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意外と知らない「クレカ決済NGの通販サイト」がどんどん増加している理由

近頃、各種通販やサブスクリプションの課金における「クレジットカード会社による規制」が強まっています。たとえばニコニコ動画ではプレミアム会員の支払いが現状JCBとDiners Clubのみ可能に。つまりVisaなど代表的なクレジットカードブランドによる決済は停止されたことを意味します。

さらに遡ると、たとえばDMM.comでは2022年にMastercardでの決済を停止済み。大手サイトでのクレジットカード決済の停止が続いています。『VISAブランドないしはMastercardブランドのクレジットカードしか持っていない』方にとっては、決済できるサービスがどんどん減少しているのが現状ではないでしょうか。では「クレカ決済NGのサイト」が増えている理由には、何があるのでしょうか?

クレジットカード業界で強まる「表現規制」

クレジットカード業界で近年強化されているこの「表現規制」の問題。規制を主導しているのは、主に海外の大手クレジットカード会社。特に成人向けコンテンツを配信しているサイトでクレジットカードが使えなくなっているケースが目立ちます。

規制の対象となった通販サイトは多岐にわたります。たとえば以下の通り。
・ニコニコ動画
・FANZA同人
・DMM
・とらのあな
・DLsite
・Fantia

たとえばニコニコ動画は有料会員「プレミアム会員」の課金において、2023年11月にMastercard、2024年3月にAmerican Express、5月にVisaが規制されています。

クレジットカード決済の停止・規制の対象となった通販サイトの例1

(画像は「ニコニコ動画」公式サイトより引用)

ニコニコ動画には一部、過激なASMR動画などが存在するケースもあるものの、サイト自体は「成人向けコンテンツ」に特化した動画サービスではありません。つまりクレジットカード会社が行う表現規制は「かなり苛烈なもの」であると言えるのではないでしょうか。こうした背景にあるのは、クレジットカード会社を対象とした海外での訴訟例であると見られます。

たとえば2022年には当時14歳の少女が性的動画を掲載されたことをめぐるアメリカの裁判で、その動画を配信していた運営会社とともに支払い手段を提供していたVISA社も訴訟されることに。結果「児童ポルノでの収益を支援する意図があった」という判決がくだされました。

国会議員が米国Visa本社に直接交渉に乗り出す動きも

こうした規制を問題視し、国内の国会議員の間でも動きが見られます。たとえば自民党の山田太郎参議院議員は2024年8月にVISAの米国本社を訪問し、責任者と会談。山田議員はXでVisa側からは「合法であるコンテンツ等に対する価値判断は行っていない」という説明を受けたと明かしています。

つまりVisaは「アダルトコンテンツ配信会社に対する支払い」であっても、そのコンテンツが違法でない限りは支払い利用可否の判断はしていないとのこと。表現規制そのものは、あくまで現場判断であると見られます。

ここで問題となるのが、クレジットカードの表現規制を行っている主体は「厳密にはどの会社なのか」ということです。「クレジットカード会社」と一口にまとめても、その決済の仕組みの裏にはクレジットカードブランドに加え、決済代行会社など様々な会社が絡んでいます。

国会議員が米国VISA本社に直接交渉に乗り出す動きも1

表現規制を主導している「主体」はクレジットカードブランドなのか、その決済代行会社なのか。もしくはその両方なのか。また表現規制のOK・NGのセーフラインはどこなのか。たとえばやや性的な表現を含む「ASMR」はOKなのか、NGなのか。

こうした点が明確になるにはまだ時間がかかると見られ、特に消費者側にとっては規制を主導するクレジットカードブランドを使い続けるよりは「代替の決済手段やブランドを探す」法が手っ取り早いでしょう。

VisaやMastercardの代替として注目される「JCB」

VISAやMastercardの代替として注目される「JCB」1

(画像は「JCB」公式サイトより引用)

このような状況下で、注目を集めているのは日本のクレジットカード会社であるJCB。国際クレジットカードブランドから規制を受けたサイトでも、基本的にJCBは利用可能となっているケースが目立ちます。そのため、VisaやMastercardの代替として改めて「クレジットカードブランド」として注目度が高まっています。

このほか、一部の成人向けコンテンツを扱うプラットフォームでは「外部の決済サービスにおいて、自社サービスの有料ポイントを購入してもらい、その有料ポイントでコンテンツやサービスを購入してもらう」という抜け穴を用いて、間接的にVisaやMastercardの決済を実現しているケースも見られます。

一方、VisaとMastercardというシェアが大きなクレジットカードブランド2社が過度な表現規制を続けた場合、こうした抜け穴があってもなお規制対象となるサイトやその分野のクリエイターやサービス事業者へのダメージは大きいでしょう。規制の線引きの明確化などが求められます。

※サムネイル画像(Image:Solarisys / Shutterstock.com)

オトナライフ編集部
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