かつて“一億総中流”と呼ばれた日本。終身雇用制にもとづき安定した人生設計を描き、長寿国としておおらかな老後を送る。そのような生き方が、当たり前のものとされてきたが、1990年代のバブル崩壊に端を発する長期的な経済不況は、人々の経済状況や価値観を変えていった。
大企業・老舗企業であっても、経営危機や倒産に陥る現代社会では、数十年後の雇用まで保障されるわけもなく、GDP世界第2位の先進国として名を馳せた“一億総中流”時代から一変し、金持ちと一般層の格差は広まっている。これからの時代をサバイブするには、お金を稼がないといけない。危機感をもつ人々に有用な調査結果を紹介したい。
年収300万円でも危険ライン? その理由とは……
9月14日、キャリア・転職メディアサイトを運営するミチサガシは、年収に関する調査結果を発表した。調査対象は、年収300万円で「やばい」と感じる男女と、年収アップを実現したことのある男女。お金の面で切実な思いをもつ人にクローズアップした調査内容となっている。
「年収300万円で「やばい」と感じる/感じない」の問いについて、やばいと感じる層は89.2%にものぼった。その理由として挙がったのは「自由に使えるお金は1カ月で2万円ほどしかないので、交際費を削らないと、貯金できないから」「子どもが今、小学生のため今後の教育費がかなり心配。その後の自分達の老後の生活についても不安を感じる」といった将来への蓄えの不安が多かった。
少数派の「やばいと感じない」の回答者は、今の暮らしに満足、お金に執着がないという考えだが、やはり頭につきまとうのは将来設計。老後の生活には2,000万円が必要と言われているが、多くの人にとって、年収300万円で現在の暮らしと将来への蓄えを両立するのは困難なようだ。
転職、昇給、資格取得……苦境を脱する方法は「年収アップ」
値上げ続きの現代社会では、いつもどおり節制した暮らしをしていても、出ていくお金がふえてしまう。そうなると打開策は「収入を増やす」の一択だ。同調査では年収を上げるための取り組みや、工夫についてもリサーチしている。
そうした努力の結果は、増加額に差はあれど、年収アップにつながっているようだ。なかでも、30%以上の年収アップを実現した回答者は、エージェントを活用した転職、キャリアカウンセラーへの相談、現在の仕事のスキル向上・マインド改善などに取り組んでいる。
年収アップの可能性は転職しても、現在の会社にとどまっていてもあることは間違いない。大事なのは、決断を貫きとおす意志なのだろう。
出典元:【ミチサガシ】