ビットコインは、2009年に誕生した代表的な暗号資産(仮想通貨)で、中央銀行や政府などの中央機関を介さずに取引が行われる分散型の電子通貨。
(画像引用元:BTCBOX )
一方で誕生から10年以上経過する中で、何度も大暴落や仮想通貨取引所への攻撃が起きたことも事実。
今回はビットコインの期待される成長要因と、今後注目の暗号資産を解説します。
ビットコインの基本情報、現状
ビットコインはブロックチェーンという分散型台帳技術を用いた仮想通貨の一つ。ブロックチェーンにより、ビットコインの今までの取引情報がすべて記録されているのが最大の特徴です。
ビットコイン価格は、過去に何度も大幅な変動を経験しており、2023年5月時点では約379万円前後で推移しています。ビットコイン市場においては、大企業や機関投資家の投資動向や、国家の規制緩和の動向が注目されます
ビットコイン価格の過去動向と現状
ビットコインは過去に何度も大幅な価格変動を経験しています。とくに2017年には、急激な価格上昇を見せました。
参考元:Google Finance(一部編集部にて画像加工)
ビットコインには将来性が無い?
ビットコインに対する否定的な見方も一部存在しますが、ビットコインに将来性が無いとする意見は早計です。
大企業、機関投資家の動向
ビットコイン市場においては、とくに大企業や機関投資家の参入が注目されます。ビットコインは従来の金融市場とは異なる性質を持っているため、投資家にとっては新しい資産クラスとして魅力的に映る一方、高いボラティリティがあることから、保有リスクを抱えることにもなります。
最近では、ビットコインを保有することで収益を上げるための投資商品として、ビットコインファンドやビットコイン関連のETFが登場しています。これらの商品が大企業や機関投資家の投資先として注目を集めています。
国家の規制の動向
ビットコインを始めとする仮想通貨市場においては、国家がどのように仮想通貨を規制するかが重要なファクターのひとつとなっています。日本ではビットコインを含む暗号資産に関する法規制が整備されつつあり、直近では2022年6月にステーブルコインに関する規制を含んだ改正資金決済法が成立しました。
仮想通貨に関するこれまでの国内における主な法改正は以下の通りです。
法律施行日 | 改正された主な法令 | 主な改正内容 |
2017年4月 | 資金決済法、犯収法 | ・暗号資産交換業者に登録制を導入 ・口座開設に本人確認の義務付け |
2020年5月 | 資金決済法 金融商品取引法 金融商品販売法 |
・法律上の呼称を仮想通貨から暗号資産へ変更 ・暗号資産カストディに対する規制 ・顧客資産の一部を除きコールドウォレット等で管理することを義務付け ・暗号資産デリバティブを規制対象に追加 |
2022年5月 | 外国為替及び外国貿易法 | ・経済制裁の抜け穴として暗号資産が利用されることの防止 |
2022年6月成立 施行日未定 |
資金決済法 | ・ステーブルコインに対する規制 |
参考元:金融庁
今後のビットコインの成長要因
今後具体的にビットコインはどのようなタイミングで価格の上昇が見込めるのでしょうか。ビットコインの成長要因について解説します。
2024年の半減期
2024年にビットコインの半減期が再び訪れます。半減期が訪れるたびに、新規発行されるビットコインの量が半分になるため、ビットコインの希少性が高まります。
ビットコインETFの影響
ビットコインETFとは、ビットコインの値動きに連動した上場投資信託のことです。ビットコインETFは、ビットコインを直接購入することなく、証券口座から注文ができます。
ビットコインETFの承認は、大手金融機関や機関投資家など大口投資家からの参入を促し、市場全体の拡大や流動性の向上につながると言われています。とくに機関投資家が仮想通貨市場に参入する際の障壁を下げることで、市場全体の発展につながると期待されています。
ライトニングネットワーク実装による利便性の拡大
ライトニングネットワークとは、ビットコインのブロックチェーンの外部で送金や取引処理をする技術です。
(画像引用元:Kraken)
ライトニングネットワークの実装により、ビットコインの送金が高速化され、手数料も安くなると期待されています。これにより、ビットコインを利用した小額決済が可能となり、実用性が向上すると予想されます。また、ビットコインの需要が増加し、価格上昇につながる可能性があります。
スケーラビリティ問題の進展
ビットコインは、ブロックサイズの上限やトランザクション処理速度の制限により、データ処理速度が遅くなり送金や取引が遅延することや、取引手数料が高くなるスケーラビリティ問題を抱えています。
前述のライトニングネットワークの実装など、この問題に対する様々な取り組みが行われています。例えば、ブロックサイズを拡大することや、セグウィットやレイヤー2といった技術の導入により、ビットコインのスケーラビリティが改善される可能性があります。
スケーラビリティの問題が解決すれば、ビットコインの利用範囲が広がり、価格上昇の要因になり得ます。
ビットコインの過去の暴落の要因
ビットコインは過去に暴落が起きています。 ビットコインの過去の暴落の要因について解説します。
コインチェック事件など大規模なハッキング
前述の通り、ビットコインは「ブロックチェーン技術」を採用しており本質的には安全な資産です。しかし、ビットコインにもセキュリティ上の問題が指摘されています。その最大の要因は「ビットコイン取引所」を狙ったハッキング。過去には前述したコインチェック事件などの大規模なハッキングが発生し、多額の流出が生じました。このような事件が起こると、ビットコインへの信頼が揺らぎ、価格下落の要因になることがあります。
米国経済の悪化
ビットコインが米国経済に直接的に影響されることはないものの、経済の不安定さがビットコインの価格変動に影響することがあります。米国はビットコイン市場において大きな影響力を持ち、景気後退や不況がビットコイン価格の下落を引き起こす可能性があります。金融政策や法規制の強化もビットコイン価格に影響を及ぼすことがあります。
ステーブルコイン「テラ」が暴落
「ステーブルコイン」とは、ビットコインとは異なり、価格が安定するように設計された仮想通貨のことです。
しかし、代表的なステーブルコインの1つ「テラUSD(UST)」の価格が2022年5月に急落。テラUSDは、米ドルの価格に連動したアルゴリズム型ステーブルコインでしたが、20分の1まで価値が下落しました。ステーブルコインはいわば仮想通貨における「安全資産」でしたが、その代表的な存在である「テラUSD」が崩壊したことで、暗号資産への投資意欲が減退してしまった投資家も多かったと見られています。
他にも将来性のある仮想通貨6選
ビットコイン以外にも将来性があると言われている仮想通貨6選を紹介します。
イーサリアム
イーサリアム(ETH)は、ビットコインに次いで時価総額ランキング2位を誇る、メジャーな暗号通貨の一つです。
(画像引用元:コインチェック)
リップル
リップル(XRP)は、リップル社が開発した中央集権型の暗号通貨です。リップルは、国際送金に特化しており、300以上の金融機関によって利用されています。
(画像引用元:DMMビットコイン)
カルダノ
カルダノ(ADA)は、オープンソースの分散型オンラインカジノプラットフォームであり、このシステム上で流通する仮想通貨を「ADA」と呼びます。
(画像引用元:GMOコイン)
ソラナ
ソラナ(SOL)は、分散型アプリケーション(DApps)を実行するためのブロックチェーンプラットフォームです。ソラナは、スマートコントラクトの実行に対しても高速であるため、DeFi(分散型金融)分野でも注目されています。
(画像引用元:GMOコイン)
ドージコイン
ドージコイン(Dogecoin)は、2013年に誕生した仮想通貨で、もともとはビットコインのパロディーコインとして作られました。
(画像引用元:GMOコイン)
ネム(XEM)
ネム(XEM)は、新しい経済運動(New Economy Movement)の略称で、そのネットワーク上で発行された暗号資産のことを指します。ネムは、分散化、経済的な自由、平等といった原則に基づいた新しい経済の枠組みを確立することを目標としたプロジェクトで利用されるブロックチェーンです。
(画像引用元:コインチェック)
日本製の「ステーブルコイン」にも注目
仮想通貨はアメリカに由来するものが多いですが、ここ最近日本製の「ステーブルコイン」にも注目が集まっています。
例えば、三井物産デジタルコモディティーズが発行する仮想通貨ジパングコイン(ZPG)は、金の価格との連動を目指すことでインフレヘッジ機能を備えたステーブルコインです。ジパングコインは1ZPGが金1gあたりの価格になるよう設計されています。資産運用やインフレへのリスクヘッジとして利用されることが期待されます。
まとめ
解説してきたように、ビットコインに将来性がないと判断するのは早計です。日本でもビットコインETFが承認されれば値上がりが期待できます。また、とくにステーブルコインは、さらに安定的なシステムの構築が可能であれば、国際送金の高額な手数料を回避するために将来的に一般的な電子マネーのように利用される可能性があります。今後も仮想通貨に注目することをおすすめします。