2024年3月に経済産業省が発表したキャッシュレス決済比率に関する資料によると、キャッシュレス決済の利用比率は、QRコード決済が8.6%に対し、電子マネーは5.6%にとどまっています。つまり、電子マネーの利用機会の方が少なくなっています。しかし、電子マネーはQRコードにはない便利な点も多くあります。実際普段から電子マネーを利用している筆者が4つの利点をご紹介します。
おサイフケータイに対応している
まず電子マネーの最大の利点は、iDなど電子マネーを「おサイフケータイ」で使える点でしょう。
なお「おサイフケータイ」は携帯電話やスマートフォンに搭載されたFeliCaチップを利用した非接触型の決済サービス。2004年にサービス開始し、同年7月10日にはドコモが「おサイフケータイ」対応のガラケーを販売しました。
ガラケー時代から「キャッシュレス決済」を実現していたのがおサイフケータイです。サービス開始から20年が経ちますが、2024年現在もガラケーやスマホでおサイフケータイを使い続けている方も少なくないでしょう。
たとえばPayPayや楽天ペイなどのQRコード決済の場合、QRコードを画面に表示させて機器で読み取ってもらうか、店頭のQRコードをカメラにかざして金額を入力する必要があります。
しかし「おサイフケータイ」ならば画面を機器にかざすだけで決済が完了します。
そのためFelica対応端末であれば、QRコード決済が全盛であろうとおサイフケータイでタッチする方が使用感が良いと感じる場面は少なくないでしょう。
物理カードを用いてかざすだけで支払いが完了する
電子マネーにはSuicaやPASMOに代表される交通系ICや、nanacoなど「物理カード」が発行されるものもあります。この物理カードは単体での決済手段としても非常に便利です。QRコード決済はスマホアプリで利用するのが主であり、QRコード決済アプリそのものを「物理カード」で利用することは難しいです。
たとえばスマホを忘れてしまい楽天ペイでの決済ができない際に、楽天カードで支払いをした場合、それは楽天ペイでの決済ではなく「楽天カード」での支払いとなります。つまり「物理カード」で支払いができるのは電子マネーの大きな利点です。なお、たとえばSuicaは物理カードをモバイルSuicaに取り込んだあと、元のSuicaは使えなくなってしまう点には注意しましょう。
電車やバスなど公共交通機関での利用
長良川鉄道など、ごくごく一部の鉄道ではQRコード決済に対応していますが、大手鉄道会社はQRコード決済への対応は「少しずつ進んできている」に過ぎないのが、2024年時点の現状です。
その点、交通系電子マネーは基本的に全国どの公共交通機関でも利用可能。全国相互利用サービスが導入されているエリアであれば、そのエリア専用の交通系ICカードを手に入れる必要もありません。
未成年やクレジットカードを保有していない人でも利用しやすい
先述した通り、電子マネーの中には物理カードも発行できるものもあり、さらにそれらの物理カードにはクレジットカードの紐づけが必要でない場合も多くあります。そのため、未成年でも持ちやすいのが特徴。
QRコード決済も法定代理人の同意があれば利用することができますが、中には、クレジットカードとの連携が必要なものもあります。電子マネーではそのような制限がないため、より幅広い層の人々が利用しやすい決済手段となっています。
※サムネイル画像(Image:Terence Toh Chin Eng / Shutterstock.com)