2019年10月に消費税が10%に引き上げられたが、食品など軽減税率対象商品は8%のままに据え置かれた。だが、世の中にはそもそも税金がかからない取り引きがあるのをご存じだろうか? そこで今回は税金のかからない“取り引き”について解説しよう。
土地、医療費、授業料、商品券、家賃などは非課税!
2019年10月、消費税が10%に増税されたが、ファーストフードやコンビニで購入する食品の場合、イートインなら10%なのにテイクアウトは軽減税率が適用されて8%になるなど、多少の混乱も見られた。今では軽減税率もそれなりに受け入れられていると思うが、なかには「そもそも消費税なんか無いほうがいい!」なんて、密かに不満を募らせている人もいるだろう。だが、世の中には消費税がかからない取り引きがあるのをご存じだろうか? 消費税がかからない取り引きは意外と多く、大きくわけて「非課税取引」「不課税取引」「免税取引」の3つがある。
まずは「非課税取引」から解説しよう。これは、本来は課税対象になるが、消費税になじまない取り引きや、税法上、課税に相応しくないと思われる物やサービスの取り引きが対象となる。具体的には、土地の取引、国債や小切手などの有価証券の譲渡、郵便切手や印紙、商品券やプリペイドカードなどが消費税になじまないと思われる取り引きである。また、社会福祉や社会保険による医療費、介護保険のサービスや出産費用、障害者が使う物、学校の授業料や教科書、住宅の貸付など、公共性の高いものや生活に関わるものは課税に相応しくない取り引きとなっているのだ。
■非課税取引の例
・土地の譲渡や貸付
※土地は消費されるものではないため非課税だが、建物は課税対象
・有価証券(国債、社債、株式、小切手、約束手形など)の譲渡
・銀行券、硬貨、小切手、約束手形、仮想通貨などの譲渡
・郵便切手、印紙、商品券、プリペイドカードなどの譲渡
※プリカの購入やチャージは非課税だが、電車の運賃は課税される
※切手は非課税だが配達料は課税対象になる
・行政手数料(国や地方公共団体、公益法人などの登記、登録、試験などの手数料)
・社会保険医療の給付(健康保険、労災保険、自賠責保険の対象となる医療)など
※処方薬は非課税だがドラッグストアの市販薬は課税対象となる
・介護保険サービス、社会福祉事業などによるサービスの提供
・医師や助産師による助産および助産に関連する費用
・火葬や埋葬の費用
・ 車いすや義肢など身体障害者が使う物の譲渡や修理費用
・学校の授業料、入学金、施設設備費、学校で使う教科書の譲渡
※学校教育法で規定される学校が対象(塾は課税対象)
・ 人が住む住宅の貸付(賃貸住宅の家賃)
※駐車場や事務所の家賃は課税対象
(国税庁「非課税となる取引」より引用)
(Image:BT Image / Shutterstock.com)
Suicaなどのプリペイドカードは1,000円で1,000円分チャージされる。つまり非課税だ。だが、Suicaで電車に乗るとき運賃で消費税を払うことになる
1万円の商品券は1万円で購入できるので、やはり非課税である。しかし、商品の代金を商品券で払うとは消費税を支払うことになる
郵便切手には配送代の消費税が含まれるので、二重課税にならないように、郵便局で買うときは非課税となる
家を買うとき建物は課税対象だが土地は非課税になる!
「非課税取引」ではいくつかややこしいものがある。たとえば、家を買うときに建物代金には課税されるが、土地代は非課税となる。また、Suicaなどのプリペイドカードにチャージするときは非課税だが、実際にSuicaを使って電車に乗るときの運賃は課税対象になる。これは商品券も同じで、商品券で物を買うときには課税されるので、商品券を買うときは非課税となる。つまり、これは二重課税を防ぐための措置なのだ。
もっとややこしいのが郵便切手である。切手も非課税だが配達料は課税対象となるため、切手の料金には消費税が含まれる。切手の販売が非課税なのは、やはり二重課税を防ぐためなのだ。ちなみに、切手を郵便局やコンビニなどの正規販売店で買うと非課税になるが、金券ショップなどで切手を買うときは課税対象となる。
なお、そもそも課税取引の対象外である「不課税取引」にも消費税はかからない。これには、外国での取り引き、事業ではない個人取引、寄附金など対価のない取り引きなどが該当する。たとえば、個人が居住用の住宅を売却する場合には消費税はかからない。そして、最後に海外に商品を輸出する場合などは「免税取引」となり、やはり消費税がかからないのである。
住んでいる自宅を個人が売るときは、事業ではないため「不課税取引」となる。中古マンションの売買では仲介業者を利用するが、実際の契約は個人間での取り引きになるため、消費税がかからないのだ
(Image:testing / Shutterstock.com)
外国での取引は「免税取引」になる。空港の「免税店」で安く物が買えるのは消費税がかからないからだ。ちなみに「Tax Free」は消費税の免税になるが、「Duty Free」は消費税以外にも関税、酒税、タバコ税なども免税されることを覚えておこう
●国税庁「非課税となる取引」(公式)は→こちら