アフターコロナ・ウィズコロナの動きは、日本を代表するマンガ文化にも及んでいるようだ。2021年12月30日・31日の2日間にわたり、「コミックマーケット99(以下、C99)」が東京ビッグサイトで開催され、来場者は11万を記録。2年ぶりの開催とあって、世界的イベントの復活を待ち望んだ人々の熱気に包まれた。
コロナ禍を乗り越えた明るいトピックスであることは間違いないが、世間の注目を集めた要因は他にもある。あらかじめ来場者数を設定し、入場受付時間を指定した「チケット制(事前販売)」を導入したのだ。この新システムは、果たしてどのような効果を生み出したのだろうか。
風物詩であり迷惑行為だった「徹夜組」「始発ダッシュ」を解消
コミケ開催の中止・延期が続いた背景には、新型コロナウイルスの感染対策を確立するのが難しい点が挙げられる。コロナ禍の影響に悩まされること約2年、東京2020オリンピック延期の影響もあるようだが、ようやく開催したC99は感染対策を十分に施行したうえでの“新しいコミケのかたち”を披露する機会になったともいえる。何から何まで異例づくしだった参加条件は→こちらの記事で確認してほしい。
その代表的な感染対策が「チケット制」だ。来場者ごとに入場受付時間を指定したことで、開催日前日から会場周辺に待機する人々の通称「徹夜組」、いの一番に来場するべく最寄り駅から会場まで走って向かうことの通称「始発ダッシュ」の発生を防ぐことにつながった。
これは感染対策のひとつである「密をつくらない」という観点だけでなく、世界最大級の同人誌の祭典の“品格”を保つ意味でも貢献度が大きいようだ。というのも、コミックマーケットでは上記の行いは迷惑行為とされており、モラルある多くの来場者たちからは冷ややかな視線を送られてきた。その問題を解消したのが「チケット制」であり、迷惑行為はほとんど見受けられず、来場者は整然と列をつくり各々イベントを楽しんだようだ。
みんなが安心できる「新しいコミケ」にネット上も期待
様変わりしたコミケの風景は、ネット上で好意的な反響を呼んでいる。「平時に戻っても正午頃入場までは有料チケット制でいいと思うんだよね。完全有料だと裾野が広がらないけど、無料に戻したらまた転売屋が徹夜しはじめるし」「昔参加したときは当たり前ように始発で並んで、ってやってたけど入場予約制であればその必要ないので無駄な時間や体力奪われないですしね…」と、いままでの実情を知る人たちの声が並んだ。
今回の開催ではその他の感染対策も充実しており、入場時には検温、新型コロナワクチンの接種証明もしくはPCR検査結果証明の確認を実施。さらにマスクの常時着用、こまめな手洗い・手指消毒、3密回避などを推奨し、マンガ文化を愛する来場者たちが安心して楽しめるイベントづくりへの気概がうかがえる。次回、節目の100回目の開催を迎えるコミックマーケット。そこでは、“安心して交流できる”世界的イベントの確立に向けた、より一層の創意工夫が散りばめられているに違いない。
●コミックマーケット公式サイトは→こちら
参照元:2年ぶりの『コミケ99』ついに開催、感染対策に来場者も協力し「徹夜組」「始発ダッシュ」問題が解消【ORICON NEWS】