子どものインターネット利用に関して、使い過ぎによる視力低下やネット依存などのデメリットは気になるところだ。しかし、モバイル社会研究所の調査によると、学習でインターネットを利用する小中学生は、しない子と比べて情報活用能力が高い傾向にあった。詳しい調査内容をみていこう。
ネットを利用し学習する時間が長いほど、「情報収集力」「表現力」「処理力」で高得点!
モバイル社会研究所は2023年11月、関東1都6県の小学生及び中学生とその親を対象に訪問留置調査を行い、600人から回答が得られた。インターネットを利用して学習をしている時間を3つのグループ(利用なし・1時間未満・1時間以上)に分け、情報を活用する6つの能力に差があるか比較した。すると「収集力」「表現力」「処理力」の項目に関しては、一番利用時間が長い「1時間以上」のグループが最も点数が高く、利用時間が短くなるほど低くなる傾向に。
この結果から、ネットを利用して学習する時間が長いほど、わからないことを調べる「収集力」だけではなく、図や表も活用して情報を示す「表現力」や意見をまとめたり要旨を理解したりできる「処理力」にも良い影響を与えることが明らかになった。子どもの情報処理能力を伸ばすためには、積極的にインターネットを用いて学習する機会を設けたほうが良さそうだ。
「長時間利用」や「友達とのトラブル」など、子どものネット利用に関する保護者の不安
先ほどのデータから、インターネットを利用して学習している子は、情報処理能力が高い傾向にあることが明らかになった。親としては積極的に利用してほしいところだが、一方で長時間利用による健康への悪影響や不適切なサイトの閲覧など、デメリットも気になるところ。
実際に小中学生の子を持つ親から「子どものICT利用に関する不安」について尋ねたところ、約9割が「長時間利用による健康への悪影響」や「常にスマホ・ケータイの利用を優先し、いつも視聴しているなどスマホへの依存」を不安に思っていると回答。また、「LINE・メール・掲示板への投稿の内容により友達とトラブルになること」や「子どもが自身の個人情報を公開すること」といった情報発信やモラルの問題のほか、「不適切な出会い系サイトやアダルトサイトを閲覧すること」といったネットの危険についても危惧する声が挙がっていた。
子どもたちが適切にインターネットを利用するために、親子でルールを設定したり、ネット利用の制限を設定するペアレンタルコントロールを行ったりと、各家庭で工夫をする必要があるだろう。
実際に行っている「ペアレンタルコントロールの種類」を尋ねた質問では、最も多かった回答は「閲覧内容のフィルタリング」で約9割、次いで「コンテンツの購入、ダウンロード制限」が約7割、「端末の利用時間の制限」が6割弱だった。
子を持つ親はこれらのデータを参考に、スマホを含めたインターネットの利用について、じっくりと考えてみてはいかがだろうか。
出典元:【モバイル社会研究所】
出典元:【モバイル社会研究所白書2024年版(子ども調査)】
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