Suicaを利用するには事前チャージが必須です。オートチャージサービスもありますが、やはり、この点がほかのキャッシュレス決済より不便な部分でしょう。
そこでSuicaでは、今後10年でクレジットカードや銀行口座と紐づけることで、チャージが必要ない“あと払い”が可能になります。この“あと払い”交通系ICカードには「PiTaPa」がありますが、PiTaPaの申込みにはクレジットカード同様の審査が必要で気軽には申込めません。Suicaのように気軽に使えて、なおかつ“事前チャージ”と“あと払い”を選べるようになればかなり便利になりますね。
【5】お得な鉄道のサブスクサービスも!
Suicaは乗車券の代わりとして誕生したため、鉄道利用では通勤定期券や運賃など、固定的な利用がメインでした。しかし、2028年度には最寄り駅を起点にし、月額料金を支払うことで、どの駅でも運賃が50%割引となる「サブスク商品」も提供されるようになります。
さらに、鉄道の日などの記念日、駅ビルやイベントで配布される鉄道クーポンなど、新しい鉄道利用を想定しているとのこと。これなら、通勤でJR東日本を利用する人が、定期券の範囲に限定されない利用も実現できるかもしれませんね。
【6】マイナンバーカードと連携して「ご当地Suica」も!
Suicaをマイナンバーカードと連携させることで、地域に根差した「ご当地Suica(仮)」を作れば、地域自治体や地域社会のサービスに利用できるようになります。
このサービスは「Suicaアプリ(仮)」をベースにしており、マイナンバーカードと連携することで、行政申請や公共施設の利用証、給付金の受取などで利用できます。たとえば、地域のバスやライドシェアなどの公共交通機関に使えば、バスのシニア割なども簡単に実現できそうですね。
【7】利用者の生活にSuicaのデータを活用して新たなサービスを提供
JR東日本は、移動や生活シーンでSuicaを利用したデータを活用することで、今後はユーザーにさまざまな「おもてなし」や「お気遣い」サービスを提供することを計画しています。
たとえば、新幹線で移動した先でタクシーが待っていたり、帰宅後にお風呂が湧いているような「おもてなし」サービスや、ユーザーの健康状態に合わせた食事を勧める「お気遣い」サービスなども提供できるそうです。
すでに、約9,000万枚も発行されているSuicaですから、ユーザーのビッグデータをサービスに活用しない手はありません。将来は、Suicaのデータを活用して、コンシェルジュのようなサービスが受けられるかもしれませんね。
【8】訪日外国人へのシームレスなSuica利用
現在、訪日外国人向けには「JAPAN RAIL PASS」というお得なきっぷが販売されていますが、2025年3月からは訪日外国人向け「Welcome Suica Mobile」というiOSアプリが提供される予定です。
これは、事前にアプリをダウンロードしてSFチャージを可能にすることで、日本到着後すぐに成田空港や羽田空港から、JR路線や東京モノレールなどを利用することができます。さらに、2025年秋には「JR東日本の新幹線eチケット」や「在来線特急のチケットレスサービス」を、2026年春には中央線をはじめとした普通列車グリーン車にも対応します。
もちろん、将来的にはウォークスルー改札や、JR東日本全線での利用を可能にして、利便性を向上させるとのこと。これで、少しでもみどりの窓口の外国人大行列が解消されるといいですね。
【9】ほかの交通事業者にSuicaサービスを提供
現在、Suica定期券を発行できるのはJR東日本や東京モノレール、高速臨海鉄道くらいです。しかし、今後はほかの交通事業者でも通勤定期券が発売できるようになったり、2026年には通学定期券の発行にも対応するとのこと。
2024年11月には、高額なSuicaのシステム更新費用が原因で、熊本県のバスでSuicaが利用できなくなったことがありましたが、これは、このような事態を意識した動きかもしれません。今後、Suicaがセンターサーバー化されれば、設備の維持コストもかなり抑えられるでしょう。
まとめ
いかがでしょうか? 今回はJR東日本が発表したSuicaの中長期的な改革計画の詳細について解説しました。この計画どおり進めば、ガチ乗り鉄の筆者が現在感じているSuicaのデメリットがほとんど解消されるので、今からかなりワクワクしています。とくに、利用エリアの撤廃などは、本当に早く実現してもらえるといいなと思いますね。
※サムネイル画像(Image:Wongsakorn Napaeng / Shutterstock.com)