政府が普及に力を入れているマイナンバーカード。22年12月に入りマイナンバーカードの申請率が60%を超えたことを、総務省が公表するなど着実に普及している。CMではマイナポイント付与を大々的にPRしているが、申請率向上に貢献しているのは、それだけではないだろう。現代人の必需品・スマホへのマイナンバーカードの搭載が加速しそうだ。
●総務省「マイナンバーカード交付状況について」は→こちら
iPhoneへのマイナンバーカード対応を岸田総理が要請
岸田総理との会談はアップルCEOのティム・クック氏もツイート
スマートフォンとマイナンバーカードのつながりは、2023年から本格化する。2022年8月、デジタル庁はスマートフォンへのマイナンバーカード機能内蔵にかかわるシステムが2022年度末に完成すると明らかにし、10月にはデジタル大臣・河野太郎氏が2023年5月11日よりAndroidスマートフォンへの対応を開始すると発表した。スピーディーな進展に、政府がいかに力を入れているかがわかる。
マイナンバーカード機能がスマートフォンに搭載されることで、身分証明書や住民票などの取得を、スマートフォンひとつでオンライン上から行える。銀行口座や定期など生活に必要なツールが、スマートフォンに集約されていく動きをみると、マイナンバーカード機能と搭載は時代に則した流れといえる。
MMD研究所が2022年10月に発表した調査データによると、日本人がメインで利用しているスマートフォンにおけるiPhoneの利用率は49.4%、Androidの利用率50.4%となっている。マイナンバーカードをスマートフォンに搭載する土台としては十分にあるが、国民全体に普及するとなるともうひとつの巨頭・iPhoneにも対応する必要があるだろう。
そうした背景もあってか、2022年12月16日に岸田文雄総理がアップルCEOのティム・クック氏にiPhoneのマイナンバーカード機能の搭載を要請したことを、日本経済新聞やTBSが伝えている。
iPhone搭載が若年層など現役世代への普及の起爆剤となるか?
岸田総理の要請はティム氏の訪日時の会談時に行われた。アップルにおける日本市場の重要性は、岸田首相との会談に先立って実施された日本での5年間で約13.5兆円を投資し、約100万人の雇用を創出する施策からも理解できる。そのような日本の長が自ら要請したマイナンバーカード機能のiPhoneへの搭載である。ティム氏は搭載時期は明言しなかったものの、取り組む姿勢を示したという。
iPhoneへの搭載により期待されるのは、若年層をはじめとした現役世代へのマイナンバーカードの普及だろう。iPhoneは10代・20代の男女に圧倒的に支持されており、マイナンバーカードの普及が遅れている層と合致する。
マイナポイントなどの特典では申請しない層に対しては、身近なスマホとの親和性こそ有効なのかもしれない。詳細な搭載時期が明確になっていないだけに、今後のアップルの動向に注目だ。
※サムネイル画像(Image:Koshiro K / Shutterstock.com)