「酷暑日」は1日の最高気温が摂氏40℃を超える日を表す言葉で、9位の「闇落ち」はNHK大河ドラマ「鎌倉殿の13人」で、好青年だった北条義時の性格が急変したことなどで注目された。10位は「リスキリング」で、職業において新しく求められる技能を身につけるための学び直しを言う言葉となっている。
昨年までは、コロナ禍を反映した言葉も目立ったが、流行も3年目に入ると疫病が日常化したためか流行語になるほどの勢いはなくなった。流行語の世界は一足早く、アフターコロナに突入したようだ。
引用元:三省堂 辞書を編む人が選ぶ「今年の新語2022」【三省堂】
※サムネイル画像は(Image:「三省堂」公式サイトより引用)