国としても、キャッシュレス決済比率を2025年までに40%とする目標を設定しています。将来的には、世界最高水準の80%まで上昇させることを目指し、キャッシュレス決済の推進に取り組んでいます。2021年のキャッシュレス決済比率は32.5%となり、順調に推移しているように見えますが、実際の利用者はキャッシュレスのことをどの程度わかっているのでしょうか?
日本では金融教育の重要性は感じられていたものの、キャッシュレスを含めた金融に関しての教育をに関して受ける機会がなかったと認識している人が圧倒的に多いようです【参考資料1】。そのためにまずは、キャッシュレスの基本から覚えてもらいたいと思います。
キャッシュレス決済には3種類ある!
キャッシュレス決済とは「現金を使わずに支払いを済ませる方法」を指します。キャッシュレス決済は大きく『後払い』『即時払い』『前払い』の3種類があります。この3種類の方法について、詳しく説明をしていきます。
『後払い』のサービス
■クレジットカード
まずは『後払い』について説明します。『後払い』には、キャッシュレス決済の中心といえる「クレジットカード」があります。キャッシュレス決済利用の内訳で8割以上を「クレジットカード」が占めています。「クレジットカード」はカードを利用した翌月以降に、指定の銀行口座から引き落としのかかる仕組みです。
支払方法も、1回払い、2回払い、ボーナス払い、リボ払い、分割払いと数多くの種類があります。ただし、リボ払いや分割払いには手数料が発生するため利用する際には注意が必要です。後払いでも支払い管理ができる人で、お得に利用したい人にオススメです。
■後払い決済
『後払い』のもう一つ(のサービス)は、最近海外を中心に利用者が急増して注目を集めている「後払い決済」があります。「後払い決済」は「Buy Now Pay Later」といい「BNPL」と略されることが多いです。「後払い決済」とは、商品の購入代金を後日支払う決済方法です。
指定された日までにコンビニ払いや指定された銀行口座に購入額を振り込むのが一般的ですが、手元の現金が足りない時や、クレジットカードを持っていない場合でも、商品を購入できる決済方法だといえます。ネットショッピングの決済方法として利用されるケースが増えています。クレジットカードを持っていない人でも、後払いで商品到着後に精算したい人にはオススメです。
『即日払い』のサービス
■J-Debit(ジェイデビット)
つぎに『即時払い』について説明します。こちらには2つのサービスがあります。
1つ目は『J-Debit』です。金融機関のキャッシュカード裏面に「J-Debit」の表記あるものはそのまま使用でき、全国56万カ所以上の店舗で使えます。しかし、他のサービスと比べて、使えるお店が少ないことやインターネットショッピングで利用できないことから利用者は増えていないようです。
■ブランドデビット(デビットカード)
2つ目は『ブランドデビット』です。『ブランドデビット』とはクレジットカードの国際ブランドである、VisaやJCBなどが発行するデビットカードです。こちらはVisaやJCBが利用できるお店の多くで利用できますが、ガソリンスタンドや継続課金となるサービスの一部で利用できません。また『即時払い』は銀行法で定められる為替業務の位置づけとなり、銀行でしか発行ができないため、発行者が限定されます。
『前払い』のサービス
■電子マネー
キャッシュレス決済の種類3つ目『前払い』について説明します。
『前払い』にも2つサービスがあり、まずは『電子マネー』を紹介します。電子マネーとは、現金を持たずにお買物ができる「電子化されたお金」です。専用のカードやスマホアプリに金額分をチャージすることで使えます。電子マネーの代表的なブランドとしては、交通系の電子マネーの「Suica」「PASMO(パスモ)」や流通系の「nanaco」「WAON」が有名です。
■QRコード決済 (※)
もう1つは、今話題の『QRコード決済』です。スマホにQRコードやバーコードを表示して、店側がバーコードリーダーやカメラなどで読み取って支払う、あるいは店頭レジに掲げられている専用QRコードをスマホのカメラで読み取って支払いをするというもので、代表的なサービスは「PayPay」「楽天ペイ」「au PAY」「d払い」があります。2021年の取扱高では、『QRコード決済』が『電子マネー』を抜いており、『QRコード決済』の伸びが著しいです【参考資料2】。
(※)ここでは後払いサービスを除いたサービスとして説明しております。
今後、注目したいキャッシュレス決済『代替通貨』!
最後に、まだまだ日常には入ってきていませんが、『代替通貨』が今後のキャッシュレスの世界を変えるかもしれないので紹介します。
『代替通貨』とは、円やドルといったお金と同じように使える「通貨の代わりになるもの」です。この『代替通貨』ではビットコインなどが代表的な暗号資産が有名です。すでに、海外ではビットコインなどの暗号資産で、一部買い物ができるようになっています。
また、ブロックチェーン技術を使った『トークンエコノミー』では、コミュニティ通貨の検討がされています。未来のキャッシュレスの姿を変えるのではないかと注目されています。今後、キャッシュレスはテクノロジーの進化とともに、形を変えながら世の中に浸透していくことは間違いありません。
【参考資料1】金融教育に関する認識 →こちら
【参考資料2】QRコード、電子マネー年間取扱高 →こちら
※サムネイル画像(Image:Nattakorn_Maneerat / Shutterstock.com)