ふるさと納税やNISA・IDeCoなど、お得に節税を始める人が増えてきた昨今。それでもまだまだ、「やった方が良いんだろうけど、詳しくはわからない…」という人は多いですよね。そんな中、最近では金融に関する教育が“義務化”し始めているのをご存じでしょうか?
生き抜くための金融教育
2020年度の学習指導要領改定から、小中学校で金融に関する知識に触れる機会は多くなっていました。しかし22年度からは高校の家庭科で金融教育が義務化し、消費者の権利と責任についての教育が本格的にスタート。
計画的に生活していくための知識として、資金管理の考え方・消費者信用をめぐる問題などを学んでいくことになりました。成年年齢の引き下げに伴って発生しかねない、さまざまな金融契約トラブルを説明しておくということかもしれません。
しかし一方で、親世代で金融に関する知識を十分に持っている人はどの程度の割合になるのでしょうか。
●教育内容について知っている人はたった2割!?
2022年12月に株式会社イー・ラーニング研究所が、子どもを持つ親462人を対象にした「2022年:学校と家庭における金融教育に関する意識調査」を発表。アンケートによると、「高校で開始している金融教育の内容について知っていますか」という質問に「はい」と答えた人は約2割に留まりました。
「高校の家庭科の授業で金融教育が開始していることを知っていますか」という問いに「知っている」と答えた人は約7割に及んだことを踏まえると、驚異的な数字です。学校教育はもちろん大事ですが、家庭で実践の機会がないと身にならないという子どもも多いはず。
とはいえ現代社会の中で、金融に関する勉強をしていた人は少数派といえるでしょう。子どもに教育したくてもできない、というのが実情なのかもしれません。
●親が「学んでほしい」と願っている金融知識は?
出典元:【株式会社イー・ラーニング研究所/PR TIMES】
同調査では、「子どもにお金に関するどのようなテーマを特に学んでほしいですか」という質問も実施。「家計管理とライフプランニング」(289ポイント)、「備える」(188ポイント)、「金融トラブル」(169ポイント)を差し置いて1位を獲得したのは、「貯める・増やす」(363ポイント)でした。
ひと昔前には電気代や水道代といった細かい生活費の節約術がありがたがられていましたが、現在は投資や資産運用などの“増やす”方法に期待が寄せられている様子。
政府が音頭をとるNISAをはじめとして、資産運用はいまや「お金持ちのマネーゲーム」ではなくなりつつあります。メリット・デメリットを知った上で正しく運用すれば、資産形成の方法はいくらでもあるのが現代。金融知識が一般教養になる日も近いかもしれませんね。
金融教育の現場は学校だけではない!
生活に直結するからこそ、お金に関する知識は身になる方法で学んでほしいもの。先ほど紹介した調査の中では、「いつから学校教育で金融教育を始めてほしいと思いますか」という質問も投げかけていました。
結果は「小学校低学年」(184ポイント)、「小学校以前」(121ポイント)がワンツートップに。付け焼刃の知識ではなく、しっかりと身に染み込ませてほしいという気持ちが伝わってきます。
しかし大人も学ぶのに一朝一夕ではきかない金融知識。正しく学ぶために、どのような方法があるでしょうか。
●金融庁発行の「基礎から学べる金融ガイド」は親子で必見レベル
世にさまざまな金融リテラシーの書籍はありますが、最初の一歩として是非見ておきたいのが金融庁のHPに掲載されている「基礎から学べる金融ガイド」です。
たとえば分散投資や積立投資について、それぞれの効果を説明。資産を卵に見立てて「いろいろなカゴに分けておけば、一度に全部の卵を失うことはありません」という文章とともにイラストが入っているなど、わかりやすい構成になっています。
「家計管理」「預貯金」「株式/債券/投資信託」「クレジット/ローン」など全9項目に分かれた資料で、まさに入門編としてピッタリ。子どもに教える前知識として、「金融知識なんてサッパリ」なんて親世代が読んでおきたい内容です。
●幼児期から学ぶ方法とは?
親が十分な金融知識を持ったとしても、子どもにわかりやすく伝えるのは難しいもの。年齢によっては同じ資料を見て学ぶこともできますが、小さいうちは教え方も工夫しなければなりません。先のアンケートで要望があった未就学児にも教える方法については、セミナーなどで学ぶという方法もあります。
社会福祉法⼈ 檸檬会は、保護者や保育士向けのセミナーとして「幼児期からの金融教育」を実施。「子どもへの『お金の知識』の伝え方が分からない」「お小遣いの扱いについて悩んでいる」といった人向けに、ゲームやおままごとを通した伝え方などの具体的な金融教育の例を教えてくれるそうです。
金融教育に力を入れている幼稚園を探すのも良い手ではあるものの、実現できるかは家庭の事情によって変わります。家庭でしっかり伝える方法を学んでおくのが良いかもしれません。
必要な教育とはわかっていても、中々手を出しにくい金融知識。義務教育になる前に、親子で学ぶ機会を考えてみてはいかがでしょうか。
出典元:基礎から学べる金融ガイド(PDF)【金融庁】
出典元:中学生・高校生のみなさんへ【金融庁】
参照元:【社会福祉法人檸檬会/PR TIMES】